テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

♪ 2020! 新春特別企画 《高名な依頼人たち》 その3!

2020-01-01 22:07:30 | ♪ 2020!新春特別企画 ♪
 もう間もなく、新しい年が来る!
 そんなタイミングでも、
 名探偵テディちゃムズの冒険は続きます。
 さあ、2020新春特別企画の、その3!は――

「テディちゃムズよ、
 これが各部局からの報告書だ!」

 兄のマイクマフト氏から書類を受け取り、
 ガス燈の明かりの下、
 急ぎ内容に目を通しつつも、
 テディちゃムズはの表情に不安や焦りはありません。

  

「よォしッ! これでェいいんだッ!」

 何じゃと、とマイクマフト氏は驚きます。

 前代未聞の、
 《小麦粉不足》事件。

 市内のどこを探しても、
 ロンドン市民のご飯のもと、いえ、
 美味しいパンやパイになるはずだった
 小麦粉は発見できず。
 大量に小麦粉を保管できそうな倉庫など、
 建物を緊急点検しても、
 小麦粉のコの字もなく……という、
 ガッカリな報告書の束の、
 どこが「いい」んでしょう?

「なせならばッ!
 そこにはないィ、ッてことをォ、
 よそくゥしていたからだよゥ!」

 は? なんですって?

「さがすべきィなのはァ~…あッちィ!」

 テディちゃムズが、ひた!と指さしましたのは、
 東の方角です。

 え、ホント?と、
 普通のクマならば疑うところですが、
 名探偵テディちゃムズの推理に間違いなし!
 ステッキを小脇に走り出そうとして……
 おややっ?

「たいへんだっ、テディちゃムズ!」
「がるぐるる!」(←訳:濃霧だよう!)

  

 斥候に出ていたユキノジョン・ワトソン博士と、
 虎くんが急を告げました。

「ひどい濃霧で、
 テムズ川一帯の船の運行は禁止、
 橋も通行止めになっちゃった!」
「ぐるるがるるるる!」(←訳:馬車も動かないよ!)

「むゥ!
 それはァ、こまッたぞォ!」

 ああ、とうとう。
 ロンドン名物、
 一寸先も見えなくなりそうな霧の壁が相手では、
 さすがのテディちゃムズも――
 ん?

  

「チュウ!」

  

 えっ? いまの誰の声?
 とザワつくテディちゃムズたちは、
 足元で尻尾を振っている
 小さなネズミくんに気づきました。

「テディちゃムズさん!
 行きたいところがあるなら案内します!
 ロンドン全域は、ぼくらの庭ですもん!」

 それはありがたい!と、
 テディちゃムズは申し出を受けました。

「ねずみくんッ!
 ぼくたちはァ、ゆかなくちゃッ!
 てんもんだいィへッ!」

  

「グリニッチ天文台ですね!
 じゃあ、こちらへ!」

 濃霧には慣れっ子のクマ市民たちが
 大騒ぎをしている広場を抜け、
 ネズミくんは道案内します。
 が、マイクマフト氏は不安そうですね。

「橋が通行止めだというのに、
 どうやってテムズ南岸の天文台へ?」

「チュウ!
 歩いてゆくんですよ、川の下を!」

「お! そうじゃった!」

 はい、その通り。
 あまり知られていないことですが、
 グリニッジと、
 テムズ対岸のアイランドガーデンズを結ぶ
 地下歩道があるのです。

 その名も《グリニッジフットトンネル》。

 通行料は無料の、
 一般にも開放されているこの歩道を使えば、
 テムズの流れもひとまたぎ!

 名探偵テディちゃムズと仲間たちは、
 躊躇なくネズミくんの案内に従い、
 フーフー言いながら
 地下道を走破し、
 ようやっとトンネルの出口に辿り着きました。
 が、しかし――

「ややッ!」





  ~ その4!に(たぶん)つづく! ~



  
コメント
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