◇座頭市(2003年 日本 115分)
監督・脚本/北野武 音楽/鈴木慶一
出演/ビートたけし 夏川結衣 浅野忠信 大楠道代 ガダルカナル・タカ 岸部一徳
◇1948年、子母沢寛により『座頭市物語』誕生
ふしぎな映画で、これまでの勝新太郎の『座頭市』のシリーズとはまるで印象が異なり、まあ、座頭市へのオマージュだとおもえば、すんなり入る。銀髪の座頭市は、勝新のような生臭さもないし、たぶん、観客の好感度も高かったんじゃないかと。
映画はたぶん時代を背負っているもので、勝新が座頭市を演じたときは、生臭さはリアリズムとして受け取られた。ほんとは、勝新が創り上げた人物像でしかないんだけど、座頭市というのはなんだか野卑で、薄汚くて、強情っぱりな人間だと、ぼくなんか、ずっとおもってきた。
それをさっぱり洗い流してくれたことからいえば、たいしたもんだ。
たいしたもんといえば、農具や工具と音楽を同調させた演出は見事だった。
タップまで仕出かしてしまうのを見ると、なるほど、娯楽映画ってのは「観客もノッて騒いでね」っていうメッセージが必要が入ってるものもあるのねと、妙に納得しちゃったわ。