テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 海辺の町から ~

2020-01-27 22:44:41 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ことしもォ、おおにぎわいィ~でスよゥ!」
「がるる!ぐるるるがるるる!」(←訳:虎です!カカオが香ります!)

 こんにちは、ネーさです。
 はい! 《サロン・デュ・ショコラ2020》開幕しましたね♪
 新宿の会場へ行けない方々も
 (私ネーさも、今年は行けそうにありません…)、
 SNSや伊勢丹さんが主宰するHPを覗いて
 ショコラの祭典の雰囲気を味わってみてくださいな。
 では、ここからは、読書タ~イム!
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♫

  



     ―― 夢の翳(かげり) ――



 著者は蔦谷典子(つたたに・のりこ)さん、
 2019年10月に発行されました。
 『塩谷定好の写真 1899-1988』と副題が付されています。

「これはァ……おしゃしんッ、でスかッ?」
「ぐるるるがるるる?」(←訳:なんだか不思議な?)

 ↑上の画像の、
 御本の表紙になっているのは、
 『海辺村童(竹馬)』という作品です。

 この作品が撮影されたのは、
 1924年――大正13年のことでした。

 そして、撮影に使用した機材は、
 イーストマン・コダック社製の
 『ヴェスト・ポケット・コダック』。

 『ヴェス単』と通称されたそのカメラは、
 ベストのポケットに入るほど小型で軽く、
 1912年に発売されるや、
 世界中に広まった人気の機種でした。

 その『ヴェス単』の、
 絞りのフードを外して軟焦点にする
 《ヴェス単フード外し》といわれる手法が
 日本ではしばしば用いられ、
 独特の軟調(ソフトフォーカス)描写はとても愛好された、のだそうです。

「ふむむゥ! ぼんやりィしているようでェいてェ~…」
「がるるぐるがる!」(←訳:立体的でもある!)

 撮影者は、
 塩谷定好(しおたに・ていこう)さん(1899~1988)。

 1899年(明治32年)10月24日、
 鳥取県東伯郡赤碕町(現・琴浦町)に生まれた塩谷さんは、
 大正から昭和の初期にかけて
 人気を博した芸術写真の旗手として知られた写真家さんです。

 塩谷さんが『ヴェス単』を手にしたのは、
 13歳のとき。
 当時、『ヴェス単』は発売されたばかりでしたが、
 まさに、生涯を決定する出会い、だったんですね。

「ずッとォ、いッしょにィ!」
「ぐるるがるるるるる!」(←訳:世界を写してゆこう!)

 カメラを手にする前は、
 画家になることを夢見ていた塩谷さん。

 絵筆は、しかし、
 『ヴェス単』へと変わります。

「かいがァからッ!」
「がるるぐるる!」(←写真の世界へ!

 日本海を望む赤碕の町で
 塩谷さんが撮った作品は、
 遺族の方々によって大切に保管されてきました。

 この御本は、
 第一章『村の情景』
 第二章『子どもの情景』
 第三章『海の情景』
 第四章『花の情景』
 の4つの章から構成された
 写真家・塩谷定好さんの
 “ベスト・セレクション”というべき一冊です。

 どの作品も、
 デジタル写真を見慣れた方々、
 いえ、デジタル写真しか知らない方々にとっては
 驚愕をもたらすであろう名作、なんです、けど……

 ああ、言葉にするのはまどろっこしいわ!
 とにかく見て!見てください!
 貴方の目で、この作品たちを!
 塩谷さんが撮った昔日の日本を、
 海辺の、
 子どもたちの、
 空を走る雷光の、
 活けられた花たちの、
 雄弁な静謐を!

「かいせつもォ、じゅうじつゥでス!」
「ぐるるがるるぐる!」(←訳:略伝と年譜も完備!)

 写真好きさん、そして
 アート好きさんも必見!の御本、
 本屋さんで、図書館で、
 ぜひ、探してみてくださいね。

 

 
コメント
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