こんにちは、ネーさです。
春は名のもの、夜風の冷たさよ……
今宵は金星ちゃんも見えず、ちょいっと残念です。
「こんにちわッ、テディちゃでス!
ネーさッ! いまァ、わだいィなのはァ、きんせいィよりもッ!」
「がるる!ぐるがるがるるー!」(←訳:虎です!金環食ですよー!)
あら、そうね!
ネットショップでは日食を見よう!グッズがた~くさん販売されているようです!
ン百年に一度の天体ショー、
お天気が良いことを祈願いたしましょう!
「はれまスようにィ!」
「がるぐるぐるーがるるるー!」(←訳:雲はノーサンキュー!)
たった一日のお天気に大勢の人が浮き浮きしたり、心配したり。
たかが《たった》、されど《たった》。
本日ご紹介いたしますのも
《たった》一日がいかに巨大なうねりの起点と成り得るのか、を
突き詰め、追いかけた作品です。
さあ、こちらを、どうぞ~!
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―― マリー・アントワネット 運命の24時間 ――
著者は中野京子さん、2012年2月に発行されました。
『知られざるフランス革命、ヴァレンヌ逃亡』と副題が付されています。
「うむッ! テディちゃ、しッてるでスよゥ!」
「がるる!ぐるるがるるるー!」(←訳:ボクも!漫画で読んだよー!)
「おうさまのォ、だいだッそうゥ!」
ええ、そうなんですよね。
日本人にとっていちばん親しみあるフランス革命の物語といえば、
池田理代子さん著『ベルサイユのばら』。
作品中に、王さま一家が国外逃亡を試み、
あえなく失敗に終わるエピソードが描かれていたのを
御記憶の方々もおられるでしょう。
この御本が主題としているのは、まさにその、
『ヴァレンヌ逃亡』事件です。
1791年6月20日。
月曜日でした。
フランス国王ルイ16世と、
王妃マリー・アントワネットは
パリを脱出しました。
国王は貴族夫人に雇われた執事を装い、
王妃は子どもたちの養育係に扮して、
目指すはオーストリア領ベルギーに近い要塞モンメディ。
「ぱりィからァ、ひがしへッ!」
「がるぐるるる!」(←訳:馬車は走る!)
著者・中野さんは克明に、そして詳細に、
逃亡事件ドキュメントを作成してゆきます。
ルート、馬車の不具合が起きた場所、
のんびり休憩した村――
「のんびりィはァ、だめでスよゥ!」
「ぐるるがる!」(←訳:急がないと!)
そう、急がなければ!
休憩なんてしていられません!
早く! 急いで!
……ですが、私たちは既に知っています。
この逃亡劇が成功しないことを。
モンメディまであと少し、
ヴァレンヌの町で、短い旅は終わりを迎えることを。
刻々と、破滅のときが迫っていることを……。
読み始めて、すぐに気付かされるのは、
これは王一家の行動を追うドキュメントでありながら、
また同時に、
貴族フェルゼンのものがたりであることです。
「ふぇるぜんさんはァ、おうひさまのォこいびとッ!」
「がるるぐる!」(←訳:なんだよね!)
スウェーデン貴族、ハンス・アクセル・フォン・フェルゼン。
王妃の恋人、愛人、というよりは、
まるで、魂の同盟者を想わせる存在。
或いは、志を同じくする共闘者――
どこまでも共鳴する二人は、
しかし、その生涯でひとときも、ほんの一瞬も、
ともに魂を共鳴させ得る“誰か”を持たなかった国王の誤謬によって
再生の道を絶たれました。
一日のはての、朝。
ヴァレンヌの空に王妃が見出したのは、
これで終わった、という絶望だったのでしょうか。
それとも、
いつかは、きっとまだ、という希望だったのでしょうか――
《フェルゼンもアントワネットも負けるべくして負けた》
と、著者・中野さんは記します。
ええ、その通り、
勝ち目のない負けいくさだったかもしれません。
危険な賭け、だったかもしれません。
そうと解っていても、
やらずにはおれなかった乾坤の一戦、でした。
「おうひさまのォ、うんめいはァ」
「ぐるがる!」(←訳:彼の運命!)
思い入れ深く描かれる、
たった24時間の、
長い長い24時間の物語。
すべての活字マニアさんに、おすすめです!
