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コーヒーカップの耳

『虹色の包帯』より

2023-03-25 08:39:17 | 文芸
先日ご来訪の柳人、中野文擴さんから戴いたコピーがメッチャ面白い。
『虹色の包帯』という織田正吉さんの川柳自選句集よりの抜粋。
3枚のコピーの最初の部分。
←クリック。
句集には500句以上が載っているらしいが、そのうちの116句を三枚のコピーに抜粋してあります。
すべて面白いですが、その中のまた、わたしの選りすぐりを。

  病室が留守で見舞いの所在なし
  プログラム置いてましたと立たされる
  割り箸を詰込み過ぎている取れぬ
  あと出しをしてじゃんけんに負けている
  病院に慣れて点滴のまま歩く
  若い目に言ったつもりが歳を当て
  子育てをすませて分かる育て方
  お別れを言って列車が発車せず
  血圧を測り直して同じなり
  誤植ありひとの本だが直しとく
  女雛から何かささやく春の闇
  チューリップチューリッパとなるそして散る
  生命はやわらかいもの子の子抱く
  惜しい人なくしましたとみんな言う
  ひっそりと受付にいる画家自身
  押したいか押したいやろと非常ベル
  残った傘を仕方なくさす


などなど、いっぱい心を動かす句が並んでいます。
そして、「あとがきより」とあって、織田正吉さんの「現代川柳批判」が載っていて、これが我が意を得たりの文章。
文末に「川柳は私とは関係のないところへ行ってしまった。」とあります。
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