
(ルーマニア大統領選の第1回投票で首位となったカリン・ジョルジェスク氏【11月29日 BBC】)
【SNS選挙で無名候補が一躍首位に】
ルーマニアでは11月24日に行われた大統領選挙で、それまで無名の泡沫候補だった親ロシア・極右候補者がSNSを駆使する選挙戦略で一躍第1回投票の首位に躍り出て、決選投票に進むという事態になりました。
****ルーマニア大統領選、「SNS戦略」成功でプーチン賛美の「極右」が予想外の首位...若年層の不満を代弁****
<ルーマニア大統領選第1回投票で、「ウクライナ戦争の背後で『帝国主義』軍産複合体が暗躍」と訴えるジョルジェスク候補が首位に>
ルーマニア大統領選の第1回投票が11月24日行われ、親露派で反北大西洋条約機構(NATO)の極右ナショナリスト候補カリン・ジョルジェスク氏が212万票(得票率22.9%)を超える予想外の大躍進を見せ、首位で12月8日の決選投票にコマを進めた。
ジョルジェスク氏はウラジーミル・プーチン露大統領を称え、ウクライナ戦争の背後で「帝国主義」軍産複合体が暗躍していると唱える。事前の世論調査では社会民主党(PSD)代表のマルチェル・チョラク首相が圧倒的にリードしており、ジョルジェスク氏は完全なダークホースだった。(中略)
ジョルジェスク氏は1962年ブカレスト生まれ。ブカレスト農業科学獣医学大学で博士号を取り、国連やローマクラブ欧州支援センター会長など持続可能な開発に関する役職を歴任。大統領選には無所属で立ち、農家支援、エネルギー・食料の自給志向、輸入依存からの脱却を唱えた
ホロコーストに加担した第二次大戦指導者を称賛
ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)に加担して銃殺刑になったルーマニアの第二次大戦指導者イオン・アントネスクや、欧州で最も暴力的な極右の反ユダヤ主義民族運動「鉄衛団」の創設者コルネリウ・コドレアヌを国民的英雄と呼ぶ極右ナショナリストだ。
政治スタンスは親露。ルーマニアのNATO加盟に反対する。NATOが加盟国を守る能力に懐疑的な一方、ルーマニアは外交的・戦略的判断を下す準備ができておらず 「ロシアの知恵」に従うべきだと主張する。しかし実際にロシアを支持するかどうかについては名言を避けている。
「私は不当な扱いを受けた人々のために投票した」
ルーマニアはフランス率いるNATO多国籍戦闘部隊と米軍のミサイル防衛施設を受け入れており、ジョルジェスク氏は「外交の恥」と批判。ジョルジェスク氏の躍進は主流政党に対する広範な不満を反映しており、自らを社会や経済から取り残された人々の代弁者と位置づける。
投票後、フェイスブックに「私は不当な扱いを受けた人々、屈辱を受けた人々、この世で自分は重要でないと感じている人々のために投票した! 投票は国家への祈りだ」と投稿した。より多くの有権者にリーチするため動画共有サイトTikTokなどSNSを効果的に活用した。
新聞・テレビを上回るSNSや動画サイトの破壊力
幅広い視聴者、特に若い有権者の共感を呼ぶ短くて魅力的な動画を共有することで、ジョルジェスク氏は反体制的で民族主義的なメッセージを効果的に広めた。伝統的なメディアを回避し、主要政党を見放した有権者と直接つながり、知名度と支持を大幅に高めることに成功した。
NHKによると、日本でも自身のパワハラ疑惑などを巡る出直し兵庫県知事選で再選した斎藤元彦知事のユーチューブ公式チャンネルの総再生回数は約119万回。街頭演説を短くまとめた動画は少なくとも計2000万回再生された。SNSや動画サイトの破壊力は新聞・テレビを上回る。
米大統領選で返り咲いたドナルド・トランプ次期大統領を例に挙げるまでもなく、SNSや動画サイトの活用はポピュリスト政治家の常套手段。ジョルジェスク氏は若者に人気のTikTokで25万人のフォロワーを持ち、投稿したクリップのいくつかは300万回以上再生された。
ロシアの干渉を示す証拠は見つかっていない。ジョルジェスク氏が決選投票でも勝利すれば首相指名権、連立協議権、外交・安全保障政策に関する最終決定権を持つ役職に就くことになる。極右の暗雲がさらに広がり、NATOや欧州連合(EU)の結束が大きな音を立ててきしみ始めた。【11月26日 木村正人氏 Newsweek】
