迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

戦勝國と敗戦國の“笑み”。

2018-12-16 21:10:09 | 浮世見聞記
横浜都市発展記念館にて、「奥村泰宏・常盤とよ子写真展 戦後横浜に生きる」を見る。

第二次大戦に敗れた後、横浜は中心部の多くを占領軍に接収され、都市としての機能が著しく損なわれた。

そんな昭和20年代の横浜に生きる々を、克明にカメラに写し取って歩ひたのが、アマチュア写真家の奥村泰宏氏と、その妻である常盤とよ子氏だった。


かつて自分たちが爆撃して破壊した街を、我が物顔で闊歩する異國兵たち、

その異國兵たちに生きる糧を求め、卑屈を微笑に包み込んで歩み寄る日本人、

かたや、虚ろな表情で立ちつくす復員兵──


日本は戦争に負けたといふ現実を、私たちは改めて突き付けられる。


そして、“鬼畜米英”を叩き込まれた日本の若者を洗脳するため、米國は盛んに彼らにジャズを聴かせた──

以前に高座で聴ひた川柳川柳師の話しも、脳裏をよぎる。


赤線地帯の街頭で、まだ年若い娼婦に戯れかかる黒人兵、

そしてその結果の、「混血児」──


日本人は、あの時代から何も変わらなくなってしまった。

ただひとつ、あの時代と現在(いま)との違ひは、

それが彼女たちの本心からであったかどうか、

といふことだ。



かくして横浜には、明治と昭和の二度、「外国人居留地」が存在したのである。






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