「こんにちわッ、テディちゃでス!
のッぽさァ~んッ!」
「がるる!ぐるるるっるーがーる!」(←訳:虎です!グラスホッパーさーん!)
こんにちは、ネーさです。
《ノッポさん》こと高見のっぽさんの訃報に触れ、
しんみりとしております……が、暗くなってはいけませんね。
『できるかな?』のゴン太くんとの楽しそうなダンスシーンを想い浮かべ、
感謝の思いを新たにしながら、
さあ、読書タイムですよ。
本日は、こちらの御本を、どうぞ~!
―― 生まれちゃった。 ――
著者は糸井重里(いとい・しげさと)さん、
2023年2月に発行されました。
『ほぼ日刊イトイ新聞』の
《今日のダーリン》
に掲載されたエッセイ集《小さいことばシリーズ》の最新刊です。
『ほぼ日刊イトイ新聞』こと『ほぼ日』のトップを飾る
糸井さんの《今日のダーリン》は、
毎日毎日、ほぼ休むことなく更新されていて、
見る度に感心してしまうのですが。
「おはなしのォ、ないようゥもォ~」
「ぐるがる!」(←訳:毎回充実!)
『ほぼ日』社内での出来事、
イベントの進捗状況、
おいしいものの話、
ゲームや映画、青山から神田へ引越したことの報告などなど、
糸井さんのエッセイは
全方向へくるくると枝葉を伸ばしてゆきます。
この御本で印象的なのは、
青山から神田へ、
会社がお引越ししたことと、
もうひとつ――
コロナ禍と立ち向かう姿勢、でしょうか。
「きんきゅうゥじたいィ~!」
「がっるぅぐる!」(←訳:喋っちゃダメ!)
ひとと喋ってはだめ。
会ってはだめ。
家の外に出るのも、
学校に行くのも、
飛行機や電車での移動も、
だめ、だめ、だめ。
仕方のないことだったとはいえ、
現在(2023年)から眺めれば、
何もかも”だめだめ尽くし”は
やはり異様で異常な状況でした。
糸井さんはその異常さを早くから感じ取り、
言葉にしてゆきます。
本文30ページにあるのは、
人がたのしみにしていることのほとんどが、
人に会うこと、人といること、
人と話すこと、人の話を聞くことだ。
人は、ほんとうにつくづく、人に興味を持っている。
という、
詩歌のような真言です。
「おしゃべりィ、したいィ!」
「ぐるるるがるるる!」(←訳:出かけて会いたい!)
人流も経済も停滞しがちな中で、
背を丸めて下を向くのではなく、
よいしょ、こらしょ、と荷造りしてお引越し。
本の町・神田へ。
江戸から続く、人と人が行き交う街へ。
「けつだんッ、でスねッ!」
「がるるぐる!」(←訳:大決心だよ!)
お引越し決定に到るすったもんだも、
おそらくはあっただろうと思うのですが、
敢えてそこを詳述はせず、
『ほぼ日』の乗組員さんと糸井さんは
グイっと舵を切りました。
はたして、本の町に新風は吹くのか……?
「しかいィ、りょうこうゥ~!」
「ぐるるがぅっる!」(←訳:追い風キャッチ!)
高見ノッポさんは、
『小さい人』という呼び方を好む御方でした。
糸井さんの文章とお写真にも時折り、
『小さい人』と、
愛犬ブイコちゃんが登場して、
私たち読み手はその可愛らしさに
メロメロになってしまいます。
『小さい』命たちが、
困難多いこの世界を
どうかかろやかに漕ぎ進んでゆけますように――
そんな願いが込められている一冊を、
皆さま、ぜひ。