早朝に家を出ても、稲淵に着いた時は、山際の路上には車の列なのは、毎年のことで、稲淵のバス停の遥か向こうに、やっと駐車スペースを見つけ、通行の邪魔にならないように停車することができた。
案山子ロードに降りていく勧請橋まではかなりの距離だったが、足慣らしのいい運動だと先ず気持ちよく歩いた。
今年のテーマは「絆」である。
どんな「絆」が表現されているのかを楽しみにしながら、迎えてくれる案山子たちをしっかり見つめながら案山子ロードを歩いた。
ほのぼのとした優しさに溢れたどの作品も、発想や表現が私を惹きつけてくれる。
中でも、私の足と心を釘付けにしたのは、「笑顔 明日への力」という新聞記事の添えられた、赤ちゃんを抱いた自衛隊員二人の案山子さんだった。
東日本大震災の時に、68時間ぶりに救出された彩花ちゃんの、花のような笑顔の写真に大きな感動を受けた。
12号台風で道路の崩壊で寸断された紀伊半島に、毎日救援支援のヘリコプターで山深い地に入り人命、物資、医療に携わってくれた自衛隊の発信基地が当市野原町にあって、大活躍のことを見聞きしていた時だったので、この東日本大震災での、自衛隊の方の支援を受けた人から、直接その様子を知る機会もあって、命の絆、感謝の心で結ばれた絆、これらが相乗作用をしてさらに感動は膨れ上がっていった。
毎年は、順に案山子ロードを歩きながら、その年のテーマに沿った参加者の作品案山子を、ひたすら楽しみながら画像に収めていたのだが、今年は心にずんときた「絆」の「笑顔 明日への力」を、第一に取り上げた。
尊い一人の命の絆が、それに関わった多くの人たちへと広がり、明日に向かって繋がっていく絆は決して1本ではなく、大きな輪になっていくに違いないと思う。