(アフリカ南部のジンバブエの銀行に、長蛇の列ができていた。目的は、新通貨への交換だ。【5月14日 テレ朝news】)
【かつて天文学的ハイパーインフレ 未だ安定せず2023年の物価上昇率は154%】
アフリカ南部のジンバブエ・・・形式的には私も行ったことがある・・・昨年10月に南アフリカをツアー観光した際に、ビクトリアの滝観光のためにジンバブエに入国し、2泊しました。・・・・もちろん、こうしたツアー観光の常でホテルと滝を往復しただけで、現地の暮らしぶりなどとは全く無縁。
ジンバブエで連想するのは、ムガベ前大統領時代の天文学的ハイパーインフレーション。インフレ率は2008年には5000億%を超えたとも言われていますが、数字は資料によって様々。もうこういう状態では貨幣・価格そのものが意味をなさない状況ではないでしょうか。
****ジンバブエドルとは?壮絶なインフレで廃止された通貨の歴史を分かりやすく解説!****
(中略)
ジンバブエとは
ジンバブエの正式な名称は、ジンバブエ共和国。アフリカ大陸の南部に位置しています。隣接する国は、南アフリカ共和国・ザンビア・ボツワナ・モザンビーク。国土の面積は日本より少しだけ大きく、38.6万平方キロメートルです。
ジンバブエの正式な名称は、ジンバブエ共和国。アフリカ大陸の南部に位置しています。隣接する国は、南アフリカ共和国・ザンビア・ボツワナ・モザンビーク。国土の面積は日本より少しだけ大きく、38.6万平方キロメートルです。
2019年における人口は1,465万人で、ショナ族・ンデベレ族・白人といった民族で構成されています。経済の規模を示すGNI(国民総所得)は2019年で、204億米ドル(約2兆2,000億円)。おもな輸出品は、貴金属・タバコ・鉱石・ニッケル・鉄などとなっています。
近代の歴史についても振り返ってみましょう。ジンバブエは1980年に、ジンバブエ共和国として英国から独立しました。このときはムガベ首相が就任しており、1987年からはムガベ大統領となります。ムガベ大統領は6選され、2017年に事実上のクーデターが起こるまで大統領の座についていました。
その後2018年には総選挙が実施され、ムナンガグワ大統領が就任し、現在に至っています。「猛烈なインフレ」と言われる状況は、2000年から2009年の間に発生しています。
ジンバブエの通貨事情
ジンバブエにおける通貨の状況は、少し複雑です。現在ジンバブエの法定通貨となっているのは、2019年6月に導入された「RTGSドル」。これを新しいジンバブエドルと呼ぶこともあるようです。
ジンバブエにおける通貨の状況は、少し複雑です。現在ジンバブエの法定通貨となっているのは、2019年6月に導入された「RTGSドル」。これを新しいジンバブエドルと呼ぶこともあるようです。
最初のジンバブエドルは、1980年に導入されました。その後、激しいインフレにともなって、通貨の桁数を切り捨てる「デノミネーション」が数回おこなわれています。この旧ジンバブエドルは、2015年に通貨としての廃止が決定されました。公式の廃止は2015年ですが、2009年には事実上、流通が停止されています。
2009年1月に導入されたのは、複数外貨制。おもに米ドル、南アフリカランドが使われるようになりました。さらに2014年1月からは、日本円、中国元、豪ドル、インド・ルピーが新たに法定通貨として導入されます。2016年には、ジンバブエ国内だけで流通するボンド紙幣も導入されました。
2019年にはRTGSドルを唯一の法定通貨としましたが、紙幣不足を補うため、2020年に米ドルが再導入されることになります。(中略)
ジンバブエドルが廃止されるまで
ジンバブエドルは、2000年頃から激しいインフレーションを起こし、ついにはハイパーインフレーションという状況になりました。最終的には2009年に流通停止となり、2015年には通貨としての廃止に至ります。インフレやハイパーインフレの意味を確認しながら、ジンバブエドルのたどった歴史をくわしくみていきましょう。
ハイパーインフレの始まり
ジンバブエドルが最初に発行されたのは、1980年のこと。当初の交換レートは、1米ドル=0.68ジンバブエドルでした。英国から独立して以来、ジンバブエのムガベ大統領は、旧支配層に対する弾圧的な政策を実施していました。2000年には、白人が所有する土地を強制収用する法律を制定し、結果として農業の崩壊を招いています。これにより物の供給が不足することになり、ハイパーインフレの要因となりました。
