テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 泳ぎ渡ってみせましょう、浮世の大波。 ~

2023-05-23 22:04:19 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 わわわゥ! はちゃめちゃッでスゥ~!」

「がるる!ぐるがるるる~!」(←訳:虎です!そこがいいんだ~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 今日5月23日、NHKBSで放送された

 映画『里見八犬伝』をたまたま拝見しましたら、

 時代考証完全無視の美術や衣装がステキ!

 薬師丸ひろ子さんの可愛さ!に拍手喝采してしまいました。

 ならば本日の読書タイムも、

 はちゃめちゃ路線のこちらの御本を、さあ、どうぞ~♪

  

 

 

        ―― 博徒大名伊丹一家 ――

 

 

 著者は沖田正午(おきだ・しょうご)さん、

 2023年3月に発行されました。

 文庫書き下ろし作品の舞台となっているのは、

 花のお江戸の――

 

「しィ~ッ!」

「ぐるる!」(←訳:静かに!)

 

 おっと失礼しました、そうですよね、

 ここは静かにしなくちゃいけません。

 なぜなら……

 御臨終なんです。

 

「おとのさまァ!」

「がっるる~!」(←訳:しっかり~!)

 

 出羽国の北方に位置する

 松越(まつごし)藩伊丹(いたみ)家は、一万石の所領をもつ外様大名。

 その十一代藩主である

 伊丹阿波守(あわのかみ)長盛(ながもり)さんは、

 いままさに、危篤状態です。

 

 当主が危篤とは、それだけでも大難ですけれど、

 実は、危篤以上の大問題が。

 

「おとのさまッ、どうしまスかッ?」

「がるるるる!!」(←訳:お世継ぎは!!)

 

 阿波守長盛さんには、

 男3人、女2人の子どもがいます……いえ、いました。

 女2人は既に他家へ嫁ぎ、

 男3人は……長男と三男は早世し、

 家を継ぐはずであった次男は、

 先月、落馬事故で急逝……。

 

 つまり、いま現在、

 伊丹家には後継者がいないのです。

 

「それはァ、まずいィでス!」

「ぐるるがるるる!」(←訳:最凶にマズいよ!)

 

 世継ぎが無い家は、取り潰される。

 

 ↑これが、江戸の武士社会の共通認識。

 実子がいなければ、養子縁組をして、

 その旨を幕府にきちんと届け出る。

 

 そういった手続きをせず、

 後継者を決定せぬまま当主が亡くなってしまったら、

 無嗣子断絶(むししだんぜつ)になって、

 お家と、家に仕えていた武士たちは空中分解。

 路頭に迷うことになります。

 

「おとのさまッてばァ、もうゥ~!」

「がるるぐっるるぅ!」(←訳:何とか言ってよぉ!)

 

 お殿さまを見守る

 ご家老さんたちの思いが天に通じたのでしょうか。

 こと切れる間際、お殿さまは、

 

  ……余には……もうひと……り子が……これを……あ……とつぎに……

 

 と告げて。

 

「わああおゥ! あとつぎィ!」

「ぐるっるるる~」(←訳:良かったねえ~)

 

 いえいえいえ、ご家老さんたちの大いなる苦労は

 ここからまた始まります。

 お殿さまの、御落胤? 隠し子?

 その名は? 年齢は? 気性は? 職業は?

 

 そう、探し回ってようやっと見つけた御落胤さんの、

 職業というのが………博徒……博徒の頭……。

 

「うむむむゥ~…」

「がるる~…」

 

 さて、どうする。

 無嗣子断絶で、家臣家族1万余名が路頭に迷うか。

 それとも。

 

 子分二百人を抱えるひとりの博徒に、

 賭けてみるか。

 

「こうなッたらァ!」

「ぐるるがるるる!」(←訳:のるか反るかだ!)

 

 はちゃめちゃな決断から生まれる

 規格外の新人お殿さま。

 

 お殿さまとお侍さん、

 そして博徒さんたちが織り成すエンタな冒険活劇を、

 皆さま、ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

 

コメント
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