アヤソフィアをモスクにというニュースがあったのは気が付きましたが、それにどんな意味があるのか分からず取り上げませんでした。
ところが、どうやら大きな意味があるようです。宮崎さんが詳しく書いてくれています。
まさか、これがグローバリズムとナショナリズムの戦いだとは思いもしませんでした。
「宮崎正弘の国際情勢解題」より 令和2年(2020)7月12日(日曜日)弐 通巻第6583号
エルドアンのナショナリズム、こんどはアヤソフィアをモスクに
欧米は衝撃を食らったが、自国ファーストで何が悪いのか?
欧米のメディアはトルコのエルドアン大統領を酷評し続けてきた。
一時は世界秩序の厄介者のように扱った。しかし西側の批判など何処吹く風、トルコはNATOの重要メンバーであるにも拘わら ず、上海協力機構(SOC)に加盟し、リビアとカタールに派兵し、シリア内戦では鵺的な軍事行動を取った。
プーチンとは馬があう。ロシアのパイプライン敷設を積極的に推進し、ついにはロシアのミサイル防衛システムを導入した。
そのうえでエルドアン大統領は平然と訪米し、トランプと対等の立場で会談するほどの政治力を発揮する。民主、人権の西洋的価 値観を奉ずるトルコ人からは目の仇だが、国内ではなかなかの人気を誇る。
7月11日、トルコ政府は最高裁判所の決定を受けて、世界遺産のアヤソフィアをモスクとすると発表した。トルコナショナリ ズムが、グローバリズムとの訣別を宣言したような画期的な出来事である。
トランプはアメリカファーストを標榜し、列強も「国際秩序」を看板に掲げながらも、実質は自国ファーストである。自分の国 の権利を優先させるのは常識である。しかし国際社会の常識が通じない日本だけは「ジャパンファースト」ではなく、「国連 ファースト」の夢遊病に罹患している。
エルドアンのナショナリズム、最初は目立たなかったが、トルコの大学すべてにモスクを設置したあたりから芽を出し、クーデ ター未遂事件では、直後に10万近くの軍人、政治活動家、教職員らをパージし、権力基盤を固めた。
トルコの歴史教科書はエルトゥールル号遭難のことを教えるので国民の大多数が親日的だが、史実として六世紀の「突厥」建国 をトルコの始まりと教えている。トルコの国名はチュルクに由来する。
アヤソフィアはもともと東方正教会の荘厳な建物だった。コンスタンチノーブル(今のイスタンブール)陥落以来、紆余曲折を 経て、宗教混在の博物館として登録し、世界遺産となっていたが、エルドアン政権は、これを正式にモスクとしたのだ。
▼これはトルコの国風運動ではないのか
欧米はトルコの行動を苦々しく思いながらも、NATO海軍は、その本拠がトルコのイスタンブールにあり、また地政学的には 地中海への出入り口であるポスポラス海峡を扼しているために、ロシア軍事力の抑止力として、大いに活用してきた。トルコ軍は 38万、精鋭は内務省直属の部隊だ。
欧州勢はトルコのEU加盟には多くの理由をつけて、一貫して難色を示してきたが、トルコを西側陣営にとどめ置くために、制 裁を口にしながらも実質的なことは行っていない。むしろトルコへの直接投資を増やして、トルコ観光ではドイツを筆頭に欧州か ら一千万人前後がカッパドキアなどトルコの観光地を回っている。
トルコはエルトゥールル号に義援金を運んだ山田寅次郎に若者の教育を依頼したが、その教え子のひとりがケマル・アタチェル クだった。アタチュルクは日本の明治維新の成功に倣い、トルコの近代化・西洋化路線を歩んだ「建国の父」である。
だからエルドアンのモスク回帰を短絡的にアタチェルクの西洋化近代化路線否定ととる向きもあるが、ちょうど明治維新の近代 化西洋化路線が鹿鳴館でピークを打ち、その後、国風が吹いたように、トルコに国風が本格化したという文脈でとらえるべきであ る。
イランで日本人が取り残されたときに、救援機を飛ばしたのはトルコ航空機だった。
ポスポラス海峡に海底トンネルを掘り、イスタンブールの地下鉄を東西につなげたのは日本の援助だった。地下鉄の駅には、ちゃ んと日本の国旗が飾られている。
駅の出入り口の大型スクリーンには地下鉄開通式典に安倍首相が出席した場面を流している。これらを筆者はカメラに収めてき た。
西側のメディアが嫌うエルドアン、じつは日本は彼に学ぶ点が多いのではないのか?
一時は安倍さんとエルドアンさんは仲が良さそうに見えたのですが最近はどうなんでしょう。と言うか、安倍さんが外交に意欲を失っているように思えて仕方ありません。
やはり、余りにバカな国民に嫌気がさして、もう日本を諦めたのでしょうか。もう一度、世界を導く意欲を見せて欲しいものです。
今こそ、日本が世界を導く最高のチャンスじゃないでしょうか。バカな国民を相手にするのは嫌でしょうが、もう一度頑張ってください。