ジンバブエドルが最初に発行されたのは、1980年のこと。当初の交換レートは、1米ドル=0.68ジンバブエドルでした。英国から独立して以来、ジンバブエのムガベ大統領は、旧支配層に対する弾圧的な政策を実施していました。2000年には、白人が所有する土地を強制収用する法律を制定し、結果として農業の崩壊を招いています。これにより物の供給が不足することになり、ハイパーインフレの要因となりました。
激しい物価上昇のなか、ジンバブエ準備銀行は通貨の供給を減らしませんでした。公務員や兵士への給与を上げるため、政府が支払いに必要な通貨の発行を命じていたようです。これもインフレを加速させる要因と言えるでしょう。
また弾圧的な政策がつづくことで、富裕層が海外へ脱出し、治安も悪化しました。その結果、ジンバブエドルの為替市場での価値が下がり、輸入する際の値段が上がったことも物価上昇につながっています。
ジンバブエドルが廃止されるまでの流れ
ジンバブエにおけるインフレ率を、公式発表でみてみましょう。2000年が56%で、2003年には385%、2006年に1,281%を記録し、2008年には355,000%と発表されています。しかし実際にはこれよりはるかに高い数字だったようです。2008年における非公式の報告では「6月のインフレ率は1,120万%に達した」「7月のインフレ率は2億3,100万%」などとなっています。
ジンバブエにおけるインフレ率を、公式発表でみてみましょう。2000年が56%で、2003年には385%、2006年に1,281%を記録し、2008年には355,000%と発表されています。しかし実際にはこれよりはるかに高い数字だったようです。2008年における非公式の報告では「6月のインフレ率は1,120万%に達した」「7月のインフレ率は2億3,100万%」などとなっています。
こうしたハイパーインフレの状況では、物の値段が短期間に数10倍、数100倍…、と上昇します。物の価格を表示するのが、困難な状況です。これに対応するため、新しいジンバブエドルの発行と、デノミネーションが繰り返されました。デノミネーションとは、通貨単位を切り上げたり切り下げたりすることで、ジンバブエでは切り下げがおこなわれています。
2006年に2番目のジンバブエドルが発行されたときは、デノミネーションにより3桁の切り捨てが実施されました。2008年のデノミネーションでは、10桁が切り捨てられ、100億ジンバブエドルと新1ジンバブエドルが交換されることになりました。これが3番目のジンバブエドルになります。
それでもインフレは収まらず、2009年1月には100兆(100trillion)ジンバブエドル紙幣が発行されています。その直後の2009年2月に、12桁を切り捨てた4番目のジンバブエドルが発行されました。
2009年1月からは複数外貨制を導入し、米ドルと南アフリカランドが使用されるようになります。2009年2月に政府は、公務員給与を米ドルで支払うと発表し、ジンバブエドルの流通は事実上停止となりました。
2015年にはジンバブエドルの廃止が公式に決定され、同年の9月までに回収を終えています。自国の通貨は放棄しなければなりませんでしたが、外貨を使用することでハイパーインフレは終息しました。(中略)
ジンバブエの現在(筆者注:この記事がかかれた2021年当時の状況です)
2019年6月、ジンバブエ中央銀行は暫定通貨RTGSドルを唯一の法定通貨として指定しました。しかし2020年3月には、インフレによる紙幣不足への対策として米ドルも再導入しています。
ムガベ政権が終わった後、ムナンガグワ大統領が経済改革を進めていますが、外貨不足やロックダウンの実施などにはばまれているようです。
インフレについても燃料価格の高騰などから、2019年8月にインフレ率が前年同月比300%を超えたと言われています。2020年の経済成長率もマイナスで、経済が不安定な状況はまだつづきそうです。【2021年10月10日 楽天 みんなのマネ活】
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2008年当時の狂気のようなハイパーインフレーションは終息したものの、依然として高率のインフレが続いており、国連経済社会局が1月4日に発表した報告書「2024年の世界経済情勢と展望」によると、ジンバブエの2023年の物価上昇率は154%、24年予測は86%となっており、いずれもアフリカにおいて内戦が続くスーダンに次に高い数字となっています。(1月12日 JETRO“2023年のアフリカの物価上昇率は18.3%、2024年は14.5%との予測”より)
【模索する政府 対応に苦慮する国民】
政府もいろいろと模索はしたようです。 2022年には金貨を発行。
****ジンバブエ、インフレ抑制策で金貨導入****
ジンバブエは25日、インフレ抑制と米ドル依存の緩和を目的に、金貨を導入した。有名なビクトリアの滝にちなんで「モシ・オア・トゥニャ(雷鳴とどろく水煙)」と命名された金貨は、純度91.7%(22金)で重さ約31.1グラム。銀行が国際金相場で販売する。
