テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ どくとる、大海原をゆく ~

2023-05-04 22:09:25 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 あわわッ! しがいせんにィ~ごちゅういィをォ!」

「がるる!ぐるるるがるぅ!」(←訳:虎です!ヒリヒリするぅ!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 2023年のGW後半はお天気が良くて……

 紫外線の強さに戦々恐々ですね。

 お肌、それに目もしっかりガードしながら、

 さあ、窓辺で読書タイムですよ。

 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

      ―― どくとるマンボウ航海記 (増補新版)――

 

 

 著者は北杜夫(きた・もりお)さん、

 単行本は1960年に、画像の増補新版文庫は2023年2月に発行されました。

 刊行から80年余を経た現在も、

 読み手の私たちを抱腹絶倒せしめる

 20世紀日本文学の傑作といえば、はい、

 北杜夫さんの《どくとるマンボウ》シリーズ!

 

「ほんもののォおいしゃさんッ!」

「ぐるるーがるぐる!」(←訳:ドクターなのです!)

 

 北杜夫さんについて、

 あらためて説明しますと。

 

 本名は、斎藤宗吉(さいとう・そうきち)さん。

 

 祖父の斎藤紀一(さいとう・きいち)さんは医師であり政治家、

 父の斎藤茂吉(さいとう・もきち)さんは歌人であり医師、

 兄の斎藤茂太(さいとう・しげた)さんはエッセイストであり医師、

 という、お医者さんの家系に生まれました。

 

 しかも、全員が精神科のドクターです。

 北さん御自身も、

 文学に進みたい志を抱えつつ、

 父・茂吉さんに説得され、

 医師への道を進んだものの……

 

「ちょッぴりィ~よりみちィ!」

「がるぐる~る!」(←訳:してみた~い!)

 

 慶応義塾大学病院で、

 お医者さんとして真面目に勤務していた北さんのこころに、

 ふつふつと湧きあがる旅への憧れ。

 

 でも、留学生試験には落ちてしまったし……

 と思っていたら。

 

「あくまのォ、ささやきィ?」

「ぐるるるるがるるる?」(←訳:天使さまのはからい?)

 

 水産庁の漁業調査船が、

 船医さんを探している。

 

 大西洋でマグロの新漁場開拓を行い、

 欧州を回って帰ってくるという予定で、

 もう数日後には出港するのに、

 船医さんが見つからない!

 

「うふふふふッ!」

「がるるるる~!」

 

 あまりに急な話に躊躇する北さん。

 けれど……ああ、なんと魅力的な旅でしょう。

 

 寄港地は、シンガポール、スエズ、リスボン、ハンブルグ、

 ロッテルダム、アントワープ、ル・アーブル、ジェノア、

 アレキサンドリア、コロンボ。

 ……それに、マグロが食べ放題~??

 

「いいねッ!」

「ぐるるるるぅ!」(←訳:ワンダフルゥ!)

 

 かくて、

 漁業調査船『照洋丸』は出発しました。

 若き一人の医師、いえ、文学青年を乗せて。

 

 各地の港で船員さん&ドクターを待つのは、

 美しい女性たち……ではなくて、

 ワイロ目当ての役人や、

 抜け目のない税関職員?

 海が荒れれば、船医室の器具は引っくり返り、

 床は逆流してきた海水でビショビショ……

 

 でも、或る日の操業中にはクジラと出会ったり、

 帰国が迫ってくると、

 帰りたくないなぁ~…

 この船を奪って逃げちゃおうか?

 なんて妄想したり。

 

「それはァ~だめェでスゥ!」

「がっるるる~!」(←訳:帰ってきて~!)

 

 信州の学校に在学していたときは、

 アルプスの山歩きにハマり、

 すっかり”山男”となっていた北さんが、

 “海の男“となった日々の、

 痛快な記録。

 

 巻末には、

 なだいなだ さんによる解説、

 『どくとるマンボウ航海記』の編集者であった宮脇俊三さんの解説、

 北杜夫さんのエッセイ『傲慢と韜晦』も載っていて、

 『航海記』初版刊行時の特別な熱気が伝わってきます。

 旅文学好きな方々は必読!な名作を、

 皆さま、ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

 

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