【2月19日 AFP】
【被差別カーストへの優先枠をめぐる暴動激化】
インドを旅行中です。
今日(日本時間では「昨日」になりますが 時差は3時間半)は、首都デリーからアウランガーバードに飛行機で移動。
明日から、アジャンタ・エローラ石窟寺院を見学の予定です。
昨日も触れた「カースト」絡みの暴動が治まっていないようです。
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カーストはインドに残る身分差別。出自や先祖の職業などにより数千の集団に分かれる。カースト差別は憲法上、禁止されているが今も存在しており、政府は対策の一つとして被差別カーストへの優先枠を設けている。だが、別のカーストが枠の割り当てを求めたり「逆差別」と批判したりすることが、しばしばある。【2月20日 朝日】
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****インド 優遇策求めるデモ暴徒化 日系企業にも影響******
インドで歴史的に差別されてきた人たちへの優遇策を、ほかの人たちにも適用するよう求めるデモが暴徒化して、これまでに4人が死亡し、現地に進出する日系企業の操業にも影響が出ています。
インドでは、カースト制と呼ばれる階級制度のもと、歴史的に差別されてきたカーストの人たちには、現在社会的な地位の向上のため、公務員の採用や大学入試で優先枠が割り当てられています。
インドの首都ニューデリーに隣接するハリヤナ州では、「ジャート」と呼ばれるカーストの集団が、自分たちにも公務員採用の優先枠を与えるよう求めるデモを続けていて、19日から20日にかけて一部が暴徒化し、バスや鉄道の駅舎、それに商業施設などに放火しました。
地元メディアによりますと、これまでに4人が死亡したということです。
インド政府は、軍の部隊を動員するとともに、暴動が起きている地区などに外出禁止令を出しました。この影響で、インドの自動車最大手でスズキの子会社の工場が部品の運び入れに支障が出たとして、20日午後に操業を停止しました。
インドでは特定のカーストへの優遇策について、ほかのカーストからは不公平だとして反発があり、去年も優遇策をほかのカーストにも適用するよう求めるデモが起きています。【2月21日 NHK】
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【2月21日 読売】によれば、“治安部隊との衝突で21日までに少なくとも10人が死亡した”とのこと。
また、首都への水道供給も不足し始めるなど、影響は次第に拡大しているとも。
こういうニュースを日本国内で聞くと、「デリーの観光は大丈夫だろうか?」とも考えますが、現地では、少なくとも観光客には全く影響は感じられません。
【学生運動指導者逮捕への抗議活動】
ニューデリーではもうひとつ、騒動が起きています。
****インド、公立大学に国旗掲揚を義務付け 学生逮捕の抗議デモも****
インド政府は18日、国内の一流公立大学20校に対し国家の団結を促すために国旗掲揚を義務付けた。一方、首都ニューデリーなどでは学生自治会委員長の逮捕に抗議する学生たちによる大規模なデモが行われた。
ニューデリーの名門ジャワハルラル・ネール大学で学生自治会委員長を務めるカンハイヤ・クマルさん(32)は12日、デモ行進で反国家的なスローガンを叫んだとして警察に逮捕された。
これに対し、18日にはニューデリーで学生ら約5000人が「クマルを釈放せよ」「国家によるテロリズムを打破せよ」などと叫びながら市中心部を行進。
インドでの学生による抗議運動としては、ここ数年来では最大規模のものとなった。コルカタなど複数の都市でもクマルさんとJNUへの連帯を示すデモが行われた。
クマルさんは右派が掲げるナショナリズムを公に批判してきたため、クマルさんの逮捕には政権批判を抑え込む目的があるとデモ参加者らはみている。
デモ参加者の1人はAFPに「われわれが今日、ここに集まったのは人権と言論の自由を守るためだ」と述べ、「政府は国民を反国家的だと決めつけて刑務所に入れることはできない」と批判した。【2月19日 AFP】
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抗議する学生も国旗を掲げており、学生運動指導者の逮捕への抗議と国旗がどのように関連しているのかは、全く知りません。
なお、ホテルを周辺を国旗を掲げた若者たちが数人バイクで気勢をあげながら通り抜けていきましたが、この抗議活動のひとつだったのでしょうか?
