テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

― 天地に咲く花 ―

2012-03-23 23:27:54 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 祝~!
 荒川弘さん著『銀の匙Silver Spoon』が《マンガ大賞2012》を受賞!!
 おめでとうございます荒川センセ!

「こんにちわッ、テディちゃでスゥ!
 きゃほほゥッ~♪ おめでとうございまスッ!」
「がるる!ぐるるっがるーっ!」(←訳:虎です!やったやったー!)

 『銀の匙』愛読者としては嬉しさ鯉の滝登り~!なニュースでした♪
 来年度のマンガ大賞はどんな作品が…??と心躍らせつつ、
 さあ、本日の読書タイムは、こちらを、どうぞ~!

  


 
            ―― DIAGHILEV デイアギレフ ――


 
 著者はシェング・スヘイエンさん、原著は2009年に、日本語版は2012年2月に発行されました。
 オランダ語原題は『SERGEJ DIAGHILEV:EEN LEVEN VOOR DE KUNST』、
 『芸術に捧げた生涯』と日本語副題が付されています。

「ふむふむッ、このごほんはァ~」
「ぐるがるる?」(←訳:伝記ですか?)

 ええ、そうなんですよ。
 この御本は、2009年にオランダで出版された、
 ディアギレフさんの生涯を追った伝記作品!
 著者のスヘイエンさんは、この著作によって世界的な名声を得ました!

 ……とはいっても、
 現代の日本で、ディアギレフさんの名を知っている人の数は……
 どうなんでしょう?
 あまり大勢はいない、のかもしれませんね。

 セルゲイ・パヴロヴィチ・デイアギレフさん(1872~1929)。
 彼の功績として最も知られているのは
 『バレエ・リュス』の主宰者、
 現代バレエの父、
 といった事柄でしょうか。

「ばれえのォ、ぱぱッ?」
「ぐるるーがるがるる?」(←訳:ダンサーさんですかあ?)

 ディアギレフさん自身は、踊り手ではありませんでした。
 しかし、舞台の演出を手掛けさせては、
 彼の右に出る者はいなかったのです。

 ディギレフ一族は、もとはロシア貴族の家柄です。
 貴族とはいえど、さほど裕福なお家ではなく、
 若き日のセルゲイさんは美術展の企画や雑誌の編集に係わります。
 その後、舞台演出へ、
 そしてバレエ団の創設へ、と進み、
 つまりは《総合プロデューサー》になっちゃいました!

 作曲家さんと組み、
 美術家さんに衣装デザインを依頼し、
 ダンサーさんを発掘し、
 皇帝一家の前で、
 パリの大劇場で、センセーションを巻き起こす!

 ディアギレフさんとお仕事をしたアーティストさんの名を挙げてゆけば、
 そのまま20世紀のアート人名録になるほど、
 豪華極まる人材が、
 なぜか、彼の周囲に集まったんですね。

「たとえばァ、ぴかそさんッ!」
「がるぐるがるるる!」(←訳:例えばラヴェルさん!)

 ストラヴィンスキーさん、
 ドビュッシーさん、
 ジャン・コクトーさん、
 マティスさん、
 そして踊り手の、ニジンスキーさん、
 バランシンさんやリファールさんたち……

 彼らは、舞台芸術に大きな変化と変容をもたらします。
 ディアギレフさんとバレエ・リュスなしに、
 現在のモダン(コンテンポラリー)・バレエは
 存在し得なかったことでしょう……!

「てんさいィ、でスねッ!」
「ぐるるがるる!」(←訳:際立つセンス!)

 今でこそ大国、大経済国家となりましたが、
 19世紀の頃は、まだまだ、野蛮な、未開の地を抱えた田舎、と
 他の欧州の国家から見下されていたロシアという国を、
 ロシアの美を、
 真摯に愛し、慈しんだディアギレフさん。

 ですが、革命運動が、革命後の新政府が、
 彼から《故郷》を奪います。
 一流、いえ、超一流の天才たちとのエゴのぶつかり合いも、
 おそらくはディアギレフさんの心身に
 ダメージを与えました。

 最期は、ヴェネツィアで。
 まるで小説の主人公のように、
 彼は世を去ります。
 看取った者の一人には、ココ・シャネルさんがおりました……。

「はらんばんじょうゥのォ、しょうがいィ、なのでスゥ……!」
「ぐるがるぐる!」(←訳:まるで嵐だ!)

 膨大な量の資料の検証と調査のはてに、
 著者・スヘイエンさんの筆で
 ようやく浮かび上がるセルゲイ・ディアギレフさんの真の姿、とは?
 彼が愛し、人生を捧げた芸術――美とは?

 では、本日は、
 ディアギレフさんを想う
 プロコフィエフさんの言葉で
 締めくくりましょう――

 
  《巨人です。
   遠ざかるにしたがって、ますます大きくなってゆく唯一の巨人です》

コメント
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