九州通勤圏の主力車両である813系の、ドア付近の転換式クロスシートを撤去して、混雑時の乗車空間を廣げた云々。
813系はかつて九州に長期滞在した時や、旅行の時には好んで乗ってゐた大好きな車両で、あの転換式クロスシートこそが醍醐味なのだが、毎日通勤に利用する人たちにとっては、たしかに混雑時は乗りにくいだらう。
ただ、通勤時に一時間立ちっぱなしなど、東京圏ではごく當り前だが。
晩年の415系のやうにオールロングシート車化しないところに拘りが窺へるものの、かつてJR東日本に存在した12ドア車のやうに、混雑時は座席をすべて跳ね上げて立ち席のみにするなど、もう少し知恵があってもよい。
ただ座席を撤去しただけとはシゴトがちと亂暴な氣もする。
混雑時には効果を發揮するだらうが、空いてゐる時間帯も座りにくいのはさすがにどふかと思ふ。
それこそ、ひたすら座り通すことに命を懸けてゐる“18きっぱー”などからも不満の聲が上がりさうだが、まあその時だけしか乗らない面々のことなどはどふでもよい。
今や混雑の激しい通勤圏路線におゐて、クロスシート車やらボックスシート車やらは時代に合はなくなった、つくづくさういふ流れを感じる。
JR東日本の“上野東京ライン”しかり、“湘南新宿ライン”しかり、橫須賀線の新しい車両しかり、JR東海の中央線しかり。
いまでは京濱急行線で“快特”を待ってゐて、クロスシートの2100形が入って来た場合、私はよほど急ぎの用でない限り、やり過ごすことにしてゐるくらゐだ。
乗らざるを得ない時は、絶對にドア脇に立つことにして……。
私もかつて、113系や115系が全盛だった時分には好んであの座席に座って旅の氣分を満喫したものだが、それも今では昔語りだ。
知らない人と長時間ご對面しながら移動など、今の私にはとてもとても……!
JR九州の813系──
懐かしいことだ。
だが、この車両を堪能したのも昔語りとなりさうだ……。