*********************
【憲法裁判所 再集計を命じる】
驚愕とロシア介入への疑念が広がる中で、11月28日、ルーマニア憲法裁判所は中央選挙管理委員会に対し、大統領選の第1回投票結果の再集計を要求しました。
****ルーマニア大統領選、憲法裁が再集計命じる ロシア介入疑惑も****
ルーマニアの憲法裁判所は28日、大統領選挙の第1回投票の結果について再集計を命じた。
24日行われた大統領選挙は、事前の世論調査で支持率が1桁台だった北大西洋条約機構(NATO)懐疑派の極右カリン・ジョルジェスク氏が予想外に健闘し、選挙の公平性に疑問が生じている。
憲法裁判所は声明で「11月24日の大統領選挙の投票用紙の再検証と再集計を全会一致で命じた」と明らかにした。
一方、国内の最高安全保障機関である最高防衛会議は、選挙プロセスに影響を及ぼすことを目的としたサイバー攻撃の証拠があると発表した。
「大統領候補は、政治候補者としてラベル付けされず、選挙コンテンツにラベル付けするよう求められないというTikTok(ティックトック)のプラットフォームを通じて大規模な露出の恩恵を受けた」と説明。ルーマニアは「国家および非国家主体、特にロシア連邦による敵対行為」の主要標的となっていると指摘した。
ジョルジェスク氏は動画共有アプリのTikTokを中心に選挙戦を展開していた。【11月29日 ロイター】
24日行われた大統領選挙は、事前の世論調査で支持率が1桁台だった北大西洋条約機構(NATO)懐疑派の極右カリン・ジョルジェスク氏が予想外に健闘し、選挙の公平性に疑問が生じている。
憲法裁判所は声明で「11月24日の大統領選挙の投票用紙の再検証と再集計を全会一致で命じた」と明らかにした。
一方、国内の最高安全保障機関である最高防衛会議は、選挙プロセスに影響を及ぼすことを目的としたサイバー攻撃の証拠があると発表した。
「大統領候補は、政治候補者としてラベル付けされず、選挙コンテンツにラベル付けするよう求められないというTikTok(ティックトック)のプラットフォームを通じて大規模な露出の恩恵を受けた」と説明。ルーマニアは「国家および非国家主体、特にロシア連邦による敵対行為」の主要標的となっていると指摘した。
ジョルジェスク氏は動画共有アプリのTikTokを中心に選挙戦を展開していた。【11月29日 ロイター】
********************
単に、想定外の躍進というだけでは再集計の理由になりませんが、ルーマニア憲法裁判所が具体的に何を懸念して再集計を求めたのかはよくわかりませんが、“落選した候補が選挙無効を訴え、憲法裁は28日、選管に再集計を命じた”【11月29日 共同】とのこと。
【議会選挙でも複数の極右政党で得票の3分の1を占める】
憲法裁判所が再集計結果について判断する前に議会選挙が12月1日に行われ、極右勢力がどの程度の議席を獲得するか注目されていました。結果は、連立与党の左派政党が第1党になるものの、複数の極右政党で得票の3分の1を占めることになり躍進しました。
****ルーマニア議会選 与党左派が第1党も極右が3分の1を得票 連立構図は不透明****
東ヨーロッパのルーマニアで議会選挙が実施されました。連立与党の左派政党が第1党になる見通しですが、複数の極右政党で得票の3分の1を占めるなど今後の連立の構図は不透明になりました。
ルーマニアの国営通信によりますと、1日に上下両院の議会選が実施され、開票率99%の時点で連立政権を率いる左派政党、社会民主党(PSD)が得票率約22%で第1党になる見通しですが、前回の2020年の選挙に比べて約7ポイント減っています。 社会民主党と連立を組む国民自由党も10ポイント程度減らし、約14%でした。
2位に付けたのはEU(ヨーロッパ連合)に懐疑的な姿勢を示す極右政党「ルーマニア人統一同盟」(AUR)で、約18%を獲得し、前回の選挙から約10ポイント増やしました。
現在の連立与党だけでは半数に届かず、また連立与党に批判的な極右系の政党などが両院で3分の1を獲得したと報じられていて、今後の連立の構図は不透明です。(後略)【12月2日 テレ朝news】
