テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

踏ん張れアニマルズ!

2010-09-30 23:24:35 | ブックス
 もう10月! 衣替えの季節ですね。
 秋冬ものの衣服を準備するのは人間で、
 夏毛から冬毛にモフモフと変わってゆくのは動物たち。
 こんにちは、今日は動物ミステリ気分のネーさです。

「こんにちわッ、テディちゃでスゥ!」
「ぐるる!」(←訳:虎です!)
「どうぶつゥ、みすてりィ!!
 くまはァ、でまスかッ?」
「がるるっ?」(←訳:虎はっ?)

 まあまあ、落ち着いて。
 どんな動物くんが登場するのかというと……はい、こちらを、どうぞ~!


 
                 ―― 小鳥を愛した容疑者 ――



 著者は大倉崇裕さん、’10年7月に発行されました。
 題名から、もうお判りですね。
 表題作にして御本の冒頭を飾る第一話は……小鳥さんたちのものがたり!

「えェ~??
 ことりがァ、しゅやくゥ~?」(←やや不満のようです)
「ぐるるがるるる~…」(←訳:鳥が主人公かあ~…)

 あら、勘違いしちゃいけませんよ。
 主人公さんは、人間、それも現役の刑事さんです。

 須藤友三(すどう・ともぞう)さんは、
 警視庁捜査一課の刑事さん!……でした。
 或る事情により、大怪我を負い、
 半年もの闘病生活を余儀なくされてしまいました。
 退院から三ヶ月経った今も、
 体力は順調に回復しておりますが、
 気力は……
 どこかに置き忘れてしまったような気がしています。

「むりしちゃァだめだよゥ、おじちゃんッ!」
「がるがるぐるる!」(←訳:あせらないで!)

 現場復帰への道は、ただただ、遠い……
 一課には、既に須藤刑事の居場所はありません。
 代わりに用意されたのは、
 総務部総務課課長代理心得という、
 聞いたこともないような部署の一席。
 俺はここで飼い殺しにされるのかと、
 須藤さん、暗澹たる心地になりましたが。

 事件です!
 お仕事ですよ、須藤さん!

「よかッたでスねッ!」
「がるぐるがるる!」(←訳:現場復帰だ!)

 そう、現場へ!
 でも、あららららら?
 現場で須藤さんと、
 須藤さんの唯一の部下、薄圭子(うすき・けいこ)巡査に任されたのは、
 動物の世話?

 容疑者が所有していたペットの世話をしろ、と??!!

「……かわッたァおしごとでスゥ!」
「がるがるる?」(←訳:どういうことだろ?)

 罪を憎んで人を憎まず。
 同じように、
 刑事事件の容疑者ではあっても、
 彼もしくは彼女の飼うペットに罪はありません。
 動物愛護の精神にのっとり、
 そんなペットたちをケアするために設けられたのが
 警視庁総務部総務課の動植物管理係だったのです。

 動物に関する知識などほぼ皆無の須藤さん、
 かたや、ほぼ専門家!の薄さん。
 須藤さんはアタフタと、
 薄さんはウキウキと、
 容疑者のマンションを訪れますが……

「ひゃあッ!
 ことりがァ、いッぱいィでス!」
「ぐるるがる~!」(←訳:すごい数~!)

 小鳥と、
 小鳥のカゴが置かれたマンションの一室。
 ふたりの探偵さんは、そこから何を読み取るのでしょうか?

 須藤さんと薄さんの、
 漫談さながらの珍妙にして的を射たやりとり。
 冗談のように見えて手抜き一切なし!の本格ぶり。
 動物くんたちの、見事な脇キャラ具合。
 幾つもの高いハードルを軽々と越えた
 4編から成る秀麗な連作ミステリ、です!
 ミステリ好きさん、ぜひとも一読を!

「どうぶつゥすきならァ、きッとォ、たのしいィ~♪」
「ぐるるがるるぐるるる!」(←訳:ワンにゃんマニアさんにもおすすめです!)
 
 
コメント (4)
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