テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 山は語る ~

2024-09-20 22:03:45 | ブックス

「こんにちあわわわわッ、テディちゃでス!

 おッおおおォ、おおたにィさァ~んッ!」

「がるる!ぐるるがる~!」(←訳:虎です!ついに到達~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 6打数6安打3本塁打2盗塁10打点という大記録とともに、

 50‐50を超えて51‐51を達成した大谷翔平選手に

 とにもかくにも特大の拍手を~!

 ふぅ、驚き冷めやらぬまま、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

           ―― 天狗屋敷の殺人 ――

 

 

 著者は大神晃(おおがみ・こう)さん、

 2024年6月に発行されました。

 『Tengu House Merders』と英語題名が付されています。

 『新潮ミステリー大賞』最終候補となった

 長編ミステリ作品を文庫化したこの御本は、

 著者・大神さんのデビュー作でもありますね。

 

「ぱちぱちぱちィ~!」

「ぐるるがるるる!」(←訳:期待でドキドキ!)

 

 語り手の『僕』――古賀鳴海(こが・なるみ)さんは、

 京都・四条河原町にオフィスを構える

 《なんでも屋》でアルバイトをしています。

 

 今回、《なんでも屋》さんに寄せられた依頼は、

 家出した女の子の連れ戻し、でした。

 

 女の子を見つけて、説得して、

 どうにか家へ送り届けて……

 仕事が無事に済んだ後も、

 古賀さんのこころは晴れません。

 

「ふァ? なぜェでスかァ?」

「がるるぐるるるるる?」(←訳:依頼は完遂したのに?)

 

 家出少女さんの、面差しと、雰囲気。

 それが、よく似ているのです。

 元カノさんに。

 

「むゥ~!」

「ぐる~!」

 

 古賀さんが、以前に付き合っていたのは、

 同じ大学の学生の、

 平澤翠(ひらさわ・みどり)さん。

 

 パッと見は美少女の翠さん、

 ストーカー気質で、

 古賀さんのゴミを入念にチェックするし、

 気に食わないことがあると

 すぐに包丁を突き付けて脅すし、

 部屋の鍵を破壊して侵入してくるし、と

 トンデモナイ子だったのですが、

 なぜか、どうしても憎めなくて。

 

 一緒に母の実家に来てほしい――

 夏の或る日、そう懇願された古賀さん、

 断り切れず、

 承諾してしまいました。

 

「あのねッ、そういうときはねッ」

「がるるるぅる!」(←訳:逃げましょう!)

 

 実は、翠さんにも思惑があったのです。

 思惑と……不安が。

 

 今夏の帰省は、特別なものになる。

 

 長いこと行方不明になっている祖父の、

 遺言状が開封されるのだから。

 そこに何が記されているのか、

 誰も知らない……。

 

「そっ、それはァ、まさしくゥ!」

「ぐるる~?!?」(←訳:犬神家~?!?)

 

 翠さんの実家《天狗屋敷》がある、

 静岡県の山間部へ。

 

 古賀さんと翠さん、

 そして古賀さんがアルバイトする

 《なんでも屋》店主の

 樋山忍(ひやま・しのぶ)さんも加わっての、

 《天狗屋敷》訪問の顛末は……?

 

 笑いとシリアス、

 横溝正史さんへのオマージュも盛り込まれていて、

 ミステリ好きな活字マニアさんにおすすめの、

 新星さんの力作です。

 本屋さんの文庫コーナーで

 ぜひ、探してみてくださいね~♪

 

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~ 《陽光》を、画布に ~

2024-09-19 22:03:36 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 あといッぽォ~なのでス!」

「がるる!ぐるがるるぐるるる!」(←訳:虎です!その一歩が長いんだ!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 LAドジャースの地区優勝&プレーオフ進出、

 そして大谷翔平選手の大記録達成まで、

 あと一歩……いえ、数歩というところでしょうか。

 ドジャースの選手さんスタッフさんにでっかい声援を送りつつ、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

            ―― 旅する印象派 ――

 

 

 著者は冨田章(とみた・あきら)さん、

 2024年6月に発行されました。

 『パリから世界へ』と副題が付されています。

 

 日本でもよく知られている芸術運動《印象派》は、

 19世紀後半のフランスに生まれました。

 モネさんの『印象・日の出』が発表された

 1874年の頃はひどく貶されたものの、

 次第に評価が高まり、後援者も増えて、

 美術の世界を変革する大旋風となってゆきます。

 

「えいきょうりょくゥ、あッぷゥ!」

「ぐぅるるーるがるる!」(←訳:フォロワーも続々と!)