ルーマニアの国営通信によりますと、1日に上下両院の議会選が実施され、開票率99%の時点で連立政権を率いる左派政党、社会民主党(PSD)が得票率約22%で第1党になる見通しですが、前回の2020年の選挙に比べて約7ポイント減っています。 社会民主党と連立を組む国民自由党も10ポイント程度減らし、約14%でした。
2位に付けたのはEU(ヨーロッパ連合)に懐疑的な姿勢を示す極右政党「ルーマニア人統一同盟」(AUR)で、約18%を獲得し、前回の選挙から約10ポイント増やしました。
現在の連立与党だけでは半数に届かず、また連立与党に批判的な極右系の政党などが両院で3分の1を獲得したと報じられていて、今後の連立の構図は不透明です。(後略)【12月2日 テレ朝news】
*************************
“バベシュ・ボヨイ大学のセルジウ・ミシュコイウ教授(政治学)は、PSDが連立協議で中心的役割を果たす可能性が高いと指摘。一方で今回の結果は「1990年以降で政治的スペクトラムが最も分断されている」ことを示しており、欧州連合(EU)で最も貧しい地域のいくつかを抱えるルーマニアで社会的分裂が深まっていると分析した。”【12月2日 ロイター】とも。
ただ、極右政治家ジョルジェスク氏が大統領になった場合、極右勢力から首相を選ぶ可能性もあります。
大統領選挙第1回投票について再集計を命じていた憲法裁判所は12月2日、“大統領選第1回投票について結果は有効だと認め、今月8日に決選投票を行う日程を確定させた”との報道がありました。
****ルーマニア大統領選、8日決選投票へ 第1回投票は有効と憲法裁*****
ルーマニア憲法裁判所は2日、不正やロシアによる介入などの疑惑が浮上した11月24日の大統領選第1回投票について結果は有効だと認め、今月8日に決選投票を行う日程を確定させた。
第1回投票では、ほぼ無名だった親ロシア派の極右政治家ジョルジェスク氏の得票率が首位となった後、憲法裁判所が票の数え直しを要求。大統領選の行方に不透明感が漂っていた。
決選投票はジョルジェスク氏と、第1回で2位だった野党の中道右派「ルーマニア救国同盟」のラスコニ党首が争うことになる。
1日に公表された世論調査によると、ジョルジェスク氏に投票すると答えた人の割合が57.8%と、ラスコニ氏の42.2%を上回っている。
大統領選の結果次第で、親欧州連合(EU)でウクライナ支援を続けてきたルーマニアの外交方針が大きく転換する恐れがある。
1日に行われたルーマニア上下両院選挙では、チョクラ首相が属する中道左派「社会民主党」が第1党の地位を確保したものの、極右の「ルーマニア人統一同盟」が第2党に躍進。首相指名権は大統領にあるため、現時点では誰が首相になるかは読めない。
ある専門家は「極右政治家が大統領になれば、議会で親欧州派が連携して抵抗するのは非常に難しくなる」と指摘した。【12月3日 ロイター】
第1回投票では、ほぼ無名だった親ロシア派の極右政治家ジョルジェスク氏の得票率が首位となった後、憲法裁判所が票の数え直しを要求。大統領選の行方に不透明感が漂っていた。
決選投票はジョルジェスク氏と、第1回で2位だった野党の中道右派「ルーマニア救国同盟」のラスコニ党首が争うことになる。
1日に公表された世論調査によると、ジョルジェスク氏に投票すると答えた人の割合が57.8%と、ラスコニ氏の42.2%を上回っている。
大統領選の結果次第で、親欧州連合(EU)でウクライナ支援を続けてきたルーマニアの外交方針が大きく転換する恐れがある。
1日に行われたルーマニア上下両院選挙では、チョクラ首相が属する中道左派「社会民主党」が第1党の地位を確保したものの、極右の「ルーマニア人統一同盟」が第2党に躍進。首相指名権は大統領にあるため、現時点では誰が首相になるかは読めない。
ある専門家は「極右政治家が大統領になれば、議会で親欧州派が連携して抵抗するのは非常に難しくなる」と指摘した。【12月3日 ロイター】
***********************
【憲法裁判所 第1回投票の無効判断 やり直し選挙に】
