「こんにちわッ、テディちゃでス!
あわわッ! しがいせんにィ~ごちゅういィをォ!」
「がるる!ぐるるるがるぅ!」(←訳:虎です!ヒリヒリするぅ!)
こんにちは、ネーさです。
2023年のGW後半はお天気が良くて……
紫外線の強さに戦々恐々ですね。
お肌、それに目もしっかりガードしながら、
さあ、窓辺で読書タイムですよ。
本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― どくとるマンボウ航海記 (増補新版)――
著者は北杜夫(きた・もりお)さん、
単行本は1960年に、画像の増補新版文庫は2023年2月に発行されました。
刊行から80年余を経た現在も、
読み手の私たちを抱腹絶倒せしめる
20世紀日本文学の傑作といえば、はい、
北杜夫さんの《どくとるマンボウ》シリーズ!
「ほんもののォおいしゃさんッ!」
「ぐるるーがるぐる!」(←訳:ドクターなのです!)
北杜夫さんについて、
あらためて説明しますと。
本名は、斎藤宗吉(さいとう・そうきち)さん。
祖父の斎藤紀一(さいとう・きいち)さんは医師であり政治家、
父の斎藤茂吉(さいとう・もきち)さんは歌人であり医師、
兄の斎藤茂太(さいとう・しげた)さんはエッセイストであり医師、
という、お医者さんの家系に生まれました。
しかも、全員が精神科のドクターです。
北さん御自身も、
文学に進みたい志を抱えつつ、
父・茂吉さんに説得され、
医師への道を進んだものの……
「ちょッぴりィ~よりみちィ!」
「がるぐる~る!」(←訳:してみた~い!)
慶応義塾大学病院で、
お医者さんとして真面目に勤務していた北さんのこころに、
ふつふつと湧きあがる旅への憧れ。
でも、留学生試験には落ちてしまったし……
と思っていたら。
「あくまのォ、ささやきィ?」
「ぐるるるるがるるる?」(←訳:天使さまのはからい?)
水産庁の漁業調査船が、
船医さんを探している。
大西洋でマグロの新漁場開拓を行い、
欧州を回って帰ってくるという予定で、
もう数日後には出港するのに、
船医さんが見つからない!
「うふふふふッ!」
「がるるるる~!」
あまりに急な話に躊躇する北さん。
けれど……ああ、なんと魅力的な旅でしょう。
寄港地は、シンガポール、スエズ、リスボン、ハンブルグ、
ロッテルダム、アントワープ、ル・アーブル、ジェノア、
アレキサンドリア、コロンボ。
……それに、マグロが食べ放題~??
「いいねッ!」
「ぐるるるるぅ!」(←訳:ワンダフルゥ!)
かくて、
漁業調査船『照洋丸』は出発しました。
若き一人の医師、いえ、文学青年を乗せて。
各地の港で船員さん&ドクターを待つのは、
美しい女性たち……ではなくて、
ワイロ目当ての役人や、
抜け目のない税関職員?
海が荒れれば、船医室の器具は引っくり返り、
床は逆流してきた海水でビショビショ……
でも、或る日の操業中にはクジラと出会ったり、
帰国が迫ってくると、
帰りたくないなぁ~…
この船を奪って逃げちゃおうか?
なんて妄想したり。
「それはァ~だめェでスゥ!」
「がっるるる~!」(←訳:帰ってきて~!)
信州の学校に在学していたときは、
アルプスの山歩きにハマり、
すっかり”山男”となっていた北さんが、
“海の男“となった日々の、
痛快な記録。
巻末には、
なだいなだ さんによる解説、
『どくとるマンボウ航海記』の編集者であった宮脇俊三さんの解説、
北杜夫さんのエッセイ『傲慢と韜晦』も載っていて、
『航海記』初版刊行時の特別な熱気が伝わってきます。
旅文学好きな方々は必読!な名作を、
皆さま、ぜひ、一読してみてくださいね~♪