テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 本の町へ、帆を張って ~

2023-05-11 22:07:52 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 のッぽさァ~んッ!」

「がるる!ぐるるるっるーがーる!」(←訳:虎です!グラスホッパーさーん!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 《ノッポさん》こと高見のっぽさんの訃報に触れ、

 しんみりとしております……が、暗くなってはいけませんね。

 『できるかな?』のゴン太くんとの楽しそうなダンスシーンを想い浮かべ、

 感謝の思いを新たにしながら、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの御本を、どうぞ~!

  

 

 

        ―― 生まれちゃった。 ――

 

 

 著者は糸井重里(いとい・しげさと)さん、

 2023年2月に発行されました。

 『ほぼ日刊イトイ新聞』の

 《今日のダーリン》

 に掲載されたエッセイ集《小さいことばシリーズ》の最新刊です。

 

 『ほぼ日刊イトイ新聞』こと『ほぼ日』のトップを飾る

 糸井さんの《今日のダーリン》は、

 毎日毎日、ほぼ休むことなく更新されていて、

 見る度に感心してしまうのですが。

 

「おはなしのォ、ないようゥもォ~」

「ぐるがる!」(←訳:毎回充実!)

 

 『ほぼ日』社内での出来事、

 イベントの進捗状況、

 おいしいものの話、

 ゲームや映画、青山から神田へ引越したことの報告などなど、

 糸井さんのエッセイは

 全方向へくるくると枝葉を伸ばしてゆきます。

 

 この御本で印象的なのは、

 青山から神田へ、

 会社がお引越ししたことと、

 もうひとつ――

 

 コロナ禍と立ち向かう姿勢、でしょうか。

 

「きんきゅうゥじたいィ~!」

「がっるぅぐる!」(←訳:喋っちゃダメ!)

 

 ひとと喋ってはだめ。

 会ってはだめ。

 家の外に出るのも、

 学校に行くのも、

 飛行機や電車での移動も、

 だめ、だめ、だめ。

 

 仕方のないことだったとはいえ、

 現在(2023年)から眺めれば、

 何もかも”だめだめ尽くし”は

 やはり異様で異常な状況でした。

 

 糸井さんはその異常さを早くから感じ取り、

 言葉にしてゆきます。

 本文30ページにあるのは、

 

    人がたのしみにしていることのほとんどが、

    人に会うこと、人といること、

    人と話すこと、人の話を聞くことだ。

    人は、ほんとうにつくづく、人に興味を持っている。

 

 という、

 詩歌のような真言です。

 

「おしゃべりィ、したいィ!」

「ぐるるるがるるる!」(←訳:出かけて会いたい!)

 

 人流も経済も停滞しがちな中で、

 背を丸めて下を向くのではなく、

 よいしょ、こらしょ、と荷造りしてお引越し。

 本の町・神田へ。

 江戸から続く、人と人が行き交う街へ。

 

「けつだんッ、でスねッ!」

「がるるぐる!」(←訳:大決心だよ!)

 

 お引越し決定に到るすったもんだも、

 おそらくはあっただろうと思うのですが、

 敢えてそこを詳述はせず、

 『ほぼ日』の乗組員さんと糸井さんは

 グイっと舵を切りました。

 はたして、本の町に新風は吹くのか……?

 

「しかいィ、りょうこうゥ~!」

「ぐるるがぅっる!」(←訳:追い風キャッチ!)

 

 高見ノッポさんは、

 『小さい人』という呼び方を好む御方でした。

 糸井さんの文章とお写真にも時折り、

 『小さい人』と、

 愛犬ブイコちゃんが登場して、

 私たち読み手はその可愛らしさに

 メロメロになってしまいます。

 

 『小さい』命たちが、

 困難多いこの世界を

 どうかかろやかに漕ぎ進んでゆけますように――

 

 そんな願いが込められている一冊を、

 皆さま、ぜひ。

 

 

コメント
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