◇丹下左膳・続丹下左膳(1953 日本 82分/89分)
監督/マキノ雅弘 音楽/鈴木静一
出演/大河内傳次郎 水戸水子 山本富士子 沢村昌子 市川小太夫 澤村國太郎
◇林不忘『丹下左膳 乾雲坤竜の巻』
「しぇいは丹下、名はしゃぜん。およよ」
ていう名台詞を知ってる人は、もう少なくなってきたのかもしれない。
ま、それも仕方のないことなんだけど、この2本は、合わせて1本の物語になってる。
なんたって、前篇の橋の上の立ち回りは凄い。
たしかに、この頃は大河内傳次郎も年をとって、貫禄ばかりが前面に出てしまってるもので、左膳の凄みのある魁偉さは影を潜めてる。けど、二役の大岡越前の方は、その分、かなり好い。御用堤燈が押し寄せる佳境はなかなか見せる。映画の醍醐味ってやつだろう。
監督が乗らないまま撮った物だって話も聞いたけど、物語性は充分すぎるくらいある。
この後、左膳は魁偉さだけが面白がられ、なんだか正義漢のように扱われるようになってくるけど、そんなことないのは、これを観ればよくわかる。
過去の姿も観ていけば、際立った悪党だという事もわかるんだよね。