トルコがアメリカを蹴って、ロシアの防空ミサイルシステムを導入を決めたようですが、これがどういう意味があるのか良く分かりませんでした。
ところが、何時もの宮崎さんが、その意味を詳しく解説してくれています。どうやら東西対決にとんでもない影響があるようです。
エルドアンが狂ったのか。もう少しまともな人かと思っていたのですが、どうやら見間違っていたようです。それとも、何か目論見があるのでしょうか。
宮崎正弘の国際ニュース・ 早読みより 令和元年(2019)7月20日(土曜日) 通巻第6147号 <前日発行>
NATOに想 定外の亀裂、トルコが露製S=400システム導入
エルドアンは西側の一員から大きく離脱する構え、ロシアは喜色満面
エルドアン(トルコ大統領)の体制転覆を狙ったトルコの軍事クーデター未遂(2016年7月15日)。エルドアンは背後に米国 の陰謀があり、策動の震源地は米国亡命中のギュラン師だと断定し、ワシントンに送還を要求した。
オバマ前政権は人道上の理由からトルコの要求をはねつけた。
トルコは黒海と地中海を繫ぐポスボラス海峡を扼し、西側にとって安全保障上の要衝であり、重要なNATOのメンバーである。そ のNATOの団結を根底的に揺らす事件が発生した。
クーデター未遂から三年後の、2019年7月。トルコが米国の要求を蹴飛ばしてロシアのS=300防空ミサイルシステムを正式 に導入し始めたからだ。ロシアB61に搭載されたS=400がトルコ空軍基地に到着、組み立て作業が始まった。
近代化を成し遂げ「建国の父」と言われたケマル・パシャ以来の伝統だった政教分離製作から大きく逸脱し、エルドアン大統領は国 内でイスラム回帰政策を推進してきた。
対外的には米国の軍事同盟の絆から離脱してロシアに接近するという危険な綱渡り外交を展開してきた。軍事クーデター未遂事件に対 して米国の態度に激怒し、この傾向はますます強化されていった。米国からの横やりで、イスラエル空軍はトルコ空軍パイロットの訓 練を中断した。
ロシア製防空ミサイルシステムS=400の導入は2019年4月3日にプーチンとエルドガンが正式合意に達し署名を済ませてい た。
米国はそれでも楽観的で、F35(ステルス戦闘機)のトルコへの供与をキャンセルすると脅せば、エルドアンは土壇場で引き下が ると想定していた。
F35は総額100億ドル、トルコ側の事情でキャンセルとなってもトルコは違約金支払いのため90億ドルの損失を蒙る。
だからトルコが莫迦でない限り、しかもNATOへの裏切り行為にもあたるからS−400を導入する筈がないと読んできた。米国は 自らアメリカンファーストを掲げながら、トルコのナショナリズムの根幹にあるトルコファーストを理解できなかった。
とりわけペンタゴンの見通しは甘かった。トルコのインジルク空軍基地へロシア輸送機は降り立ち、S400の導入が開始された。 米国はただちに米国で訓練を重ねてきたトルコ人空軍パイロットのF35訓練を中止した。
S400は360度カバーのレーダーが補足できる距離およそ600キロ、165個の標的を同時に狙い、(米国製パトリオットは 125固)。また防空システムがカバーできる高さは56キロ(パトリオットは25キロ)。
NATOの行方に暗雲が立ちこめ、プーチンは喜色満面である。
それにしても、エルドアンの狙いは何なのでしょうか。中東がキナ臭くなると、アメリカのChina叩き潰しに影響があるのじゃないかと心配です。
この大事な時にエルドアンも余計なことをしてくれたものです。やはり、世界は腹黒い。国の為より自分の利益の為に動いているのじゃないでしょうか。
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