「こんにちわッ、テディちゃでス!
わわわゥ! はちゃめちゃッでスゥ~!」
「がるる!ぐるがるるる~!」(←訳:虎です!そこがいいんだ~!)
こんにちは、ネーさです。
今日5月23日、NHKBSで放送された
映画『里見八犬伝』をたまたま拝見しましたら、
時代考証完全無視の美術や衣装がステキ!
薬師丸ひろ子さんの可愛さ!に拍手喝采してしまいました。
ならば本日の読書タイムも、
はちゃめちゃ路線のこちらの御本を、さあ、どうぞ~♪
―― 博徒大名伊丹一家 ――
著者は沖田正午(おきだ・しょうご)さん、
2023年3月に発行されました。
文庫書き下ろし作品の舞台となっているのは、
花のお江戸の――
「しィ~ッ!」
「ぐるる!」(←訳:静かに!)
おっと失礼しました、そうですよね、
ここは静かにしなくちゃいけません。
なぜなら……
御臨終なんです。
「おとのさまァ!」
「がっるる~!」(←訳:しっかり~!)
出羽国の北方に位置する
松越(まつごし)藩伊丹(いたみ)家は、一万石の所領をもつ外様大名。
その十一代藩主である
伊丹阿波守(あわのかみ)長盛(ながもり)さんは、
いままさに、危篤状態です。
当主が危篤とは、それだけでも大難ですけれど、
実は、危篤以上の大問題が。
「おとのさまッ、どうしまスかッ?」
「がるるるる!!」(←訳:お世継ぎは!!)
阿波守長盛さんには、
男3人、女2人の子どもがいます……いえ、いました。
女2人は既に他家へ嫁ぎ、
男3人は……長男と三男は早世し、
家を継ぐはずであった次男は、
先月、落馬事故で急逝……。
つまり、いま現在、
伊丹家には後継者がいないのです。
「それはァ、まずいィでス!」
「ぐるるがるるる!」(←訳:最凶にマズいよ!)
世継ぎが無い家は、取り潰される。
↑これが、江戸の武士社会の共通認識。
実子がいなければ、養子縁組をして、
その旨を幕府にきちんと届け出る。
そういった手続きをせず、
後継者を決定せぬまま当主が亡くなってしまったら、
無嗣子断絶(むししだんぜつ)になって、
お家と、家に仕えていた武士たちは空中分解。
路頭に迷うことになります。
「おとのさまッてばァ、もうゥ~!」
「がるるぐっるるぅ!」(←訳:何とか言ってよぉ!)
お殿さまを見守る
ご家老さんたちの思いが天に通じたのでしょうか。
こと切れる間際、お殿さまは、
……余には……もうひと……り子が……これを……あ……とつぎに……
と告げて。
「わああおゥ! あとつぎィ!」
「ぐるっるるる~」(←訳:良かったねえ~)
いえいえいえ、ご家老さんたちの大いなる苦労は
ここからまた始まります。
お殿さまの、御落胤? 隠し子?
その名は? 年齢は? 気性は? 職業は?
そう、探し回ってようやっと見つけた御落胤さんの、
職業というのが………博徒……博徒の頭……。
「うむむむゥ~…」
「がるる~…」
さて、どうする。
無嗣子断絶で、家臣家族1万余名が路頭に迷うか。
それとも。
子分二百人を抱えるひとりの博徒に、
賭けてみるか。
「こうなッたらァ!」
「ぐるるがるるる!」(←訳:のるか反るかだ!)
はちゃめちゃな決断から生まれる
規格外の新人お殿さま。
お殿さまとお侍さん、
そして博徒さんたちが織り成すエンタな冒険活劇を、
皆さま、ぜひ、一読してみてくださいね~♪