テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

静かな村の、真の貌は?

2012-03-13 23:35:49 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 今日も発見しましたよ~!
 あれは……早咲きの、桜~っ?!?

「こんにちわッ、テディちゃでス!
 わほほゥ♪ さくらァ~ッ??」
「がるる!がるぐるっ♪」(←訳:虎です!桜ですかっ♪)

 遠目でしたので、はっきりとは分からなかったのですけれど、
 枝ぶりが、梅とは異なるあの樹は……桜!のような気がいたします。
 桜でありますように♪と願いつつ、
 本日の読書タイムは、こちらを、どうぞ~!

  


 
                ―― 最初の刑事 ――


 
 著者はケイト・サマースケイルさん、原著は2008年に、日本語版は2011年5月に発行されました。
 英原題は『The Suspicions of Mr.Whicher or the Murder at Road Hill House』、
 『ウィッチャー警部とロード・ヒル・ハウス殺人事件』と日本語副題が付されています。
 2011年の出版界で高い評判を得たこの御本は、
 ノンフィクション作品!
 実際に起きた、英国犯罪史上もっとも有名な《事件》を扱っているんですよ。

「むッ! どッしりィ!」
「がるぐるるぅ!」(←訳:厚みがあるぅ!)

 そうですね、
 《事件》を解析するには、
 2010年代の現在から、ぐ~っと時計を
 150年分巻き戻さなければなりません。
 そのためには、これだけの重量が必要だったのです。

「ひゃくごじゅーねんッ!」
「ぐるるるー!」(←訳:19世紀だー!)

 150年も昔むか~しの19世紀――ヴィクトリア朝は、
 現代とは文化的にも科学的にも
 大きく時代背景が異なるはずよね。
 犯罪なんて少なくて、
 国境を越えての大規模詐欺事件とかも無くて、
 人々の気質ものんびり……
 なのだろうなぁ、と思っていると、大変です!

 第一章から、
 いえ、巻頭の資料図版から、度肝を抜かれました。
 
 事件があった家の間取り図?
 この図面が公開されたのは、1961年刊行の本?
 家のスケッチ? 鳥瞰図?
 家系図?
 本文の各文章には関係者の顔写真も?
 修正なしで?
 これらは、みんな……
 当時の新聞や雑誌に掲載されたもの?!?

「うひゃわゥ! ぱぱらッちィ、でスかッ?」
「がるるぐるーがるるっ?」(←訳:プライバシーはどこっ?)

 1960年、7月――夏。
 《事件》が起きたのは、英国ウィルトシャー州のトロウブリッジ。
 或る日のことでした。

 それが、
 どのような《事件》であったのか、
 敢えてここには記しません。
 ただ、ひどく哀しい出来事であったと
 申し上げるにとどめましょう。

 異変を察知した家人は
 助けを求め、
 近所の警察官のもとへ馬を走らせます。
 
  早く!
  早く警官を連れてこよう!

 この瞬間、
 何かが大きく変わりました。
 
「しずかなァむらがッ、だいこんらんでスよゥ!」
「ぐるがるがるるるがるっる!」(←訳:全国に注目されちゃったあ!)

 村のお屋敷『ロード・ヒル・ハウス』で何があったのか?
 
 周辺住民は噂し、
 新聞各社は大勢の記者をウィルトシャーに送り込み、
 大報道合戦を繰り広げます。
 いっこうに犯人を逮捕する様子もない警察は非難され、
 ロンドン警視庁の優秀な刑事さんが現地入り!
 現地警察と、
 ロンドンの刑事さんは方針を合致できず、
 政治的圧力や思惑が
 審理を不公平な方向へと曲げてゆく……

 って、これ、どこかで聞いたような気がしません?

「しまスゥ! しまスゥ!」
「ぐるぐるるがるー!」(←訳:現代と一緒だー!)

 近代警察が生まれようとする1960年代の英国――
 それは、探偵小説が産声をあげた時代でしたが、
 現代とほぼ変わらぬ《マスメディア》が根付き始めた時代でもありました。

 翻弄される『最初の刑事』ことジョナサン・ウィッチャー警部。
 群がる新聞記者をかきわけて、
 彼はひとつの結論に達しますが、
 そこに《正義》は……あるのでしょうか?

「しんぶんッ、こわいィ!」
「あるるがるるぐる!」(←訳:市民さんたちも怖いよ!)

 あまりにも21世紀そのもの!な
 “近代”の素顔に、
 戦慄さえ覚える大作ノンフィクションです。
 ミステリ好きさんよりも、
 歴史好きな活字マニアさんに、ぜひ!
 ホームズマニアさんも、読んで下さいね!
コメント
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