テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

気魄の、疾走!

2015-12-22 21:49:25 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでッス!
 ほりでィ~しィ~ずんッ、なのでス!」
「がるる!ぐるるがるーる!」(←訳:虎です!冬休みカモーン!)

 こんにちは、ネーさです。
 都下の小学校は今日で授業は終わり、なのかしら?
 たくさんの荷物を抱えるチビっ子たちが
 午後の通学路を歩いてましたよ。
 では、活字マニアの皆さまも
 こちらの御本で楽し~い冬の読書タイムを、どうぞ~♪

  


 
         ―― アルファベット・ハウス ――



 著者はユッシ・エーズラ・オールスンさん、原著は1997年に、
 画像の日本語版は2015年に発行されました。
 原題は『ALFABETHUSET』、
 《特捜部Q》シリーズで母国デンマークはもちろん、
 英語圏、ドイツやオランダ、そして日本でも大人気の
 著者・オールスンさんによる、
 “戦争小説ではない”戦争小説です。

「えッ? せんそうゥ??」
「ぐるぅるるる?」(←訳:Qじゃないの?)

 この作品は、1997年――
 《特捜部Q》シリーズ第一作『特捜部Q―檻の中の女―』(2007年刊行)よりも
 前に書かれた長編小説作品です。

 経験と勘を頼りにしぶとく捜査するデンマークの警察官さん、
 不思議な粘り強さと機智で
 事件の核心に突進してゆく部下さんたちも 
 この物語が書かれた時点では
 まだ生まれていません。

 しかし、彼らの誕生を予見させるかのような、
 奇怪な、それでいてひどく骨太で壮大な
 ドラマが展開します。

 背景となっているのは……

 第二次世界大戦。

「たたかいィのォ、まッただなかァ!」
「がるるる!」(←訳:最前線だ!)

 英国軍のパイロット、
 ブライアン・ヤングさんと
 ジェイムズ・ティーズデイルさん。

 1944年1月、
 クリスマス休暇を早めに切り上げさせられ、
 ふたりはドイツの航空機工場を爆撃する作戦任務に
 讃歌することになりました。

 ドイツへの、長く危険な空の旅。
 そのはてに襲い来るのは
 予想もしなかったトラブルと
 ドイツ空軍のメッサーシュミットの機影……!

「うわわわァんッ!」
「ぐるるぅ!」(←訳:敵機だぁ!)

 ふたりの乗ったマスタング機は、
 うなり、しなり、墜落してゆきます。
 かろうじて機を脱出、
 パラシュートで地上に降り立ちましたが、
 そこは……

 敵国・ドイツの領土。

「とおいィのでスゥ!」
「がるるぐるるがる!」(←訳:英国ははるか彼方!)

 生き延びるため。
 帰還するため。

 ブライアンさんとジェイムズさんは、
 奇策に打って出ます。

 SS将校に、なりすます――

「………ええええェッ??」
「ぐるぅ!」(←訳:うそぉ!)

 奇策の結果は?
 ふたりの運命は?

 《特捜部Q》とは異なるものの、
 ミステリの気配をまとった戦争の、
 いえ、戦地の物語は
 読み手をぐいぐい引っ張ってゆきます。

 遠くで近い、昨日。
 消そうとしても消せない戦禍の中へ。

 2段組みで550ページ超の、
 気魄にみちた著者・オールスンさんのデビュー作品、
 《特捜部Q》ファンの方々は必読です。
 ぜひ、一読を~♪

 
コメント
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