 

 《印象派》という¨新たな潮流¨を育てたのは、

 大都市・パリでした。

 

 世界中からやって来る画家・画学生たちが、

 《印象派》に驚き、見惚れ、賛同し、学んで、

 やがて自分の国に帰ってゆくのに従い、

 《印象派》はフランス国外へと

 広まってゆきます。

 

 この御本では、

 《印象派》の主要な画家さんたち――

 モネさん、ルノアールさん、ドガさんといった画家さん以外の、

 北欧や英国、

 スペインなど南欧、東欧、

 日本など極東の国々の《印象派》画家さんを

 紹介してゆきます。

 

「うむゥ! みたことォ、ありまスゥ!」

「がるぐる!」(←訳:有名作品!)

 

 黒田清輝さん(1866~1927)、

 藤島武二さん(1867~1943)は、

 現代でも人気の画家さんですね。

 大原美術館設立に尽力した

 児島虎次郎さん(1881~1929)の作品も

 掲載されています(本文137ページ)。

 

 しかし、

 《印象派》らしさを最も画風に湛えているのは、

 米国出身の画家さんたち、かもしれません。

 

 国籍は合衆国だけれども、

 欧州に生まれ育った、いわゆる――

 

「ぱりのォ、あめりかじんッ!」

「ぐるるるるるるがる!」(←訳:コスモポリタンだね!)

 

 本文24~27の、4ページに渡って特集されている

 ジョン・シンガー・サージェントさん(1856~1925)は、

 イタリア生まれの米国人さん。

 

 現在は、何かにつけ『マダムXの肖像』(1884)を

 話題にされることが多いサージェントさんですが、

 『カーネーション、リリー、リリー、ローズ』(1885~1886)

 という、本文25ページに収録されている作品には、

 夕暮れの戸外の光が美しく描かれています。

 

「ひかりィ、でスねッ!」

「がるるぐるる!」(←訳:画面に宿る光!)

 

 モネさんたちが見出した《光》の画が、

 いかにして、世界へ伝播していったか。

 

 セガンティーニさんや

 カール・ラーションさん他

 日本でも人気の画家さん、

 また、

 日本ではあまり知られていない画家さんも

 取り上げられています。

 印象派好きな方々に、

 アート好きな活字マニアさんにもおすすめですよ。

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪

 

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~ 正論? それとも? ~

2024-09-18 22:03:47 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ひゃあッ! かみなりィ~ッ?」

「がるる!ぐるるがるぅ!」(←訳:虎です!大雨も来たぁ!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 今日9月18日は満月……《ハーヴェストムーン》ですね。

 雨雲のはるか上の、空の彼方で輝くお月さまを想像しながら、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

         ―― シャーロック・ホームズの誤謬 ――

 

 

 著者はピエール・バイヤールさん、

 原著は2008年に、

 画像の日本語文庫版は2023年2月に発行されました。

 仏語原題は『L'AFFAIRE DU CHIEN DES BASKERVILLE』、

 『バスカヴィル家の犬 再考』と日本語副題が付されています。

 

「むむむむゥ! でたなァ、ようかいィ!」

「ぐるるるるぅ!」(←訳:負けないぞぉ!)

 

 はいはい、テディちゃも虎くんも、落ち着いて。

 とはいっても、

 全世界の《名探偵ホームズ》氏ファンの方々は

 落ち着いてはいられないかもしれませんね。

 

 著者・バイヤールさんは、

 『アクロイドを殺したのは誰か』という作品で

 ミステリ好きな方々によく知られている御方です。

 

 A・クリスティーさんの名著『アクロイド殺人事件』に於ける、

 エルキュール・ポアロ氏の推理に異議あり!

 と主張し、独自の推論を展開したことで

 読書界に名を馳せたバイヤールさんの

 新たなターゲットは……

 我らがホームズさん!

