花も春待ち……。

　久々に、といってもほんの数日の空白、なのですが、
　お買い物に出動しましたら……
　あらぁ？
　いつの間にか、世の中は
　《雛祭り》モードに突入しちゃってますね？

　スーパーの生花コーナーには、
　桃の花、菜の花。

　季節のものコーナーには、
　ひなあられ。
　可愛いキャンディや、
　ピンク色のマシュマロ、
　ふわふわの綿菓子なども。
　
「ネーさ、テディちゃはァ、ひなあられェがいィでスゥ～♪」

　……こないだまでは、
　サクラが持てはやされていたのにね。
　そのちょっと前は、お正月飾りで、
　さらにちょっと前はバラや、ポインセチアだったり。

「ひなあられェ～ッ♪」

　雛祭りの次は、
　どこか華のないホワイトディ、
　ぼ～っとしてると桜が咲いちゃって、
　気付けばＧＷなのよ。
　
「ネーさ、あのゥ～、あられェ～……」

　でも、暦的には忙しくても、
　早く暖かくなってほしい、というのは本当ですね。
　今年は寒い冬だった、としみじみ思うのです。

「あられェ……」

　暖かくなったら、お出掛け気分も盛り上がりますよ。
　春の光の中、
　大好きな京都へ。
　鎌倉あたりもいいなあ。

「……ネーさ、もしかしてェ、
　ひなあられェ、にがてッ、なのでスねッ？」

　
　………………正解です。
　

たすきを繋げ！《リレー》式ミステリの結末は？

「ほわッ！
　さむそォな、ひょうしィ、でスよッ、ネーさ！
　ゆきでスゥ！」

　吹雪、ですからね、テディちゃ。
　ミステリファンにとっては非常に魅力的な言葉の一つなんです。
　他に、館、密室、孤島、孤立、雪上の足跡、連続、
　などという単語も加われば、もう無敵！
　本格ファンのハートを鷲掴みです！

「ふァ～……」

　本日ご紹介しますのは、
　珍しいスタイルのミステリ小説なんです。
　はい、こちらをどうぞ！


　
　　　　　　　　　　　　――　吹雪の山荘　――


　
　著者は、笠井潔さん、岩崎正吾さん、北村薫さん、若竹七海さん、
　法月綸太郎さん、巽昌章さん。
　’０８年１月に発行された新刊です。
　副題が《――赤い死の影の下に》。

「さくしゃさんがァ、ななにんッ？
　たんぺんしょうせつゥ、でスかァ？」

　いいえ、長編小説なんですよ。
　この御本は、いわゆる『リレー小説』。
　まず一人の作家さんが一つの章を書き、
　それを次の作家さんが書き継いでゆく……という形式の小説です。

　ミステリ小説の分野では、
　以前は盛んに行われたこの『リレー小説』、
　ネーさも巨匠アガサ・クリスティさんが参加したリレーミステリを
　読んだことがありますが……。

「うんうんッ？」

　難しいものだなあ、と唸らされました。
　一流のミステリ作家さんたちが集まっても、
　作品のカラーを統一し、キャラの解釈、
　トリックや動機を整合するのは
　生半なことではない、ようです。

「ふゥ～ん、それはァ、やッかい、でスね」

　厄介を、前途に横たわる困難を承知で、
　挑戦し、また大いに楽しむのがこの、
　リレー形式ミステリの醍醐味、とも申せましょう。

　現代日本のミステリファンさんは、
　著者名を聞いただけで、
　む！と拳を握り締めちゃうんじゃないでしょうか。
　あの御方が！
　この作家さんも！
　リレーのメンバーに加わっておられます。

　しかも、『吹雪』に『山荘』と来られては！

「ははァ～、むてきィ、なのでスねェ」

　とある山奥の、コテージ村。
　雪に降り込められた山荘に、悲鳴が響き渡ります。
　すわ、と捜査に乗り出すのは、
　何人もの名探偵やワトソン役さんたち。
　いったい何が起きたのか？
　大晦日の夜の悪夢なのか？
　電話線が不通？
　外部との連絡は断たれた……！
　
　笑いや不条理をちりばめ、
　多分にクイーンを意識した展開は、万華鏡のようです。
　書き手が変わると、様相も変わり、
　どんどん『事件』が積み重なって……？
　
　もちろん、結末は言えませんが、

「ひみつゥ、ひみつゥ！」

　巻末、作家さんたちがそれぞれ記した『解決予想』が
　また、にやり、とさせられる《読みどころ》です。
　これあっての、リレー小説！
　壮大な『お遊び』のクライマックスですね。

「だいこんらんッ、しちゃうかもォ～」

　’０８年、年頭期の話題作、
　ミステリ好きさんは、
　とりあえず読んでおきましょ！