迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

戯場戯夢。

2023-12-17 18:23:00 | 浮世見聞記




地下鐵に乗ったつひでに永田町で途中下車、今年十月末で閉館した“初代”國立劇場を見に行く。


あれから二ヶ月近くが經つが、解体工事が始まってゐる様子もないどころか、意外にも敷地に囲ひもなく、かつてのまま普通に通り抜けができる。



ロビーを覗くと備品はそのままで、まるで夜逃げでもした後のやうに見える。



いかにも、とりあへず閉館だけした、と云った感じで、解体業者や建築業者の件も含めて、閉館後の計画はなにも考へられてゐなかった、との仄聞は本當だったのか、と思はせる。



裏手にまはると、上階の部屋には電灯がついてゐて、まだなにかしらのシゴトが殘ってゐるらしい。


裏手の續きにある國立演芸場も、いかにも夜逃げ然とした風情にて、



放置同然の提灯を見てゐると、まるで廢業でもしたかのやうで、なんとも虚しくなった。



母校でもあるこの劇場がどふなっていくのか、これから折に触れて見物してやらうと思ふ。











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