 

「ふふゥ~んだッ!」

「がるるるぐる!」(←訳:来るなら来い!)

 

 長編作品『バスカヴィル家の犬』(1902)。

 

 バスカヴィル家を祟る魔犬の伝説と、

 当主の急逝。

 そして、新大陸からやって来た新当の身辺に、

 怪しい出来事が……?

 

 事件の捜査&解決にあたるのは、

 もちろん、ホームズ氏と盟友ワトソン医師!

 

 ¨シャーロッキアン¨と呼ばれる

 ホームズさんのファン諸氏が高く評価するこの物語に、

 バイヤールさん、

 遠慮会釈なくダメ出ししまくります。

 

「んもうゥ、しつれいィなッ!」

「ぐるがるるる~!」(←訳:礼儀知らずめ~!)

 

 バイヤールさんいわく。

 

 ホームズさんの推理は間違っている。

 はっきり、誤謬(ごびゅう)がある。

 バスカヴィル家で何が起きたのか、

 根本的な認識が間違っている。

 

 では、どこがどう間違っているのか、の詳細は、

 ネタバレを回避するため、

 残念ながら、ここで書くことは出来ません。

 

 ただ、私ネーさ個人の感想を

 ちょつとだけ記しておきますと……

 

 ¨まず間違いありき¨

 

 なバイヤールさんの姿勢が気にかかります。

 

 ホームズさんは間違っている、

 と前提して

 論理をぐいぐい進めてゆくものですから、

 読み進むごと増してゆくのは、不安と不審。

 

 なるほど、ホームズさんもミスをするかもしれない。

 でも、だからといって、

 バイヤールさんの考察が正しいとは、限らないはず。

 

 どちらが正しいとか

 間違っているとかよりも、 

 事件の真相は、もしかしたら、

 まったく別のところに……?

 

「しんじつはァ、やぶのォなかでスゥ!」

「がるぐるるるがる!」(←訳:いや大沼の底だよ!)

 

 フェアか、アンフェアか。

 正論か、言い掛かりか。

 

 近代文学史上きっての名著をめぐる

 愉しい推理合戦は、

 シャレが解るミステリ好きさんにおすすめですよ。

 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

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~ 秋の夜闇に ~

2024-09-17 22:03:28 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ♪るるゥ~あめふりィ~おつきさァんン~♪」

「がるる!ぐるるぅ~♪」(←訳:虎です!雲の陰ぇ~♪)

 

 こんにちは、ネーさです。

 今日9月17日は《中秋の名月》……

 なのに浮かんできたのは『雨降りお月さん』の歌でした。

 野口雨情さん作の歌詞を口ずさみながら、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらのコミック作品を、どうぞ~♪

  

 

 

            ―― 黄泉のツガイ 8 ――

 

 

 著者は荒川弘(あらかわ・ひろむ)さん、

 2024年9月に発行されました。

 累計300万部を突破したという長編伝奇ロマンの

 最新巻ですよ。

 

「むむゥ! しんてんかいィ、でスゥ!」

「ぐるるがるるる~!」(←訳:こんな隠し技が~!)

 

 第1巻からのあらすじを

 ちょこっと説明いたしますと……

 

 《夜と昼を分かつ双子》

 の片割れとして、この世に生を享けた

 少年ユルくん。

 

 或る日、生まれ育った山奥の村を襲われ、

 やむなく山を下りて、

 身を隠すものの。

 

 ユルくんが持つ強大な能力を狙って、

 謎の組織からの襲撃が、ふたたび?

 

「あううゥ、まいにちがァたたかいィ~!」

「がるるるぐる~っ!」(←訳:こんなのヤダ~っ!)

 

 平和に、穏やかに暮らしたい。

 

 ユルくんと、

 双子のもうひとり、

 アサさんの願いを他所に、

 闘いの連鎖はどこまでも。

 

 この第8巻では、

 ¨敵¨の攻撃を退けた、と

 ユルくんたちがひとまず安心した途端、

 別の敵勢力の存在が浮かび上がってきて、

 新たな緊張が走ります。

 

 ヒントになるのは……地名?

 

「あッ!」

「ぐるる!」(←訳:そうか!)

