第3187回などでその導入を何度も非難してきたサマータイムが東京電力の停 電対策のドサクサに紛れて導入なんて話が出ているようです。
日本経済新聞より
春秋 2011/3/29付
同じくらいの賛成、反対があって身動きがとれない。そんな案件でも、否応(いやおう)ない事情で一気に前に進む ことがある。何としても防がねばならない東京電力管内の夏の電力危機。対策のひとつに挙げられるサマータイム(夏時 間)は、その例になるかもしれない。
時計の針を前に進める夏時間を導入すれば、その分1日の生活が前にずれることになる。余暇時間が増える。眠れな くなる。賛否両派の言い分はいくらでもあるのだが、それは置く。節電、なかんずく真夏の昼から夕方にかけての電力需 要のピークをどのくらい下げる効果があるのか。今はそれだけを見極めたい。
夏時間は占領下、GHQ(連合国軍総司令部)の指令で導入された。評判が悪く4年で廃止されたと今に伝わる。江 戸時代、「明け六つ」という時は一定の時刻でなく日の出前を指していた。融通(ゆうずう)無碍(むげ)な時の数え方 も、昼夜の長さの伸縮に目をつけた変わり種の夏時間制だったともいえる。
1973年の石油ショック以来、夏時間は政治の俎上(そじょう)に幾たび か載っては消えていった。切羽詰まっていないから、導入しようがしまいが構わなかったのだろう。今は切羽詰まってい る。それは誰にでも分かる。夏までさして時間がないことも分かる。導入するならば急がねばならない。それもはっきり している。
どこがはっきりしているのでしょうか。何だか、これを機会に無理矢理導入しようと言う思惑が見え見えです。日 経がこんな事を言い出したところを見ると後ろには経済界の思惑があるのかもしれません。停電対策を表面に立てられる と反対し難いのを利用して何とか導入しようと言う姑息な根性が丸見えと思うのは私だけでしょうか。
しかし、反対の意見もあります。
SankeiBizより 2011.3.31
11日に発生した地震と津波で原子力発電所に被害を受けた日本では、節電を目的としたサマータイムの導入を検 討する可能性がある。しかし、専門家らは、期待する効果は得られないだろうとみている。
蓮舫節電啓発担当相は22日の記者会見で、「サマータイム、フレックスタイムに誘導していくための税制や電気料 金など抜本的に見直すきっかけにしたい」と述べた。蓮舫担当相によれば、夏場には電力消費が増大し、地震で被害を受 けた福島第1原子力発電所を保有する東京電力の電力供給に負担がかかる。
エネルギーリスク管理サービスを提供するレルコン・スキャンドパワー(スウェーデン)の核事業担当ディレク ター、ジャージー・グリンブラット氏は「欧州などではサマータイムへの切り替えで省エネが可能だが、米国やアジアで は事情が違う。米国やアジアでは欧州よりも冷房の使用量が多いので、省エネ効果は小さいだろう」と指摘した。
カリフォルニア大学の2007年の研究では、米国などでサマータイムを導入した場合、夜の電力消費が減っても朝 の電力消費が増えるために、逆効果になるとの結果が出ている。…以下略
日本にはどう考えても合わないと思うのですが企業としてはこれ以上従業員をこき使う思惑があるのでしょう。そ れでなくても、今回の日本の危機に対して真面目に取り組む従業員をこれ以上疲弊させてどうするのでしょう。
今回の自動車メーカーの操業停止も会社さえ儲ければ良いというジャストインタイムによる在庫の圧縮が原因の一つ と思うのは私だけでしょうか。もっと余裕を持って在庫を持っていれば、これほど一気に操業停止なんてことにはなら ず、在庫で創業を続けている間に次の手が打てたはずです。近視眼的に儲けたとおもっていても、どこかで付けを払う事 になるということでしょう。サマータイムだって上手く導入したと喜んでいても、きっと後で痛い目を見る事になるで しょう。
何事も程ほどに!