テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

光のアトリエへ。

2012-03-08 23:29:23 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 ……ん? おやや? 
 どこからかヘンテコで調子の外れた音頭が聞こえてきますね~?

「うんとこしょッ、どッこいしょッ、やッこらせェのォ、どッこいしょッ!
 ふゥ~ッ!
 こんにちわッ、テディちゃでス!」
「がるるー!ぐるるぐる!」(←訳:虎ですー!重たいよう!)
「よッこらしょッ!」

 あ~らら~まあ♪
 これは、本日ご紹介する予定の写真集!
 大判で、重量感たっぷりのこの御本を運んできてくれたのね!ありがとう!
 テディちゃと虎くんの壮挙に感謝しながら、
 では、今日も読書タ~イム!
 こちらを、どうぞ~!

  


 
               ―― 芸術家の家 ――


 文章はジェラール=ジョルジュ・ルメールさん、写真はジャン=クロード・アミエルさん、
 原著は2004年に、画像の日本語版は2012年1月に発行されました。
 原題は『Maisons d’Artistes』、
 『作品の生まれる場所』と日本語副題が付されています。

「げィ~じゅつゥ~でスかッ?」
「がるるぐるがるるっ?」(←訳:バクハツしちゃうのっ?)

 ご安心くださいな、
 バクハツが起こるのは、
 カンヴァスや原稿用紙の中。
 この御本に収録されているのは、
 芸術家さんたちが住まい、
 疲れた心と身体を休めるために造った、
 憩いの空間を切りとった写真の数々です。

 フォーヴ/キュビズム派の画家アンドレ・ドランさん、
 英国の芸術運動『ブルームズベリーグループ』のアトリエ、
 プラハにある彫刻家フランティシェク・ビーレクさんの家、
 ウィリアム・モリスさんの夢の家、
 現在は美術館となっている画家ギュスターヴ・モローさんの館……
 
 どのお家も、独特の雰囲気があって、
 ……美しい!
 調度品や壁の絵画が高価だから美しい、のじゃありませんよ。
 ここに暮らしたひとの
 心映えが、
 部屋部屋に陽の光を呼び入れ、
 明るく照らしているんです。

「ひゃほゥ! もねさんのォ、おうちィ!」
「がるぐるぐるるー!」(←訳:睡蓮の池だー!)

 この御本に関して、
 画家の横尾忠則さんが朝日新聞読書欄に書評をよせておられます(2月26日付)。
 その文章を拝読いたしましたところ、
 横尾さん、ちょっと御不満の模様ですね……?

 モネさんの睡蓮の池や花樹園が写真に反映され切っていない……
 ルネ・マグリットさんの家の写真を見れば
 写真家が彼の絵を理解していないことが明白だ……
 ジョルジョ・デ・キリコさんのお家の内部には
 もっと撮らなくてはいけないものがあったのに……!
 誰も気付かなかったのか?
 キリコさんがイーゼルの裏に残した秘密の言葉に?

「えェ~ッ?!!
 それはァ、みてみたいィでスゥ!」
「がるるぐるが~る!」(←訳:ボクも見た~い!)

 観方はいろいろあるでしょうが、
 どの芸術家さんのお家にも、
 日本とは異なる《光》を感じます。
 それは、光の色合いであり、角度であり、
 湿度を含めた天候の違い……
 いわば、油彩画と日本画の差違、でしょうか。

 私ネーさが特に感銘を受けたのは、
 アルフレート・クビーンさん(1877~1959)のお家。
 ここ日本ではあまり知られていないクーヒンさんは、
 幻想的な画風の素描、挿絵を描いた画家さんです。
 青騎士グループのメンバーとして名を成した彼は、
 しかし、幼年時代から身辺に相次ぐ不幸に苦悩し、
 幾度となく心を病んだひとでした。
 そのクビーンさんの家に、
 いまも遺される静謐……。
 
「むむゥ~…!
 ふしぎなァおうちィ、でス!」
「ぐるるがるがるぐるる……?」(←訳:どこでもないようなどこか……?)

 アルフォンス・ミュシャさん、
 ジェームズ・アンソールさんのファンの方々、
 建築好きさん、
 インテリア好きさん、
 写真好きな御方にもおすすめの、
 大型写真集です。
 “ここではないどこか”をちょこっと覗いてみたい御方も、ぜひ~!

「すごォ~くゥ、おもたいィでスゥ!」
「がるるるぐるぐるる!」(←訳:肩凝りに気を付けて!)
 
 
コメント
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