横浜にぎわい座の上方落語会「上方のハメモノ特集」を樂しむ。
第二の故郷である大阪の“にほひ”に浸りたくて──あの頃はとにかく懸命に生きてゐた──、にぎわい座の上方落語興行にはよく足を運ぶが、今回はトリで「堀川」を口演した月亭八方ひとりに尽きた。
私の大阪時代には関西ローカル局で現•桂小文枝と並んでお馴染みだった月亭八方だが、落語を聴くのは今回が初めて。
“腕力道楽”にして朝寝坊な息子に手を焼く一方、いかに起こすかあれこれ策を練る老母の楽しい策謀(?)にぐいぐいと惹き込まれ、太棹の糸にのせて猿回しが唄ふ「堀川猿廻しの段」の替へ唄では、その喉に本當の玄人藝とは何かを知る。
前の席にいた二人連れの男性が、終演後に「やっぱり八方さんは上手いなぁ」と唸っていたが、私も“いいもの”に出逢へた時ならではの爽快感に、胸がジンとなる。
さうした幸福は、また格別だ。
今回はその幸福を、一枚も二枚も上手な婆さんから分けて貰った。
ほんまにええもんは、
そのままおのれの活力になるんや!