 

 ええ、そうです。

 第1巻の冒頭から、

 幾度となく描かれてきていましたね。

 

 ユルくんが育ったのは、

 東村。

 

 ………東があるのなら、☆◎も……?

 

「しィ~ッ、しィ~ッ!」

「がるるぐるっる~!」(←訳:そこでストップ~!)

 

 はいはい、ネタバレ厳禁!という訳で、

 この辺りで口を閉ざさねばなりませんが、

 推察いたしますに、

 つい一昨日の9月15日、

 Xでトレンドにもなった或るタグこそ、

 ユルくんたちの闘いの、

 謎を解くカギになっていそうな……?

 それは――

 

「わわわァ~ッ!」

「ぐるがっるる~!」(←訳:秘密だってば~!)

 

 ユルくんの闘いは、

 どこへ。いつまで。

 

 いま、いちばん《先が読めない》マンガは、

 エンタ好きな活字マニアさんに激おすすめです。

 著者・荒川先生に特大の元気玉を送りつつ、

 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

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~ 画集も絵本も、お手のもの? ~

2024-09-16 22:03:44 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 うわおゥ! だいはくしゅゥ~なのでスゥ!」

「がるる!ぐるる~!」(←訳:虎です!祝受賞~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 ドラマ『SHOGUN』が、エミー賞を受賞!

 主要キャストさん&スタッフさんも受賞ラッシュ!

 18冠の快挙に熱~い拍手を送りながら、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

           ―― はじめてであう 安野光雅 ――

 

 

 著者は安野光雅(あんの・みつまさ)さん、

 森田真生(もりた・まさお)さん ほか、

 2023年10月に発行されました。

 

「あんのォさァ~んッ!」

「ぐるるがるる~!」(←訳:大好きだよお~!)

 

 安野光雅さん(1926~2020)。

 

 島根県津和野市に生まれた安野さんは、

 山口師範学校研究科修了後、

 上京して、三鷹市や武蔵野市などで

 図画工作科の小学校教員を勤めました。

 

 1962年に教員の職を辞すまでは、

 学校の先生と絵描きさんを同時進行、という

 忙しい毎日でしたが、

 絵に専念するようになってからの大活躍は、

 活字マニアの皆さまも、

 よくご存じのことでしょう。

 

「しょもつのォ、おしごとォ!」

「がるるるるぐるるがる!」(←訳:安野さんの得意技です!)

 

 この御本では、

 安野さんの生涯を辿りつつ、

 安野さんが出版界に記した足跡を

 詳しく紹介してゆきます。

 

 代表作とされる

 《ことばのない絵本》シリーズ、

 騙し絵の手法を応用した『もりのえほん』、

 数学の技術を用いた『魔法使いのABC』など

 絵本ジャンルの作品や、

 書籍の装幀(装画)、

 雑誌の表紙絵、

 井上ひさしさんのお芝居のポスター、

 司馬遼太郎さんとのお仕事、

 切手のデザイン。

 

 そして、

 旅の絵本や、画文集も。

 

「それにィ、かたりべェ、なのでス!」

「ぐるるるがるぐるるるる!」(←訳:絵の具と筆で語りました!)

 

 後年、安野さんが力を注いだのは、

 古典作品を《繪本》にすることでした。

 

 『繪本 平家物語』(1996)、

 『繪本 シェイクスピア劇場』(1998)、

 『繪本 三国志』(2008)

 などの作品は、

 大人な活字マニアさん向けの傑作です。

 

「さいみつなァ、すいさいがはァ~」

「がるぐる!」(←訳:原画拝見!)

 

 巻末には、

 安野さんの故郷・津和野町の

 『津和野町立 安野光雅美術館』、

 京都府京丹後市に造られた

 『森の中の家 安野光雅館』

 の情報も掲載されていますよ。

 

 本屋さんや図書館で

 安野さんの絵本・画集を堪能して、

 原画も観たい~!と思ったら、

 皆さま、美術館へも、ぜひ♪

 

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~ 夏の島にて ~

2024-09-15 22:03:59 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 けッせんッ、せきがはらァ~ッ!」

「がるる!ぐるるるるる~!」(←訳:虎です!第425回の~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 今日9月15日は、関ヶ原合戦の日!

