テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

たぶん、“出る”んです。

2015-05-05 21:46:11 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでッス!
 はらはらァ、そわそわッ!」
「がるる!ぐるがる!」(←訳:虎です!緊張です!)

 こんにちは、ネーさです。
 CL準決勝1stレグの試合は、もう間もなく開始……!
 ユヴェントスを応援する私ネーさ、今夜は眠れそうにありませんが、
 活字マニアの皆さまは、ふっふっふっ、
 こちらの御本で眠れぬ夜を過ごしてくださいな~♪

  



             ―― ばけたま長屋 ――



 著者は輪渡颯介(わたり・そうすけ)さん、2014年12月に発行されました。
 スカイエマさんによる表紙画からは、
 ええ、聴こえてきますね、
 ドロロン!
 ヒュ~ドロドロ!という効果音が。

「もッ、もしやッ、それはッ、あのッ?!?」
「ぐるがるるっ??」(←訳:アレですかっ??)
「でもォ、あれにィしてはァ~…」
「がるるぐるるる?」(←訳:雰囲気明るいよ?)

 御本の題名から、なんとな~くお分かりでしょうか。
 『ばけ』って記されているくらいですから、
 はい、ここに登場する某長屋には……

 出ます。

「ひいいいッッ!」
「ぐるるー!」

 新しく入居したばかりの弦次(げんじ)さんは、
 まったく知りませんでした。

 店賃(たなちん)、つまり借り賃が安いのには
 そういう理由があったのか!
 
「まんまとォ~」
「がるるるる!」(←訳:やられたね!)

 お江戸の時代の、はて、いつの頃のことでしょう。

 弦次さんは、
 厳しい親方のもとで修業をし、
 年季を終え、御礼奉公も済んで
 独立したばかりの
 指物(さしもの)師さん。

 現代風に言えば、起業したばかりの
 ピヨっ子経営者さんだわね。
 社長兼社員の自分ひとり、
 夢はでっかく、不安もでっかい、
 門出の日々。

 ですから、経費を節約したくて、店賃の安いこの長屋へ
 越してきてしまったのですが。

「こうなッたらァ~、にげだそうゥ!」
「ぐるがっるるる!」(←訳:また引っ越しだ!)

 長屋が静かなのは、
 弦次さんと、
 もひとりの住人・三五郎さんの他に店子がいないから。
 店賃が安いのは、
 本当に“出る”から。

 と分かった後でも、
 弦次さん、引っ越しには踏み切れません。

 だって、家族親戚、友人知人、弟弟子たちにも
 断言しちゃったのです。

 俺はここに根を下ろして一人前になる!とね。

「みえッぱりィ!」
「がるっるる!」(←訳:意地っ張り!)

 理由は、もうひとつ、あります。

 “出る”という噂につられて、
 ひとりの絵師さんが長屋の新住人となりました。

 雲居朔天(くもい・さくてん)と名乗るその町絵師さんは、
 幽霊画を描きたいがために、
 この長屋に越してきたのです。

 リアルを追及する朔天さんに
 リアルな、いえ、正真正銘の幽霊を見せるべく、
 弦次さんは奮闘いたします。

 ……怖いもんなんて聞きたくも見たくもねえんだけどなぁ、俺。

 とボヤきながら。

「あはァ! こわがりィでスかッ?」
「ぐるるるがる!」(←訳:ビビリ屋さん!)

 最近流行っているオカルトユーモアお江戸ファンタジー小説かしら?
 そう思っていると、
 物語は良い意味で読み手を裏切る方向へ
 つつーっと進んでゆきます。

 はたして、
 朔天さんはみごと幽霊画をモノにすることが出来るのか――

「こわいィ~けどォ~…」
「がるるぐるるがるる!」(←訳:怖さを上回る好奇心!)

 落語の風味もキラリと光る、
 ライトでエンタな時代小説は
 楽しいフィクションが読みたい!とお望みの活字マニアさんにおすすめです。
 ぜひ、一読を♪
 
 
コメント
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