EUの欧州委員会は“SNSを駆使した情報操作が行われた疑いがあるとして、TikTok(ティックトック)に関連データの保全命令を出したと発表した”【下記読売】と、懸念を深めています。
****SNSで情報操作行われた疑い」ルーマニア大統領選めぐり欧州委が調査、TikTokにデータ保全命令****
欧州連合(EU)の執行機関・欧州委員会は5日、11月下旬のルーマニア大統領選の1回目投票を巡り、SNSを駆使した情報操作が行われた疑いがあるとして、TikTok(ティックトック)に関連データの保全命令を出したと発表した。EUは本格的にSNS上の不正行為に対する調査に乗り出す。
11月24日の1回目投票では、親露派で急進的な右派勢力のカリン・ジョルジェスク氏が首位となった。SNSを駆使した選挙戦で、劣勢だった情勢をひっくり返した。
欧州委は「(右派を勝利させたい)ロシアの干渉があったとの情報もある」と指摘している。得票は過半数に届かず、12月8日に上位2人による決選投票が行われる。(後略)【12月6日 読売】
*********************
しかし、上記【ロイター】報道が誤報だったのか、憲法裁判所が考えを変えたのは知りませんが、一転、憲法裁判所は6日、大統領選の第1回投票の結果を無効と決定しました。これにより選挙はやり直しとなります。
****ルーマニア大統領選挙で憲法審が投票結果無効の決定…SNSによる情報操作やロシアの介入指摘で****
ルーマニアの憲法裁判所は6日、11月24日に行われた大統領選の1回目投票の結果を無効にするとの決定を下した。今月8日の決選投票は中止となり、選挙の全過程がやり直しとなる。
1回目投票で首位だった極右のカリン・ジョルジェスク氏に有利となるSNSの情報操作などがあり、選挙の公平性が損なわれたと判断した。
憲法裁は6日、落選した候補の無効申し立てを受け、審議した。ルーマニア情報当局などは4日、ジョルジェスク氏のTikTok(ティックトック)に関する不正やロシアの介入を指摘する機密文書を公開しており、憲法裁は文書に基づき決定した。
ジョルジェスク氏のSNSがアルゴリズム(計算方法)の悪用によって他候補より積極的に宣伝されたり、選挙運動資金をゼロと申告しながら実際には多額の資金が費やされたりしていたという。
ジョルジェスク氏は声明で、無効の決定は「クーデターだ」と反発した。
クラウス・ヨハニス大統領は声明を発表し、憲法の規定に基づき21日の任期満了後も次期大統領の就任まで職務を続ける意向を示した。再選挙の日程は、1日の議会選挙を受けて発足する新内閣の下で決める。
ルーマニア検察当局も6日、大統領選でのコンピューター関連の犯罪捜査を始めたと発表した。【12月6日 読売】
********************
【SNS使用における違法性、あるいはロシアの介入という問題にとどまらず、多くの有権者が無名だった極右候補ジョルジェスク氏に一票を投じたという事実も】
このルーマニア大統領選挙の問題は、二つの視点を提起しています。
ひとつは、選挙運動におけるSNSの使われかた、及び、その影響力の大きさです。
もうひとつは、SNS使用の適正性に問題があるにしても、多くの有権者が無名だった極右候補ジョルジェスク氏に一票を投じたことは事実だという点です。
****「泡沫」急浮上、TikTok不正か ロシアの影、政治不信鮮明 ルーマニア大統領選****
東欧ルーマニアで、8日に決選投票を控えていた大統領選挙が、憲法裁判所の判断で急きょ中止され、候補者の届け出からやり直す異例の事態となっている。
中国系短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」が不正利用されたもようで、先月行われた第1回投票では泡沫(ほうまつ)扱いされていた無所属候補が首位に立った。有権者に広がる深刻な政治不信も鮮明になり、混乱が続いている。
渦中の候補はカリン・ジョルジェスク氏(62)。国連機関や環境省でキャリアを積んだ学識者とされ、選挙戦では伝統重視や「ルーマニア第一」を掲げた。新型コロナウイルスの存在を否定し、人類による月面着陸を「でっち上げ」と主張したこともある。