【「マデシ」をめぐるネパールとの対立がネパール首相訪印で決着】
外交関係では、隣国ネパールとの間でもめていた、ネパール新憲法に抗議する親インド住民「マデシ」の問題が、ようやく決着したようです。
インドからの食糧・医薬品などの搬入がストップして、ネパールの震災からの復興を大きく遅らせていました。
****ネパール国境封鎖、震災復興に影 インドから燃料入らず****
ネパールで、政治対立からインドとの国境が9月下旬から封鎖され、燃料などの輸入が止まったままになっている。
来日したネパールの記者団体ネパールプレス評議会役員のキショール・シュレスタ氏は、朝日新聞の取材に「4月の大地震から復興に立ち上がろうというときに、日常生活に深刻な影響が続いている」と訴えた。
ネパールでは9月20日に新憲法が制定された。その直後から、人口の過半数を占める南部の住民らが「人口数に比例した権限が与えられていない」などとしてインド国境に座り込み、封鎖した。
インドはネパールの生活必需品の主な輸入先で、中でも、燃料不足が深刻になっている。
シュレスタ氏は「燃料がないため多くの人が冬の屋外で火をたいて調理をしている。病院では薬や酸素ボンベも足りない」という。
ネパールのオリ首相は、文化的にインドに近い南部住民を通じてネパールへの影響力を強めたいインド政府による、事実上の経済封鎖とみる。インド政府は「ネパールの国内問題」と関与を否定している。
シュレスタ氏は「ネパール経済が独り立ちするためにも、日本と一層の協力関係を築きたい」と話した。【2015年12月27日 朝日】
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インド側には“文化的にインドに近い南部住民を通じてネパールへの影響力を強めたい”思惑があって、マデシの抗議活動を支援していると言われていましが、インドが燃料などをストップさせれば、中国から補う形にもなって、ネパールを中国へ追いやることになりかねない・・・との懸念もありました。
****ネパール首相、19日にインド訪問 関係改善へ****
ネパールのシン首相顧問は8日、産経新聞に対し、オリ首相が今月19日にインドを初訪問することでインドと暫定合意したと明らかにした。
物流が停止している両国の国境付近では5日、ネパール新憲法に抗議する親インド住民「マデシ」が設置していた障害物を両国の住民が強制撤去し、トラックの運行が再開した。国境封鎖問題で悪化したインドとネパールの外交関係が改善に向けて動き出した。
ネパール政府は、20日にモディ印首相と首脳会談を行う方向で調整している。昨年10月に首相に就任したオリ氏の初外遊となる。
ネパールでは昨年9月、新憲法が制定されたが、南部の「マデシ」住民が権利拡大を求めて抗議運動を行い、インド国境の主要道路の封鎖を始めた。燃料を含む物流の大半をインドからの輸入に頼るネパールでは物資不足が起き、オリ氏は「インドによる非公式の国境封鎖」と非難。インドはこれを真っ向から否定してきた。
こうした中、ネパール議会は先月、マデシの要求を一部受け入れ、選挙制度を見直す憲法改正案を採択し、インドも歓迎を表明した。
しかしマデシは、最大の要求である州区割りが是正されていないとして抗議を続けていた。ネパールは、中国から新たな燃料供給の約束を取り付けており、インド側では「圧力はネパールを中国になびかせ逆効果」(元軍高官)との声が上がっていた。
ネパールでは、新首相は物流を含め関係の深いインドを初外遊先に選ぶのが通例。オリ氏は訪中を優先するのではないかとの見方もくすぶっていたが、インドはネパールを自国側に手繰り寄せた形だ。ただ、マデシは「封鎖は終わっていない」としており、火種を残している。【2月8日 産経】
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こうした流れのなかで、ネパール・オリ首相が訪印しました。
****印ネパール首脳会談、関係正常化を表明 道路整備協力など合意*****
ネパールのオリ首相がインドを初訪問し、ニューデリーで20日、モディ印首相と初会談した。
インドは昨年9月、ネパールで公布された新憲法について、親インド住民「マデシ」の権利擁護を求めて不満を表明。マデシがインドとの国境を封鎖して両国関係が悪化していたが、憲法改正を受けて封鎖解除とオリ氏の訪印が実現した。
