テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 変貌する《ことば》たち ~

2024-02-09 22:06:07 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ぱふゥ! ほこりィ、ようちゅういィでス!」

「がるる!ぐるるがるる!」(←訳:虎です!蜂蜜が効くよ!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 降った雪が溶けたあとは、道路が砂埃だらけ……。

 外出から家に戻ったら、手をよく洗って、口をすすいで、

 トローチやのど飴で防御しながら、さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの新書作品を、どうぞ~♪

  

 

 

        ―― 女ことばってなんなのかしら? ――

 

 

 著者は平野卿子(ひらの・きょうこ)さん、

 2023年5月に発行されました。

 『《性別の美学》の日本語』と副題が付されています。

 

 《女ことば》――

 著者・平野さんは例として、

 題名にあるような『~かしら?』や、

 『~だわ』『~のよ』『~わよ』等の

 特有の終助詞を挙げています。

 

 さらに、

 ◆『うるせえ』『知らねえ』など訛った母音を使わない。

 ◆卑語や罵倒語を使わない。

 ◆『お砂糖』『お花』など接頭辞『お』を付ける。

 ◆感動詞は『まあ』『あら』など。

 ◆敬語をよく使う。

 

 これらの《女ことば》は、

 明治時代以降に作られたものであって、

 日本の伝統的な言葉遣いではありません。

 

「ふァ? あたらしいィことばァ、なのでスかッ?」

「ぐっるるがるるるぐる……!」(←訳:てっきり古いものだと……!)

 

 ええ、私ネーさもハッとさせられつつ、思い出しましたよ。

 

 泉鏡花さんの短編『外科室』、

 あの作品の中での、華族の御婦人方の話し言葉は、

 現代の《女ことば》とは異なっていたことを。

 

「うむゥ! そういえばァ~」

「がるるっる!」(←訳:そうだった!)

 

 《女ことば》とは、いったい“どういうもの”なのか。

 なぜ、《女ことば》は作られたのか。

 平野さんは、

 

 第一章『女ことばは《性別の美学》の申し子』

 第二章『人称と性』

 第三章『日本語ってどんなことば?』

 第四章『西洋語の場合』

 第五章『日本語にちりばめられた性差別』

 第六章『女を縛る魔法のことば』

 第七章『女ことばは生き残るか』

 

 と、7つの章に分けて、

 《女ことば》の誕生から

 待ち受ける未来までを解説・予測してゆきます。

 

「がいこくにもォ~あるのでスかッ?」

「ぐるがるぅ~…」(←訳:複雑だなぁ~…)

 

 西洋における言葉の性差として

 本文98~104ページで紹介されているのは、

 アメリカ、ドイツでの話し方の例です。

 これがまた、日本とよく似ていて。

 

 それに、私ネーさの個人的な感想ではありますが、

 西洋の言語では名詞や感嘆詞に

 《女性形》《男性形》がある、んですよね。

 たとえば、イタリア語の

 『ブラボー!』というのは、男性(単数)への誉め言葉。

 それが、女性(単数)の場合は、

 『ブラヴァ!』になります。

 

 つまり、相手が女性か男性かで、

 会話に用いる単語があちこち変わってくる。

 会話の最中は、

 相手の性別を常に意識しなければならない……

 

「はわわァ~…せいようもォ、にほんもォ」

「がるるるぐるぅ~」(←訳:タイヘンだなぁ~)

 

 《女ことば》は、洋の東西にかかわらず、

 今後は滅びてゆくのか。

 それとも続いてゆくのか。

 

 言葉の歴史、地域の歴史、

 ヒトの歴史までも深く考察させられる一冊は、

 歴史好きな活字マニアさんに、

 ノンフィクション好きな方々にもおすすめですよ。

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪

 

 

コメント
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