10月までは多くの世論調査でジョルジェスク氏の支持率は1%に満たなかった。しかし、11月24日の第1回投票で、有力候補とされていたチョラク首相らを抑え、約23%の得票率でトップに躍り出た。
現地メディアも「ジョルジェスク氏とは誰か」と報じるサプライズだった。
実態を調査したルーマニア当局は、ジョルジェスク氏の情報をTikTokで拡散したインフルエンサーらに計38万1000ドル(約5700万円)が支払われていたことを把握。約2万5000のTikTokアカウントを利用した大規模な選挙運動が展開されたと報告した。
資金源を調べたところ、暗号資産事業を手掛ける男が容疑者として浮上。検察は今月7日、選挙違反やマネーロンダリング(資金洗浄)の疑いで、男の関係先を家宅捜索した。男はジョルジェスク氏と面識はなく、理念に共感したと主張している。
ジョルジェスク氏はロシアのプーチン大統領を「愛国者」と呼び、ロシアの侵攻を受けるウクライナ支援の停止を訴えていた。こうした経緯から「ロシアの関与」(チョラク氏)を疑う見方もある。
一方、投票データが改ざんされた形跡はなく、多くの有権者がジョルジェスク氏に一票を投じたことは事実だ。今回の事態は政治への潜在的な不満が表れたともいえる。
ジョルジェスク氏は選挙のやり直しについて、民主主義を攻撃する「クーデター」だと訴え、支持者に当初の予定通り投票所に足を運ぶよう呼び掛けた。【12月8日 時事】
******************
****ルーマニアの憲法裁判所、大統領選第1回投票を無効と判断 勝利候補への影響工作が明るみに****
(中略)
「外国国家」作成のTikTokアカウントが活性化
(中略)
無所属の急進派であるジョルジェスク氏は、主にTikTokで選挙活動を行っていた。TikTokはこの疑惑を断固として否定していた。
こうしたなか、ヨハニス大統領は4日、国家防衛最高評議会の情報文書を機密解除した。
この文書は、2016年に「外国国家」によって作成された約800件のTikTokアカウントが先月、突然フル稼働し、ジョルジェスク氏を支持していたことを示唆した。
さらに、第1回投票の2週間前には、別の2万5000件のTikTokアカウントが活発化していたという。
ルーマニアの対外情報機関は、数万件のサイバー攻撃やその他の妨害行為を含むハイブリッド攻撃を行っていた「敵対国家」はロシアだと指摘した。
国内情報機関は、ジョルジェスク氏の突然の人気急上昇について、同一のメッセージやインフルエンサーを含む「高度に組織化された」ゲリラ的なSNSキャンペーンに起因するとした。
ジョルジェスク氏を宣伝するTikTok動画には選挙コンテンツとしての表示がなく、ルーマニアの法律に違反していたとされる。
アカウントの中には、ジョルジェスク氏のために1カ月で38万1000ドル(約570万円)をユーザーに支払っていたが、ジョルジェスク氏は自身の選挙活動に一切の支出をしていないと主張するものもあった。
ジョルジェスク氏は今週、BBCの取材の中で、自分はロシア政府の手先などではないと主張。ルーマニアの政治体制が自分の成功に対応できず、妨害しようとしていると主張していた。【12月7日BBC】
*******************
選挙運動におけるSNSの影響は大きな注意を払うべき問題ですし、ましてやロシアから資金が・・・となれば、明らかな選挙介入です。
ただ、それだけで終わる話ではなく、多くの有権者が無名だった極右候補ジョルジェスク氏に一票を投じたことは事実だという点を無視することはできません。
冒頭の【Newsweek】にあるように、“ジョルジェスク氏の躍進は主流政党に対する広範な不満を反映しており、自らを社会や経済から取り残された人々の代弁者と位置づける。
投票後、フェイスブックに「私は不当な扱いを受けた人々、屈辱を受けた人々、この世で自分は重要でないと感じている人々のために投票した! 投票は国家への祈りだ」と投稿した。”とも。
上記主張は、アメリカでトランプ氏が訴え、躍進した背景と重なります。ここに対応しない限り、“ジョルジェスク氏の躍進”を止めることはできません。
これまで世界の政治は、基本的には西欧的リベラリズムが牽引してきましたが、いま、ジョルジェスク氏と同様の訴えが各地で提起されています。