 Xでは朝から《#関ヶ原2024》が騒然としていますが、

 島左近さんと石田治部少輔さんにエールを送ったら、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

          ―― 少女ソフィアの夏 新版 ――

 

 

 著者はトーベ・ヤンソンさん、

 原著は1972年に、画像の日本語新版は2024年7月に発行されました。

 フィンランド語原題『SOMMARBOKEN』は、

 『夏の本』という意味だそうですよ。

 

「おォ~! やんそんッさんッ!」

「ぐーるるるがるる!」(←訳:ムーミン谷の語り部!)

 

 トーベ・ヤンソンさん(1914~2001)は、

 フィンランドのヘルシンキに生まれた

 画家であり、作家さんです。

 

 ヤンソンさんの作品で最も有名なのは、

 ええ、皆さま御存知のように、

 『たのしいムーミン一家』(1948年刊)から始まる

 ムーミントロールと仲間たちのおはなし……なんですけど、

 著者・ヤンソンさんは、

 この『少女ソフィアの夏』を、

 

 《わたしの書いたものの中で、

  もっとも美しい作品》

 

 として、

 特別な思いを抱いていたといいます。

 

「むむゥ! ふぁんたじィ~でスかッ?」

「がるぐる?」(←訳:SFとか?)

 

 いいえ、地の霊のようなトロールや魔物たちは、

 この御本の主役ではありません。

 

 主人公は、お母さんを亡くしたばかりの女の子、

 ソフィアさん。

 

 ソフィアさんと、

 お祖母さん、

 そしてお父さんも加えた一家は三人。

 

 夏になると、三人は

 フィンランド湾に浮かぶ

 小さな島に住まいを移します。

 

「ふァ~…うみィだァ~…」

「ぐるがるる~!」(←訳:荒波すごい~!)

 

 絶海の孤島、という訳ではないんですよ。

 ソフィアさんの友達が来ることもあれば、

 近所の人が郵便を届けに

 来てくれることもあり、

 島の外との行き来はあるのです。

 

 ただ、

 基本はふたり。

 

 ソフィアさんと、お祖母さん。

 

 半世紀以上も年齢が離れた二人が、

 一緒に遊び、

 本気で喧嘩をし、

 家の手入れをし、

 食事を作ります。

 

「あッ! あれはッ?」

「がるるるぐるる!」(←訳:水平線に黒雲!)

 

 不意の嵐や、

 お祖母さんとの衝突。

 大泣きしたり、

 怒ったり。

 

 ぜ~んぶひっくるめてみれば、

 それは、幸福な子ども時代――

 黄金色の日々、でしょうか。

 

 ソフィアさんとお祖母さん、

 影はちょっと薄めなお父さんの、

 平和で尊い、

 ヤンソンさんがいうように

 《美しい》ものがたり。

 

 扉や本文には、ヤンソンさんらしいタッチの

 挿絵が収録されていますので、

 画家トーベ・ヤンソンさんのファンの方々にも

 おすすめの一冊ですよ。

 巻末の、訳者の渡辺翠さんによる『あとがき』も、

 ぜひ、読み逃しなく~♪

 

 

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~ 昭和モダンの《写真館》 ~

2024-09-14 22:03:14 | ミュゼ

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 おまつりィ~かいさいしてまスよゥ!」

「がるる!ぐるるるるがるる~!」(←訳:虎です!知人さんが出店中~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 9月13日&14日、赤坂エリアでは

 《赤坂秋祭り2024》が開催されています。

 赤坂近辺にお出掛け予定の方々は、ぜひ覗いてみてくださいね。

 と、宣伝を完了したところで、

 さあ、本日は読書をサボって、こちらの展覧会情報を、どうぞ~♪

  

 

 

       ―― 特別展 街に写真館があったころ ――

 

 

 東京・小金井市の江戸東京たてもの園(都立小金井公園内)にて、

 会期は2024年7月27日~9月23日

 (月曜休園、ただし月曜が祝休日の場合は開園し、翌火曜日休園)、

 『When There Were Photo Studios in Town』と英語題名が、

 『~ 常盤台写真場と昭和モダン ~』と日本語副題が付されています。

 

「うわァ、かッこいいィ~ッ!」

「ぐるるるがるぐる!」(←訳:ステキな建物だよ!)