シリアルナンバー入りの金貨は換金でき、国際取引も可能だ。1枚当たりの価値は22日時点で1725ドル(約23万5000円)相当。購入者は証明書付きで現物を所有するほか、銀行の金庫に預けることもできる。
政府は、インフレが急進しジンバブエ・ドルの下落が止まらない中で、金貨導入は経済へのてこ入れになると主張している。
金貨の鋳造枚数は不明。ジンバブエは金の主要産地で、材料には地元産の金を使用する。
ジンバブエの(2022年)6月のインフレ率は191.6%で、米ジョンズ・ホプキンス大学のスティーブ・ハンケ教授(応用経済学)によれば、公式数値で世界最悪の水準だ。ジンバブエ・ドルへの信頼は非常に低く、商品やサービスの価格設定はほぼ米ドルが基準となっている。
ただし、専門家は金貨導入の効果には懐疑的だ。経済学者のプロスパー・チタンバラ氏は「マクロ経済を安定させるという点で大きな効果はないだろう」とAFPに語り、ほとんどのジンバブエ国民は非常に貧しく、金貨を購入する余裕はないと指摘した。
同じく経済学者のギフト・ムガノ氏も、暗号資産(仮想通貨)が普及する中での金貨導入について「金で取引していた19世紀に逆戻りしているようだ」と一蹴。「わが国はもっとデジタル金融やデジタル通貨に注力する必要がある」と述べた。 【2022年7月25日 AFP】
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しかし状況は改善せず。
****「100兆ドル札」のジンバブエ、お釣りはゆで卵?****
ハイパーインフレが新たな段階に
ある日の午後、ルテンド・マニョワさんはジンバブエの首都ハラレにある人気のファストフード店でチキンとフライドポテト、ソフトドリンクを注文した。代金3.5米ドル(約460円)を支払うのに5ドル札を差し出すと、レジ係からお釣りの代わりに、店の名前と次回の購入時に使える金額が記された紙を3枚渡された。
かつて100兆ドル札をこの世にもたらしたジンバブエで、通貨の機能不全が新たな段階に入っている。小額通貨の不足で事業者が独自の「紙幣」――顧客が今後の買い物の支払いに使える紙片(手書きのこともある)――の発行を始めた。釣り銭分としてジュースやペン、チーズなど現物を渡すところもある。
こうした苦肉の策を生んだのが20年にわたる通貨管理の失敗だ。(後略)【2023年3月29日 WSJ】
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【新通貨ジンバブエ・ゴールド 金本位制採用 世界第2位の金埋蔵量、ただし金密輸が横行】
そして政府は今年4月、金を裏付けとしたジンバブエの新通貨ジンバブエ・ゴールドを発行しましたが、切り替えの発表が数日前だったため大混乱を招いたようです。
****新通貨ジンバブエ・ゴールド、波乱のスタート 旧通貨は無価値に****
金を裏付けとしたジンバブエの新通貨ジンバブエ・ゴールドが今週、波乱のスタートを切った。店舗は米ドルでの支払いしか受け付けず、銀行の前には困惑した人々が預金を引き出そうと長蛇の列を作っている。
旧通貨ジンバブエ・ドルが過去1年間で暴落し、高インフレに見舞われた同国は8日、新通貨の運用を開始した。だが、切り替えの発表が数日前だったため、多くの国民は準備ができていなかった。
大半の銀行は9日、新通貨に移行するためにシステムをオフラインにした。そのため首都ハラレでは、預金を引き出そうとする多くの人が銀行の前に何時間も並ぶ事態が起きた。
通貨切り替えによって、すでに価値がほとんどなかった旧通貨は、一夜にして完全に無価値となった。ハラレ郊外のカンブズマの路上では、子どもたちが旧紙幣の束で遊んでいた。中心部のビジネス街では路上に旧紙幣が捨てられていたが、誰も拾おうとしなかった。
一方、現時点では新通貨を入手することは不可能だ。 中央銀行は6日、新紙幣は印刷中で4月30日までは用意できないと発表した。
ハラレの公共交通機関は旧通貨での支払いを拒否しており、料金を平時の短距離料金の2倍に当たる一律1米ドルに設定しているため、足止めを食らった人もいた。
多くの店舗や屋台も同様に米ドルでの支払いしか受け付けず、硬貨が不足しているため、釣り銭の代わりにビスケットやキャンディーを渡している。
ハラレで商店を営むジュリアス・ムザさんはAFPに対し、客が旧通貨を「捨てる」ために急に店に殺到していることに気付き、取り扱いをやめたと語った。 【4月10日 AFP】
