ほろ苦いチョコのお菓子も。

　テディちゃ、見てちょうだい、
　またまた差し入れをいただいちゃいましたよ。
　
「はやくゥ、ふッかつしろォ～ッてことでスよゥ、ネーさ」

　そうですね、
　美味しいものパワーで体調不良なんて
　ぶっ飛ばしちゃいましょう！

　で、これは……えーと、
　明治製菓さんの『ＲＥＧＡ（レガ）』。
　パリパリ焼き菓子を、ビターチョコでコートした
　一口サイズのチョコレート菓子、です。
　さあ、開けてみましょう。
　……あ～、チョコレートの良い香りがします♪

「わくわくッ♪　いただいちゃうでスよッ♪
　もぐぐ……わほォッ、
　これはァ、びたーでスよ、ネーさ！」

　ビター？
　本当だ、表面のチョコレート、けっこうほろ苦いですね。
　甘さをぐっと抑えてあって、
　大人向けのお味だと言えましょうか。
　パッケージにも『大人のほろにが』とありますが、
　その通りですね。
　後味きりり、とした
　この手の苦い系チョコも、
　割と好きなんです。

「かりりッ、しゃきッ、もぐもぐッ、
　あッたかァどりんくとォ、あうのでスゥ～♪」

　ですね。
　ネーさは、熱い緑茶とともにいただきました。
　カフェオレなどとも、合いそうです。

「ふゥッ、おいしかッたでス♪
　ネーさ、あしたのォさしいれェ、たのしみィでスねッ」

　……テディちゃ、なにやら誤解してませんか？

「ん～とォ、
　はちみつのさしいれェ、まッてるでス！」

　……やっぱり誤解してるわね……。

古き佳き時代の？《密室》ミステリ。

「ネーさぁ、きょうはァ、ふッかつゥ、でスかァ？」

　はい、復活めざして微力を尽くしたいと思います、テディちゃ。
　本日ご紹介いたしますのは、ミステリ。
　とてもオールドな佇まいの、探偵小説なんですよ。
　こちらをどうぞ！



　　　　　　　　　――　ビーコン街の殺人　――


　
　著者はロジャー・スカーレットさん、
　原著は１９３０年に、
　日本では昭和１５年に抄訳版が活字になり、
　’０７年１２月に完訳版（本書）が発行されました。
　
　かつて、あの江戸川乱歩さんも高く評価していたという傑作が、
　ようやく完全な形で
　日本のミステリファンの手元に届けられた、んですね。

「むかァしのォ、みすてり、なのでスッ」

　’３０年代のお話ですから、
　馬車はぎりぎり出てこないとしても、
　全体にオールドスタイルです。
　鑑識？　ありません。
　科学捜査？　それなんでしょう？
　資料のデータベース化？　どこの言葉だ、そりゃ？
　つまりは、地道な捜査がすべて、です。

「ふァ～、たいへん、でスゥ～」

　米国の都市ボストン、ビーコン街のお屋敷で
　殺人事件が発生！――との報を受け、
　捜査の指揮に当たるのはケイン警視。
　鑑識官や法医学者の助けもなく、
　ケイン警視が解決しなければならないのは、
　密室殺人！
　それも、２件も！

「えェッ？　ふたつもォ？」

　ケイン警視、なかなかの名探偵ぶりです。
　大概の名探偵氏と同じく、
　二番目の殺人を防ぐことはできませんでしたが、
　密室のからくりには、ちゃんと目処（めど）をつけました！

　残るは容疑者の絞り込みのみ……しかし？
　犯人の動機は？
　事件の混乱の中で行方不明になってしまった
　高価な翡翠の装飾品は、いまどこに？

「なんもん、やまづみィ、でス！」

　《本格》ではありますが、
　エラリー・クイーンや、日本の本格もの、とは
　また異なる《本格》密室ミステリです。
　『読者への挑戦！』
　『手がかりは全て諸君の眼前にある！』――
　等々の設定は組まれていませんので、
　これはアンフェアだよ！と言いたくなるミステリ読みさんも
　おられるかもしれませんが、
　そこは大きーく広ーい心で。

「うけとめるゥ、のでスね」

　驚いたのは、著者スカーレットさんの正体！
　なんと、イヴリン・ペイジさんとドロシー・ブレアさんという
　女性ふたりの合作ペンネームなのだそうです。
　まあ！　クイーンさんも真っ青の正体じゃありませんか！

「ふひゃあァッ、めずらしッ、でスね！」

　本国アメリカでは半ば忘れられた存在だという
　女性ふたりの作家さんによる密室ミステリ、
　古典モノが好きなミステリファンさんには
　ぜひ！のお奨め品です！
　江戸川乱歩さん好きの御方にも、お奨めですよ！

「おーるどの、みりょくゥ、でスねッ♪」