  

 ええ、↑上の画像の、白い建物が『常盤台写真場』、

 今回の展覧会の¨主役¨さんです。

 

 1937年、東武東上線の常盤台住宅地に誕生した

 昭和モダンスタイルの写真館は、

 1997年、江戸東京たてもの園に復元されました。

 

「しゃしんかんのォ、れきしはァ~」

「がるるぐる!」(←訳:写真の歴史!)

  

 この展覧会では、

 『昭和モダン』

 『営業写真館の歴史』

 『文化住宅と常盤台写真場』

 『変化するカメラと写真』

 『人はなぜ写真を撮るのか』

 という展示構成から、

 写真館の存在と、

 写真の在り方について考えてゆきます。

 

「しゃしんはァ、いまやァ~ひつじゅひんッ!」

「ぐるるがる!」(←訳:日用品だし!)

 

 広いスタジオや、

 大型の照明器具を備えた、

 特別な《晴れの場》――写真館。

 

 猛暑が過ぎ去ったら、

 秋のお散歩を兼ねて、

 皆さま、江戸東京たてもの園へ、ぜひ♪

 

 

 

   では、ここでオマケ画像も、じゃじゃん!

   

   『ブルボン』さんの

   《ミニ スイーツ Bit 期間限定》は、

   4種類のBitチョコ入り!

   「おッ! もんぶらんッ!」

   「がーるるーるるぐる!」(←訳:チーズケーキもある!)

   「あきのォ~あじわいィ!」

   来週の半ばからは

   秋の気候に変わるという予報に望みを託しつつ、

   どうか穏やかな休日をお過ごし下さいな。

   

 

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~ 樹座、その熱狂の日々 ~

2024-09-13 22:03:28 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 うむむゥ! れんきゅうゥ~なのでス!」

「がるる!ぐるがるぐるる!」(←訳:虎です!でも油断すまじ!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 晴天から豪雨!という、お天気の急変が続いていますね。

 お出掛け時も在宅時も、

 雨雲レーダーでお天気の変化をこまめにチェックしたら、

 さあ、本日の読書タイムですよ。

 本日は、こちらのノンフィクション作品を、どうぞ~♪

  

 

 

         ―― 遠藤周作と劇団樹座の三十年 ――

 

 

 著者は宮部尚(みやべ・なお)さん、

 2024年7月に発行されました。

 『Japan's Best Amateur Theatrical Group KIZA』

 と英語題名が付されています。

 

「ふァ? きざッ??」

「ぐる……がるる?」(←訳:きざ……だよね?)

 

 ええ、そうです、

 『樹座』と書いて、『きざ』。

 

 劇団の名前としては変わっていますけれど、

 一度耳にしたら忘れない名前、でもありますね。

 

 劇団樹座を立ち上げたのは、

 作家の遠藤周作さん(1923~1996)。

 

 『沈黙』『海と毒薬』他、代表的な著作は、

 ローマ法王庁でもよく知られているというほどの、

 昭和の偉大なる文豪さんです。

 

 そんな名作家さんが創ったのだから、

 樹座はきっと、ガチガチの正統派で大真面目な

 ストレートプレイ劇団だったことだろう、と

 想像するのも無理はありません、が。

 

「……もしかしてェ?」

「がるる??」(←訳:違うの??)

 

 素人劇団。

 

 いえ、言い直しましょう、

 華麗なる素人劇団!

 

 遠藤さんが率いる劇団樹座で演じられたのは、

 『ロミオとジュリエット』『ハムレット』

 『夏の夜の夢』『カルメン』……と、

 昔から人気の、特に奇妙な点もない作品でした。

 

 ところが。

 遠藤さんの演出理念が、

 変わりに変わっていたのです。

 

 お芝居の幕ごとに、

 主役を演じる役者さんが交代する。

 

 脇役さんも、同じように、役者さんが交代。

 

「ええェ? それッてェ~??」

「ぐるるるがるぐるる!」(←訳:観ている方は大混乱!)