オリ氏は会談後の記者会見で、「数カ月間続いていた誤解は、もう存在しない」と述べ、関係正常化を表明した。
会見ではモディ氏も、「すべての当事者との政治的対話を行うという原則に従い、ネパールは憲法のあらゆる問題を満足に解決できると信じている」とし、「両国関係はオリ氏の指導力のもとで、より強まるだろう」と関係改善を強調した。オリ氏は「インドとの関係は重要だ」と応じた。
両首脳は会見の席上、インドからネパールへの送電線使用を開始するセレモニーを行った。また両国は、インド国境に近いネパール南部の道路整備を急ぐ合意文書などに調印した。
ネパールの新憲法をめぐっては、マデシが、新たな州区割りなどによって、議席が十分確保されなくなったとして抗議し、インド政府も憲法公布直前にジャイシャンカル外務次官を派遣して、「全当事者の総意で問題を解決すべきだ」と見直しを迫っていた。
マデシは主要国境を封鎖したため、インドからの燃料を含む物流がほぼ停止した。オリ氏は「インドによる非公式の国境封鎖」と非難し、インドはこれを否定してきた。
しかし、先月の憲法改正でマデシの要求が一部満たされ、マデシは約4カ月半にわたった封鎖を解除していた。オリ氏は中国にすり寄る姿勢も示していたが、伝統的な友好国であるインドとの良好な関係を修復させた。【2月20日 産経】
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最後に、中国から見た、日本人とインド人の比較に関する記事を。
****日本人はインド人に学んだ方がよいのでは? 真面目すぎる日本人、「陽気で臆せずちゃらんぽらん」にも効用が=中国メディア****
中国メディアの易発達新聞はこのほど、「真面目すぎる日本人、インドのおじさんに学ぶべきだよ!」と題する文章を掲載した。筆者は日本人の真面目な性格を高く評価した上で、最近になり知ったインド人が日本人とは全く異なることに驚き、日本人はもっと「鈍感力」を持った方がよいと主張した。
インド人の性格が日本人と「正反対」と痛感したのは、インドを旅行した際という。インドでの会話は、英語を使うことになる。英語の上手な人はもちろん多いが、記事によると、英語が苦手でもインド人は、自分の間違いを気にしない。とにかく、どんどん話す。
「them」とすべきところを、すべて「he」として、平気で話しつづける人がいた。否定の「not」も入れないことがあるので、聞いている方は混乱する。主語の位置がおかしいのはしょっちゅう。それでもなんとか会話は成立する。
文章は、インド人の「相手に伝えよう」という情熱を高く評価。混乱気味で進む会話だが不愉快になることはなく、いい加減な英語でも臆面なく話すインド人には、一種の「吸引力」さえ感じると言う。そして、一生懸命に自分の考えを伝えようとしたインド人には、よいイメージが残ることになると主張した。
筆者は次に、日本人の英会話に思いを巡らせた。特に得意な人でないかぎり、日本人は「正確な英語を話そう」ということにとらわれすぎてしまう。会話しながらも「しまった。今の英語は間違っていた」と反省しきり。あまりにも真面目すぎるので失敗を恐れ、結局は、言葉数がどんどん少なくなっていくと指摘した。
文章は、正式なビジネスの会話でもないかぎり、「おしゃべりで、文法の正しさは些末なこと」と指摘し、せっかくの交流の機会なのに、文法の正確さにこだわるあまり、意思疎通ができなくなってしまうのは「本末転倒」と批判した。
文章は、インド人を「面の皮が厚い」、「鈍感力にあふれている」と評した。そして「日本人は真面目すぎる。インド人の鈍感力が加われば、日本人は世界最強のはず」と力説した。そして最後に、日本人に対して「インドのおじさんと、おしゃべりしてみると良いですよ」とつけ加えた。(後略)【2月20日 Searchina】
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語学に関しては、指摘のように、まず使うことを恐れないというのが大切であり、私を含めた日本人が英語を苦手としている大きな原因でしょう。
「陽気で臆せずちゃらんぽらん」なインド人の問題は、またいろいろあるのでしょうが。
「自分たちのやり方を押し通そうとする」中国人の問題も。