テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 《妖怪博士》一代記 ~

2020-01-07 22:35:25 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 おかゆゥ、いただきましたでスゥ~♪」
「がるる!ぐっるるるる!」(←訳:虎です!あったまるね!)

 こんにちは、ネーさです。
 七草粥をおいしくいただいて、
 お腹も気持ちもほっこり温まったら、
 さあ、読書タイムです♪
 本日は、図版資料も多数掲載の、
 こちらの御本を、どうぞ~!

  


 
       ―― 井上円了 ――



 編者は講談社の皆さん、2019年10月に発行されました。
 『Inoue ENRYO』と英語題名が、
 『《哲学する心》の軌跡とこれから』と
 日本語副題が付されています。

 井上円了(いのうえ・えんりょう)さん(1858~1919)。

 円了さんの御名前は、
 以前から“怖いもの”好きな方々には
 広く知られていましたが――

「ふァいッ! テディちゃもォ、しッてまスよゥ!」
「ぐるるるがるる!」(←訳:妖怪博士だよね!)

 そうね、
 この御本の冒頭には、
 円了さんが使っていた名刺の写真が
 掲載されていて、
 『井上圓了名刺』と印字された名刺の表の面には、
 こんな字句があります。

  《妖怪道人號己陳》

 意訳すれば、
 “ご存知の通り私は妖怪道人と名乗っておりまする”
 といったところで、
 “ボクは妖怪のエキスパートなんです”と
 円了さん御自身が公言しているわけで。
 でもね。

 妖怪道人とか、妖怪博士とか、
 それっていったい何なのかしら?

「えッとォ、それはァ~…」
「がるるぐるるっるがる?」(←訳:妖怪に詳しいってこと?)

 そう、円了さんは
 各地の妖怪伝承を収集し、研究したのですが、
 そこには動機がありました。

   或る土地に、或る妖怪が出る。
 
   そこには、何らかの意味が――
   《理(ことわり)》があるのではなかろうか。

   その《理》を知りたい。
   妖しきものの正体を知りたい。

「ようかいのォ、たんきゅうゥ?」
「ぐるがるぅるる?」(←訳:究明しちゃんだ?)

 小さなころから妖怪話を聞くのが好きで、
 妖怪道人と自称し、
 妖怪博士と呼ばれてはいても、
 円了さんは、
 妖怪譚を世に広めようとした訳ではありません。

 妖怪現象が何を表しているのか、
 その深層を見定めようとする円了さんは、
 いうなれば
 《妖怪否定派》なんです。

 ところが、
 面白いことに、この御本には、
 《妖怪肯定派》――
 妖怪の存在を肯定し、
 妖しいものたちを身近に感じて、
 親しみを込めて“彼ら”を描いていたアーティスト
 水木しげるさんによる
 円了さんの伝記漫画が収録されているんですよ。

「わわッ! たいけつゥでスかッ!」
「がるるるるぐるるる!」(←訳:妖怪否定派と肯定派の!)

 妖怪を合理的に説明する円了さんと、
 妖しきモノたちをありのままに描く漫画家・水木さん。

 どう見ても正反対の、
 相容れぬ立場にあるようなおふたりです。

 が、正反対であるがゆえに、
 円了さんの本質を、
 他の誰よりも理解した水木さんは、
 敬愛を注ぎつつ、
 一編の作品に仕立てました。

  『神秘家列伝 不思議庵主 井上円了』(2001年発表)

 80ページ超の、力作です!

「これッてェ、すごォ~くゥ!」
「ぐるるがるるるる!」(←訳:分かりやすいんだ!)

 妖怪とは。
 妖怪を生み出す人のこころとは。
 こころが見晴るかす真理とは。

 教育者、哲学者、
 妖怪研究家にして、世界旅行家――
 世に知られた《妖怪博士》の生涯、
 その業績を、
 活字マニアの皆さま、
 ぜひ、一読してみてくださいね♪

 
 
 
コメント
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