 

 はい、まさに。

 衣装こそ違え、

 第一幕で主役を演じた役者さんが

 第二幕では脇役や準主役に回り、

 或いは敵方に回ったり。

 第三幕では、また別の役になったり。

 カーテンコールでは、主役の衣装に戻ったり。

 

 観客さんが混乱するのは当然です。

 では、お客さんたちが怒り狂ったかというと、

 まったく逆でした。

 

「みんなァ、おおよろこびィ?」

「がる~!?!」(←訳:なぜ~!?!)

 

 なぜって、

 主役を演じるのは、

 座長の遠藤さんをはじめ、

 北杜夫さん、平岩弓枝さん、

 佐藤愛子さん、山崎陽子さん他、

 ベストセラー作家さんたち。

 

 そこに、オーディションに合格して入団した

 主婦さん、学生さん、銀行マンさん、

 大学の教授さん、といった

 ¨一般市民¨さんたちが加わります。

 

 また、素人役者さんたちとは対極に位置する

 超一流のプロフェッショナルさんも、

 樹座の舞台に参加していました。

 美術や照明は、劇団四季さん。

 バレエの振り付けは、森下洋子さんと清水哲太郎さん。

 松坂慶子さん、名取裕子さんが演出に参加し、

 音楽は黛敏郎さん等々……!

 

「しんじィられないィ!」

「ぐるるるーがる!」(←訳:クレイジーだよ!)

 

 著者の宮部さんは、

 新潮社で遠藤さんの担当をしていた編集者さんでした。

 それが、或る日、遠藤さんが発した一言で

 人生が一変した、といいます。

 

  『君、芝居に出ないか』

 

「むむむむッ!」

「がるるぐるるる~!」(←訳:魅惑の名台詞だ~!)

 

 遠藤さんの途方もない発想に巻き込まれ、

 劇団の屋台骨を担う羽目になった宮部さん。

 はたして、宮部さんが体験した

 樹座での日々とは……?

 

 遠藤周作さんのファンの方々に

 激推し!な一冊です。

 樹座の舞台を御存知の方々も、

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪

 

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~ 筆からペンへ ~

2024-09-12 22:03:43 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 はやくもォ~はろうィんッ!」

「がるる!ぐるるるがる!」(←訳:虎です!お菓子が続々!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 スーパーマーケットの特設コーナーは、

 黒猫やオバケをデザインしたお菓子で賑やかですね。

 ハロウィン前に猛暑で溶けてしまいそう~とハラハラしつつ、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

          ―― 日本文房具クロニクル ――

 

 

 編者は日本なつかし大全シリーズ編集部の皆さん、

 2024年4月に発行されました。

 

 9月に入って、

 『ロフト』さんや『ハンズ』さん他、

 文具を扱うお店で一斉に並んだのは、

 2025年版のダイアリー、カレンダー!

 それに先日は、

 『東京インターナショナル・ギフト・ショー』が開催され、

 パーソナルギフトと生活雑貨の最新情報も報じられましたね。

 

「ふァいッ! ほしいものォ、いッぱいィでス!」

「ぐるるるがっる~!」(←訳:楽しそうだった~!)

 

 この御本で取り上げられているのは、

 1895年以降、

 日本で作られてきた数々の文房具製品です。

 

 1895年、つまり明治の時代に

 まず大きく生まれ変わったのは『帳簿』でした。

 江戸時代に用いられていた大福帳と毛筆から、

 万年筆などの筆記具を使う西洋式帳簿へ。

 

 そして、

 輸入品の高価な文具に

 日本の職人さんたちは刺激されたのでしょう、

 明治・大正・昭和にかけて、

 糊の『ヤマト』さん、万年筆の『パイロット』さん、

 『セメダイン』さんに『サクラクレパス』さん、

 『ツバメノート』さん、『三菱鉛筆』さん、

 スケッチブックの『マルマン』さん……

 といった国産文具メーカーさんが

 誕生&発展してゆきます。

 

「いまもォ~だいかつやくゥ!」

「がるぐるる~る!」(←訳:愛用してま~す!)