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切り替えの発表が数日前、しかも新紙幣は印刷中で月末までは用意できない・・・信じ難い対応ですが、かつてのハイパーインフレーションの経験に比べれば物の数ではない・・・でしょうか。
金を裏付けとした新通貨ジンバブエ・ゴールド・・・金本位制の復活です。
日本でも戦前の激動の昭和に、金解禁めぐる(金貨及び金地金の輸出許可制を廃止して金本位制に復帰すること)を激しい政策論争がありました。
世界的には、かつて金と交換できた米ドルの金交換停止が1971年に発表され、世界を震撼させました。ニクソン訪中宣言に続く第2次ニクソンショック(あるいはドルショック)と呼ばれたものです。
そうした「歴史」の世界の話にもなりつつあった金本位制を採用するというのは・・・
****国民混乱「バスでケンカ」も ハイパーインフレで経済崩壊…ジンバブエ“新通貨”流通****
かつて100兆という額面の紙幣が発行されるなど、ハイパーインフレに苦しんだジンバブエで、新たな通貨の流通が始まった。長く続く通貨危機の解決につながるのか?(中略)
新通貨の導入で混乱も
銀行を訪れた人「通勤のバスでは、通貨の変更で人々がケンカしたり叫んだりしていました」
新通貨の導入で混乱する人々。その背景には、迷走する経済政策があった。
長年の経済破綻状況…国民からは不安の声
(中略)
ムナンガグワ大統領 「経済を回復させ、若者の雇用を確保することで国民の貧困を減らしていく」
ムナンガグワ大統領は経済政策を次々と打ち出し、2022年には金貨を法定通貨にする試みも行ってきた。 今回の「ジンバブエ・ゴールド」も、こうした経済政策の一環なのだ。
ジンバブエ中央銀行総裁 「通貨が安定することで、日々の大きな価格変動が確実に起こらなくなります」
しかし、国民からは長年の経済破綻状況から不安の声が上がっている。
銀行を訪れた人 「お金の価値が分からない。銀行に価値を聞いても、分からないといわれました」
新通貨はインフレ防ぐこと可能だが…経済成長停滞する恐れも
新たに導入された通貨「ジンバブエ・ゴールド」には、これまでとは大きく違う特徴があるようだ。 AP通信によると、ジンバブエ・ゴールドは「金本位制」を採用しているという。
金本位制とは、政府や中央銀行などが保有している金といつでも交換できることを保証することで、その通貨の価値を担保するというものだ。
これにより通貨の価値は安定し、インフレを防ぐことができるというメリットがある。
一方で、金の保有量で発行できる通貨の上限が決まるため、十分な量の通貨を発行できず、経済成長が停滞する恐れもある。 そのため、現在ではほとんどの国が、金本位制を採用していない。
ジンバブエ・ゴールドに金本位制を採用した背景
そうしたなかでも、ジンバブエ・ゴールドに金本位制を採用した背景には、ジンバブエが資源大国であることが大きいようだ。
在仏ジンバブエ大使館のホームページによると、アフリカ大陸の南部に位置するジンバブエには豊富な鉱山資源が眠っていて、特に金は1平方キロあたりの埋蔵量が世界2位。確認埋蔵量(=現在の技術で回収可能とされる埋蔵量)は1300万トンに達するということだ。
多くの金を国外へ密輸
一方で、埋蔵量に見合った金を国が獲得できていない現状もある。 AP通信によると、ジンバブエの2021年の金産出量はおよそ30トンだったという。
実は、採掘業者らは金を中央銀行に売却することが定められているにもかかわらず、アメリカドルを得るために、多くの金を国外へ密輸しているという。 その量は、年間の産出量を超えるおよそ36トンに上るという。
一貫性がないように見える政府のジンバブエ・ゴールドへの対応
こうした背景もあってか、政府のジンバブエ・ゴールドへの対応は一貫性がないように見える。
政府は、企業にジンバブエ・ゴールドのみの使用を命じ、違反した場合は罰則も設けているという。
その一方で、一部の政府機関ではアメリカドルのみを受け入れているという。そのため、南アフリカの経済学の専門家は「政府が最初にジンバブエ・ゴールドを受け入れなければ、国民が続くことはない」と指摘している。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2024年5月14日放送分より)【5月14日 テレ朝news】
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世界第2位の金埋蔵量というのが話のミソのようですが、その金も実際に国庫におさまって意味があるもの。ジンバブエの場合はどうでしょうか・・・・結局保有する金が不足してジンバブエ・ゴールド発行も大きく制約され、米ドル経済が続く、あるいは、新通貨金交換で大きな混乱が生じるということになるような感も。