☆父親たちの星条旗(2006年 アメリカ 136分)
原題/Flags of our Fathers
監督・音楽/クリント・イーストウッド
出演/ライアン・フィリップ ジェシー・ブラッドフォード アダム・ビーチ ジェイミー・ベル
☆ジェイムズ・ブラッドリー ロン・パワーズ『硫黄島の星条旗』
Raising the Flag on Iwojima。
硫黄島の戦いは、米軍の呼称ではOperation Detachment。
このデタッチメント作戦にAP通信から派遣された従軍カメラマンが、ジョー・ローゼンタール。大戦を通じて最も有名な写真の1枚となった『硫黄島の星条旗』を撮った人物だ。
摺鉢山の攻防は熾烈をきわめ、山頂の奪取も何度か繰り返されたらしい。星条旗については最初に立てられたのは小旗で、この旗は2度目に立てられたものだ。
時刻にして、1945年2月23日、正午。
で、この星条旗を立てた青年たちの戦闘とその後を描いたのがこの映画だ。
米国に翻弄された青年たちの半生といってもいい。観客はそれぞれで、好みもあるだろうし、いろんな意見もあるだろう。2作前後して公開された『硫黄島からの手紙』の方が評判がいいときもあるけど、ぼくは、どちらかといえば、こちらの方が好みだ。
赤の発色を極端に抑えて粒子も粗くし、抑制の利いた画面で、当時の雰囲気を真摯に伝えようとするイーストウッドの演出にも好感が持てる。なにより、イーストウッドが制作者側に立ち、みずから出演しなかったのが好い。イーストウッドはどうしたところで「英雄」で、かれが出演してしまっては、映画そのものが別な次元の映画になりかねないから。
そういうイーストウッドの心意気に応えるべく、過剰な演技を排除し当時の人になり切ろうとした役者達もまた好い。
ほんと、皆、好ましい。
あ、ちなみに、ジョー・ローゼンタールが亡くなったのは2006年8月20日。
この映画の公開は、その死の2か月後、10月21日だ。
なんだか、運命的じゃない?