 

 日本初のシャープペンを開発した『シャープ』さん、

 セロテープの『ニチバン』さん、

 MONO消しゴムの『トンボ鉛筆』さん、

 カッターの『オルファ』さん。

 

 時代が現代に近付くとともに、

 文房具たちは、

 より便利に、

 よりカラフルになっていったり、

 或いは逆に、

 発売当初とほとんど変わっていなかったり、

 復刻版の方がヒットしたり。

 

「さいきんのォ、りゅうこうはァ~…」

「ぐっるるがるる?」(←訳:やっぱりインク?)

「ますきんぐゥてェーぷゥ!」

「がるるぐるるる!」(←訳:付箋もいいよね!)

 

 私ネーさが、

 こういうのもあるんだ!と衝撃を受けたのは、

 『あたぼう』さんが2016年から販売している

 《飾り原稿用紙 碧翡翠》……!

 

 アナログな原稿用紙を、敢えて現代に?

 うわあ、触ってみたい!

 どういう紙質なのかしら、これ?

 と物欲が上昇してしまいましたww

 

「あなろぐゥ、だいじィでス!」

「ぐるるがるる!」(←訳:永遠の必需品!)

 

 かつて使った文具。

 これから使ってみたい文具。

 

 1895年から2018年までの、

 日本の文房具の歴史図鑑は

 文具マニアさん必見です。

 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

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~ 窓辺に、カナリア? ~

2024-09-11 22:03:12 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ふうゥ~、もうゥげんかいィでスゥ~…」

「がるる!ぐるがるるる~…」(←訳:虎です!秋に会いたい~…)

 

 こんにちは、ネーさです。

 秋……いったいどこに行ってしまったんでしょう。

 いつになったら会えるのかなぁと、

 9月の猛暑でへとへとになりながら、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

          ―― カナリア外来へようこそ ――

 

 

 著者は仙川環(せんがわ・たまき)さん、

 2024年4月に発行されました。

 

「むッ? かなりあァとはッ?」

「ぐるるるるがるるるぐる?」(←訳:小鳥専門の動物病院かな?)

 

 いえいえ、『カナリア外来』は、

 病院の名前ではありません。

 正式な名称は、

 『保泉(ほずみ)クリニック』。

 

 カナリア、というのは、

 そのクリニックにやって来る

 患者さんを指しているようですね。

 

 例えば、

 このところ頭痛とめまいに悩まされている

 松崎和歌子(まつざき・わかこ)さん。

 

「あううゥ、ずつうゥ~…!」

「がるるぐる~…」(←訳:つらいよね~…)

 

 頭痛の原因は何だろうか、と考え始めると、

 和歌子さんの気持ちはいっそう落ち込みます。

 

 会社を早期退職した夫が、

 一日中ずっと家にいるようになって、

 その頃から頭痛がひどくなった……

 つまり、頭痛の原因は夫なのだろうか?

 

 試しに、

 一晩を実家に戻って過ごしてみたら……

 頭痛は起こらなかった!

 

 のですが。

 保泉クリニックの医師・保泉先生は、

 和歌子さんの説明に

 納得していない様子です。

 

「ほんとうのォ、げんいんはッ?」

「ぐるる……?」(←訳:もしや……?)

 

 頭痛の原因は、どこにあるのか。

 

 心因性のもの?

 細かなことを気にしすぎ?

 それとも……

 思い込みや妄想ではなく、

 物理的な理由がどこかにある?

 

「しらべるゥべきでスゥ!」

「がるるる!」(←訳:徹底的に!)

 

 かつて、炭鉱で働く作業員さんは、

 カナリアを籠に入れ、

 鉱山での掘削作業に伴いました。

 有毒ガスが坑道で発生した場合、

 カナリアは人間よりも敏感だから、と。

 

 和歌子さんのような、

 原因がはっきりしない不調に苦しめられている人は、

 現代のカナリア、なのでしょうか――

 

「みみをォ、すませばァ~…」

「ぐるるるがるるるるぐる?」(←訳:どこかでカナリアの声が?)

 

 クリニックの扉を開けたなら、

 ぶっきらぼうだけど、

 本気で親身になってくれる

 保泉先生が、そこに。

 

 医療ミステリというよりも、

 山あり谷ありの人間ドラマ集は、

 エンタな小説好きな方々におすすめですよ。

 本屋さんの文庫コーナーで、

 ぜひ、探してみてくださいね~♪

 

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