◇コキーユ 貝殻(1999年 日本 95分)
監督/中原俊 音楽/山田武彦
出演/小林薫 風吹ジュン 益岡徹 吉村実子 浜丘麻矢 高瀬春奈 金久美子 立石涼子
◇山本おさむ『コキーユ 貝殻』
「私の耳は貝の殻 海の響きを懐かしむ」
シャン・コクトーの詩の一節だけど、これが物語の味噌になってる。
小林薫が難聴であること、卒業式のお別れ会のとき、小林薫がプレゼント交換に用意した品がコクトーの詩集と貝殻だったってこと、風吹ジュンの開いたスナックが『コキーユ』って名前だってこと。もうそれだけで、おたがいに結婚し、子どもが生まれても、再会したときの状況によっては、焼けぼっ杭に火がつくのは目に見えてるわね。
まあ、ありがちな同窓会物なんだけど、うん、こんな感じなんでしょ、どれもこれも誰も彼も。
ただ、ちょっとばかし非現実的な気もしないではないし、最後の事故にいたるまで、誰もが傷つきながら、でも、小林薫の傷つきぶりは小さくないか?って感じがして、すこしばかり都合が好すぎないかな~ともおもわないじゃない。
やけに印象的だったのは、ふたりで待ち合わせてハイキングに出かけるのに、小林薫は出張に行くっていってるからスーツ姿で来ちゃうところなんだけど、そういうところも含めて、なんだか、全体的に男目線になってて、女子はこんなふうにおもってるのかな~って気もするよ。
男っていうのは、いくつになっても心はがきんちょのままで、中学時代の友達に会えば、中学時代の気分そのままだし、いつだってすぐに高校時代に戻れるような気でいる。そういうところ、ほんとに単純でアホな生き物だとおもうんだけど、こればかりは仕方ないよね。
ほんと、同窓会は困ったもんだ。
ただ、風吹ジュンは、好かった。