テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 胸に灯るは、椿の花 ~

2021-02-14 23:37:03 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 あううゥ! こわかッたでスゥ!」
「がるる!ぐるっる~!」(←訳:虎です!長かった~!)

 こんにちは、ネーさです。
 2月13日夜の地震は強い揺れが長くて、
 恐怖に膝がガクガクしてしまいました……
 これ以上の災害が起きぬよう、
 被害が無いようにと祈りながら、
 さあ、気持ちを切り替えて読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  


 
     ―― 乙女椿と横濱オペラ ――


 
 著者は水守糸子(みずもり・いとこ)さん、
 2020年11月に発行されました。
 丹地陽子さんによる表紙イラストの、
 愛らしいイラストからお分かりでしょうか、
 物語の舞台は――

「めいじィ~なのでス!」
「ぐるがる~!」(←訳:文明開化~!)

 新大河ドラマ『青天を衝け』は
 幕末~明治の日本を描く作品ですが、
 こちらの『乙女椿と横濱オペラ』は、
 明治時代の横浜、いえ、
 横濱を舞台とする小説です。

 明治45年。
 維新の動乱や
 日清日露の戦争も過ぎ、
 世情はひとまず落ち着きをみせていて、
 という頃。

 横濱の、或る女学校では
 不思議な噂が囁かれておりました。

 ……古椿が、化ける……

「ひいいいいィ~ッ!」
「がるる~!」(←訳:やめて~!)

 街角には瓦斯(ガス)灯が点り、
 鉄道の路線が東西南北へ延び、
 レンガで造られたビルも
 珍しくなくなってゆく――
 そんな時代にあっても、
 奇妙な話、怖い話は、
 すたれないようですね。

 女学校に通う茶木紅(ちゃのき・べに)さんも、
 化け椿の噂に
 ついつい耳を傾けてしまいます。

「きかないィほうゥがァ~いいィのでスゥ!」
「ぐるるるるるる!」(←訳:眠れなくなるよ!)

 いえね、実は、
 そこには充分な理由が
 ありまして。

 ひと月前のこと、
 紅さんの許嫁(いいなずけ)さんが、
 ふつりと姿を消したのは……

   化け椿の祟りではないか?

 なんて聞かされちゃったら、
 じっとしていられませんよねぇ。

「たたりィ??」
「がるる??」(←訳:ふつり??)

 椿の精に、さらわれたのか。
 それとも、
 神隠しか。

 許嫁の誠一郎(せいいちろう)さんの身を案じ、
 紅さん、ひそかに
 捜索に乗り出すんですけれども。

「あッ、あのうゥ!」
「ぐるるぅがるぐる!」(←訳:一人じゃダメだよ!)

 ええ、紅さんには
 助っ人さんがいます。

 紅さんのお父さんが所有する長屋の、
 一間を借りている
 時川草介(ときかわ・そうすけ)さん。

 売れない画家さんである
 草介さんを巻き込んで、
 紅さんが向かった先は……?

「おややッ? ここはァ~…」
「がる?」(←訳:東京?)
「ここにィ、こたえェがッ??」

 表題作『乙女椿と横濱オペラ』、
 『リボンの花幽霊』、
 『狗神の恋』
 と、連作3編が収録されている
 書き下ろし作品のそこここに
 立ち現れるのは
 椿の花言葉――

 《You are a flame in my heart.》
 (貴方はわたしの胸で輝く炎)

 紅さんの眼に映る
 椿の花のような物語を、
 皆さまも、ぜひ♪
 

 
 
コメント
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