「こんにちわッ、テディちゃでス!
はッぴィ~ばれんたいんッ!」
「がるる!ぐるる~!」(←訳:虎です!幸あれ~!)
こんにちは、ネーさです。
バレンタインのために特設されたチョコレート売場も、
今日2月14日まで……
ショコラ好きとしては、一年中このままで!と思ったりしながら、
さあ、読書タイムですよ。
本日は、こちらのコミック作品を、どうぞ~♪
―― となりの百怪見聞録 1 ――
著者は綿貫芳子(わたぬき・よしこ)さん、
2023年4月に発行されました。
『百怪見聞録』は『ひゃっかいけんぶんろく』とお読み下さいね。
「……おそろしィ~よかんッ、するのでスゥ!」
「ぐるるがるる!」(←訳:もしやこれは!)
ふふふ、そうなんです、
カンのよい方々は《怪》の一字からお解りでしょう、
この御本は、強いて言うなら、
“ホラーコミック“ジャンルの作品なんですよ。
とはいえ、
スプラッタ系ではなく、
ファンタジー系ホラー寄りなので、安心して、
いえ、あんまり安心は出来ませんが、
そ~っと覗いてみることにしましょう。
それは、“或る夜“の出来事から始まりました……
「あううううゥ!」
「がるるるぅ!」(←訳:えんがちょ!)
片桐甚八(かたぎり・じんぱち)さんの毎日は、
“仕事以外の衣食住が判で押したようなルーチン“まみれ。
朝食はいつもトーストとコーヒー。
コーヒー豆は決まった銘柄しか買わない。
眼鏡だって、新調しても、いつも同じようなデザイン。
外食する時も、いつもの店で、いつものメニュー。
そんな彼が、
いま歩いているのは……
『鬼市(くいし)』。
「うぐぐゥ、ここはァ、つまりィ~…」
「ぐる?」(←訳:異界?)
『鬼市』とは、
オニおよび人ならざるモノ達の露天市。
稀に、ごく普通の人も
『鬼市』に迷い込むことがある、とされていて、
どうやら甚八さんも、うっかり『鬼市』に
足を踏み入れてしまったよう、でしたが……
はッと目を覚ませば、そこは。
「あァ~よかッたァでス!」
「がるっるるるる!」(←訳:夢だったんだね!)
安堵しながら、いつもの日常を味わい、
いつも行く喫茶店でいつもの昼食を注文し、
いつものように代金を払おうとして、
甚八さんは気付きます。
財布が、ない。
どこで落とした?
いつ落とした?
落としたとするなら、その可能性があるのは……
『鬼市』だ。
「ひいいィ!」
「ぐっるがるるぅ?」(←訳:だって夢でしょ?)
夢だけど、夢のはずなんだけど、
考えれば考えるほど、
あの場所しかない、と確信するのです。
俺は、『鬼市』に財布を落としてきたんだ――
「どッ、どうしまスかッ?」
「がるる?」(←訳:諦める?)
悩める甚八さんの前に現れたのは、
日本画家の原田織座(はらだ・おりざ)さん。
美術大学の生徒たちに
“オバケ先生“と呼ばれる織座さんは、
甚八さんに授けます。
『鬼市』へ行く方法を……。
「くわッ」(←気絶)
「ぐるっ」(←こちらも気絶)
はい、ここから先はネタバレ厳禁、
喋ってはいけない境界線でございます。
はたして、甚八さんの平穏な毎日は守られるのか。
オバケ先生こと織座さんの胸の内は。
どう見てもモデルは泉鏡花さんでしょ?な織座さん、
眼鏡を外せば美男?な甚八さん、
二人が歩む黄昏世界の物語を、
怪談好きな活字マニアさんは、
ぜひ、ともに旅してみてくださいね~♪