地下鐵に乗ったつひでに永田町で途中下車、今年十月末で閉館した“初代”國立劇場を見に行く。
あれから二ヶ月近くが經つが、解体工事が始まってゐる様子もないどころか、意外にも敷地に囲ひもなく、かつてのまま普通に通り抜けができる。
ロビーを覗くと備品はそのままで、まるで夜逃げでもした後のやうに見える。
ロビーを覗くと備品はそのままで、まるで夜逃げでもした後のやうに見える。
いかにも、とりあへず閉館だけした、と云った感じで、解体業者や建築業者の件も含めて、閉館後の計画はなにも考へられてゐなかった、との仄聞は本當だったのか、と思はせる。
裏手にまはると、上階の部屋には電灯がついてゐて、まだなにかしらのシゴトが殘ってゐるらしい。
裏手の續きにある國立演芸場も、いかにも夜逃げ然とした風情にて、
放置同然の提灯を見てゐると、まるで廢業でもしたかのやうで、なんとも虚しくなった。
母校でもあるこの劇場がどふなっていくのか、これから折に触れて見物してやらうと思ふ。