テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

稀代の策略家、それは……。

2015-05-07 21:47:54 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 つよいなァ、ばるさッ!」
「がるる!ぐるるがっるぐる!」(←訳:虎です!やはりメッシさん!)

 こんにちは、ネーさです。
 どうしたバイエルン、
 どうしたノイアー兄貴、底力見せろー!
 と叫びたくなった本日の読書タイムは、
 さあ、こちらの御本を、どうぞ~♪

  



           ―― ペロー昔話を読み解く ――



 著者は末松氷海子(すえまつ・ひみこ)さん、2015年4月に発行されました。
 『赤ずきんの森へ』と副題が付されています。

 《ペロー昔話》あるいは《ペロー昔話集・寓話集》といえば、
 このGWはTVや新聞などメディアでCMが盛んでしたね、
 あの――

「しんでれらァ、でスねッ!」
「ぐるがるー!」(←訳:映画公開ー!)

 え? ペロー童話?
 あれってグリム童話でしょ?
 と思った方々もおられるでしょうが、
 ヤーコプさんとヴィルヘルムさんのグリム兄弟が活躍したのは
 19世紀の前半から中頃にかけて、です。

 一方、シャルル・ペローさん(1628~1703)は
 17世紀のフランス人。
 なので、童話の語り手としては
 ペローさんの方が先達、というか、先輩、なわけですね。

「ふむむゥ! とするとォ~」
「がるるぐるるがるーぐる?」(←訳:童話の本家はペローさん?)

 日本では『シンデレラ』として知られ、
 ペロー童話では『サンドリヨン、または小さなガラスの靴』
 と題されている物語には
 多くの類話があります。

 御本の著者・末松さんによれば
 最古の例は、紀元前一世紀に
 ギリシャの歴史家ストラボンさんが記録したもの、だそうです。

 それが、欧州全体に広まり、
 各地に語り継がれるようになりました。

「むかしばなしィもォ~」
「ぐるがるるる?」(←訳:進化するんだ?)

 この御本では、ペロー昔話集の
 『眠れる森の美女』
 『赤ずきんちゃん』
 『青ひげ』
 『長靴をはいた猫』
 『サンドリヨン』
 などを取り上げ、
 グリム童話との違い、
 キャラクターや背景の差が
 丁寧に解析されています。

 その中で、私ネーさが感動すらおぼえたのは、
 『サンドリヨン』(シンデレラですね)よりも、
 『長靴をはいた猫』の章だったんですけど。

「にゃんこォ、でスかァ?」
「がるるるぐる!」(←訳:アニメが有名!)

 現ジブリの高畑さん&宮崎さんが制作スタッフに参加した東映の長編セルアニメや、
 米国ではCGでアニメ化された『長靴をはいた猫』。

 その本質を、著者・末松さんは鋭く喝破します――

   一口で言えば、フランス民話の特色は
   《この世は馬鹿と悪党の集まりである。
    バカになるよりはむしろ悪党を目指せ》
   という価値観に貫かれている。

「ええええェ~ッ??」
「ぐるるがるるぐるっ?」(←訳:それが童話の本質っ?)

 驚き呆れつつも、
 『長靴をはいた猫』のストーリーを思い返してみると……
 おお、その通りかも?

 権謀術数を駆使して
 主人である粉屋のせがれを
 のし上がらせてゆく猫!
 王さまも人食い鬼も、粉屋のせがれさえも、
 彼=猫にとっては操るべき人形に過ぎない?

「そッ、そうなのォでスかッ!」
「がるるるぐるる!」(←訳:恐るべき策略家!)

 さすがはペローさん、
 ルイ14世の宮廷を泳ぎ切った知識人だわ。
 『長靴をはいた猫』に
 こんなウラの顔があったとは。

「たのしィ~けれどォ~…」
「ぐるるがる!」(←訳:コワい顔だ!)

 まだまだ謎に満ちた《昔話》の世界を遊泳する
 楽しいノンフィクション、
 映画好きな御方にも
 児童文学好きな御方にもおすすめです。
 手に取ってみてくださいね~♪
 





 
コメント
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