テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

渋味のような、旨味のような。

2012-03-16 23:20:30 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 日本はこ~んなに寒いのに、
 米国・ワシントンDCでは連日の20℃越え?
 100周年記念のサクラ祭りも前倒しになっちゃう暑さだそうですよ!

「こんにちわッ、テディちゃでス!
 さくらがァ、うみをォわたッてェ、ひゃくねんッ♪」
「がるる!ぐるっがるる~ぐるがる!」(←訳:虎です!桜よ、ゆっくり長~く咲け!)

 サクラのお花が結ぶ“縁”も記念して、
 というのは大袈裟ですが、
 本日の読書タイムは、
 アメリカの文学と繋がるこちらの御本を、さあ、どうぞ~!

  


 
            ―― アメリカ・ハードボイルド紀行 ――


 
 著者は小鷹信光(こだか・のぶみつ)さん、2011年12月に発行されました。
 『マイ・ロスト・ハイウェイ(MY LOST HIGHWAY)』と副題が、
 『HARD - BOILED ODYSSEY AROUND U.S.A』と英題が付されています。

 先日は英国犯罪史に残る有名な事件のノンフィクション、
 前回記事では日本SF文学史のノンフィクション、と来て、
 今回も……
 なぜかノンフィクション作品の御紹介となってしまいました~♪

「こんどはァ~、がッしゅうこくゥ!」
「がるる~!」(←訳:広いよ~!)

 この御本に収録されている
 著者・小鷹さんの最も古い作品は
 1961年に著したダシール・ハメットさんへの追悼文、
 対して最も新しいものが2011年のエッセイ、と
 50年に及ぶ長い旅路――オデッセイになりました。
 遠く、悠然と、端然と。

 本家・古代ギリシアの知将オデッセウスさんの放浪を
 軽く上回る小鷹さんの米国の旅は、
 なにやら、
 フェルメールさんの全作品を観るんだー!
 と世界一周旅行へ飛び出す美術マニアさんを想わせるものがありますよ。

「まにあのォ、せかいィ、でスねッ!」
「ぐるるがるがる~!」(←訳:果てしがないよ~!)

 《ハードボイルド》とは、
 とても特異な文学と言えるのではないでしょうか。
 ミステリの一分野、である筈でしたが、
 ぐんぐん育って、
 あっという間に家出、いえ、独り立ち?
 本家の探偵小説をしのぐ人気ぶりとなりました。

 また、もうひとつの特異な点は、
 何度もの映像化に耐え得ること。

 一編の小説を原作に、
 数年おきに何回も、映画が撮影され、ドラマが作られ、
 それへ観客は、
 ああ、またか~、
 とは思わず、
 今度はどんな?
 と期待をもって論じ合う……

 おおまかなストーリーやオチは十分に分かっているけど、
 でもやっぱり観ちゃう!
 映画館で並んじゃう!

 これって、ちょっと普通じゃありません。

「ながいィおわかれッ!」
「ぐるるるがるぐるがるる!」(←訳:マルタの鷹も忘れないで!)

 ええ、小鷹さん御自身も書いておられますよ。

  《 私のバイブルはハメットの『マルタの鷹』ということになりそうだ 》

 そして、

  《 四半世紀後に、自分の手でこの小説を訳すことになろうとは、
    夢の中でしか考えていなかった 》

「ゆめがァ、ほんとうにィなッたッ!」
「がるるるぐるがる!」(←訳:それこそ夢のよう!)

 映画、映画のポスター、
 小説の装丁、
 カタログ、ピンナップポスター、
 ピンナップ画の描き手さんたち、
 作家さんとのインタヴュー、
 現在はもう寂れてしまった古いハイウェイ、
 アンティークの絵葉書の画面にのみ残る旧い街並み……

 それぞれの章のテーマは
 一見とりとめなく、
 しかしハードボイルド好きさんには宝箱のような、
 静かで、力強いこのノンフィクション作品は、
 映画好きさんにもおすすめです!
 M・モンローさんのエピソードも収められていて、
 マリリンさん大好きな私ネーさ、
 楽しく拝読いたしましたよ~♪

「しぶゥ~いィ、のんふぃくしょんッ!」
「がるるぐるがるがる~!」(←訳:その渋さが、良いんです~!)
 
 この渋みが、いつまでも輝きを保ち続けんことを!
コメント
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