迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

過渡の瞬間を観る。

2019-12-01 19:38:00 | 浮世見聞記
今年もみなとみらいのはまぎんホールで、「きらめくふるさと かながわ民俗芸能祭」を観る。


十回目となる今回は國の重文、または記録を作成する必要のある民俗藝能から六團体が出演し、なかでも興味があった「吉浜の鹿島踊」(湯河原町)は、航海安全を祈る神事藝能であるだけに勇壮な振りから何となく潮の香りが聴こへて、ふと當地への旅情をかき立てらるる。


三浦市の「チャッキラコ」、横須賀市浦賀の「横須賀の虎踊」は、當地そして紅葉坂の青少年センターにおける子ども民俗藝能祭でも観て、私にはお馴染み。

さりながら、チャッキラコに出演する女の子たちは十二歳までといふ傅統的“年齢制限”のため、今回の子たちは来る旧正月の執行をもって最後となること、「虎踊り」で和藤内を演じた男の子は、体が大きく成長して衣裳が合はなくなったため、この舞台で千穐楽とのこと。


いづれも子どもの成長過程による必然なわけだが、傅承藝能の担ひ手には高齢化以外にもかうした事情や問題があることに、今さらながら初めて気付かさるる。

しかし、その土地の藝能文化はこのやうにして次の世代へと渡され、脈々と続ひていく──

かうした催しに出かけるやうになって、初めてそんな感慨に浸る。


自分もさうした先人からの傅承の一端を担ってゐるのかだうかよく分からねど、先人の作をもとに構成した手猿樂を、あと半月後に披露する予定である。



もっとも、長期天気予報をみる限り、それはさらに先のことになりさうだが……。


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