春は名のもの、夜風の冷たさよ……
今宵は金星ちゃんも見えず、ちょいっと残念です。
「こんにちわッ、テディちゃでス!
ネーさッ! いまァ、わだいィなのはァ、きんせいィよりもッ!」
「がるる!ぐるがるがるるー!」(←訳:虎です!金環食ですよー!)
あら、そうね!
ネットショップでは日食を見よう!グッズがた~くさん販売されているようです!
ン百年に一度の天体ショー、
お天気が良いことを祈願いたしましょう!
「はれまスようにィ!」
「がるぐるぐるーがるるるー!」(←訳:雲はノーサンキュー!)
たった一日のお天気に大勢の人が浮き浮きしたり、心配したり。
たかが《たった》、されど《たった》。
本日ご紹介いたしますのも
《たった》一日がいかに巨大なうねりの起点と成り得るのか、を
突き詰め、追いかけた作品です。
さあ、こちらを、どうぞ~!
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―― マリー・アントワネット 運命の24時間 ――
著者は中野京子さん、2012年2月に発行されました。
『知られざるフランス革命、ヴァレンヌ逃亡』と副題が付されています。
「うむッ! テディちゃ、しッてるでスよゥ!」
「がるる!ぐるるがるるるー!」(←訳:ボクも!漫画で読んだよー!)
「おうさまのォ、だいだッそうゥ!」
ええ、そうなんですよね。
日本人にとっていちばん親しみあるフランス革命の物語といえば、
池田理代子さん著『ベルサイユのばら』。
作品中に、王さま一家が国外逃亡を試み、
あえなく失敗に終わるエピソードが描かれていたのを
御記憶の方々もおられるでしょう。
この御本が主題としているのは、まさにその、
『ヴァレンヌ逃亡』事件です。
1791年6月20日。
月曜日でした。
フランス国王ルイ16世と、
王妃マリー・アントワネットは
パリを脱出しました。
国王は貴族夫人に雇われた執事を装い、
王妃は子どもたちの養育係に扮して、
目指すはオーストリア領ベルギーに近い要塞モンメディ。
「ぱりィからァ、ひがしへッ!」
「がるぐるるる!」(←訳:馬車は走る!)
著者・中野さんは克明に、そして詳細に、
逃亡事件ドキュメントを作成してゆきます。
ルート、馬車の不具合が起きた場所、
のんびり休憩した村――
「のんびりィはァ、だめでスよゥ!」
「ぐるるがる!」(←訳:急がないと!)
そう、急がなければ!
休憩なんてしていられません!
早く! 急いで!
……ですが、私たちは既に知っています。
この逃亡劇が成功しないことを。
モンメディまであと少し、
ヴァレンヌの町で、短い旅は終わりを迎えることを。
刻々と、破滅のときが迫っていることを……。
読み始めて、すぐに気付かされるのは、
これは王一家の行動を追うドキュメントでありながら、
また同時に、
貴族フェルゼンのものがたりであることです。
「ふぇるぜんさんはァ、おうひさまのォこいびとッ!」
「がるるぐる!」(←訳:なんだよね!)
スウェーデン貴族、ハンス・アクセル・フォン・フェルゼン。
王妃の恋人、愛人、というよりは、
まるで、魂の同盟者を想わせる存在。
或いは、志を同じくする共闘者――
どこまでも共鳴する二人は、
しかし、その生涯でひとときも、ほんの一瞬も、
ともに魂を共鳴させ得る“誰か”を持たなかった国王の誤謬によって
再生の道を絶たれました。
一日のはての、朝。
ヴァレンヌの空に王妃が見出したのは、
これで終わった、という絶望だったのでしょうか。
それとも、
いつかは、きっとまだ、という希望だったのでしょうか――
《フェルゼンもアントワネットも負けるべくして負けた》
と、著者・中野さんは記します。
ええ、その通り、
勝ち目のない負けいくさだったかもしれません。
危険な賭け、だったかもしれません。
そうと解っていても、
やらずにはおれなかった乾坤の一戦、でした。
「おうひさまのォ、うんめいはァ」
「ぐるがる!」(←訳:彼の運命!)
思い入れ深く描かれる、
たった24時間の、
長い長い24時間の物語。
すべての活字マニアさんに、おすすめです!