テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

星のうた、いまむかし。

2018-11-29 22:10:52 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ふァ~…まッくらァ、なのでスゥ!」
「がるる!ぐるがるる~?」(←訳:虎です!夜中みたい~?)

 こんにちは、ネーさです。
 秋の夕暮れはびっくりするほど速くて、
 えっ、もう?という間に辺りが暗くなりますね。
 本日の読書タイムは、
 そんな黄昏刻にふさわしいこちらのエッセイ作品を、
 さあ、どうぞ~♪

  


 
          ―― 星のなまえ ――



 著者は高橋順子(たかはし・じゅんこ)さん、2018年9月に発行されました。
 唐仁原教久さんによる美しい装幀に溜め息させられるこの御本には
 《星》をテーマとするエッセイ30編が集録されています。

「ほしのォ、うなばらをォ~♪」
「ぐるがるるる~♫」(←訳:進むゴンドラ~♫)

 日本の文学と星、
 或いは日本の文化と星、と耳にして
 多くの活字マニアさんが先ず思い浮かべるのは、
 『枕草子』の中の、
 星はすばる、という一節でしょうか。

 著者・高橋さんも、
 やはりその思いが強いのか、
 平安京の夜空を仰いだ清少納言さんが観じた《すばる》について
 綴っています。

   ――どうも『枕草子』の星は
     文献から来ているのではないか――

「ふァッ?」
「がるぅ??」

 さらには、実のことろ清少納言さんは、

   ――彦星と織姫の区別もつかなかったのではないか――

 とも推測しています。

 なぜって、
 平安時代には星座早見表なんてものは無かったから。

「むゥ! なかッたでスかァ~…」
「ぐるぅがるるる~!」(←訳:そりゃ困るよね~!)

 では、《すばる》なる名称を
 清少納言さんはどうやって知ったのでしょう?
 
 高橋さんは、野尻抱影さんや他の方々の著書から、
 その経緯を理解してゆきます。
 
 昔むかしの時代の、
 人々と夜空の距離、
 星とのかかわりの度合い……。

「ぼうえんきょうゥもォ、ないィじだいィだしィ~」
「がるぐっるるがるるる!」(←訳:でもくっきり見えるし!)

 と、本文71ページの、
 『《枕草子》の星』
 のように、
 《星》をテーマとして高橋さんが走らせる筆は、
 星の和名についての文あれば、
 『星の王子さま』についての思索もあり、
 “星々がつなぐ近代日本詩史”とも言える『星の歳時記』あり、
 まさの天の川のように
 幅広く、ゆたかに星の海を渡ってゆきますが。

 日本人に、いえ、日本で育った誰にとっても
 ひとかたならぬ共鳴をもたらすのは、
 おそらく――

 『宮沢賢治とさそりの星』(本文114ページ)。

「ふァいッ! ぎんがァてつどうゥ~!」
「ぐるる!」(←訳:赤い星!)

 さそりの星が登場するのは、
 『銀河鉄道の夜』、『双子の星』、
 そして『双子の星』作品中で歌われる《星めぐりの歌》。

 凶暴な毒虫の赤い光に
 宮沢賢治さんが何を見たのか、
 悠然と語られるこの一編、
 賢治さんファンの方々におすすめです♫

「どれもォ、おすすめェでスよゥ!」
「がっるるぐるるる!」(←訳:じっくり読んでね!)

 四季の夜空を見上げながら、
 スマホのアプリで星座を調べながら、
 皆さま、ぜひ一読を。 
 
 
 
    
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