◇フリックストーリー(1975年 フランス 108分)
原題/Flic Story
監督/ジャック・ドレー 音楽/クロード・ボラン
出演/アラン・ドロン ジャン=ルイ・トランティニャン クローディーヌ・オージェ
◇悪党エミール・ビュイッシュを追う刑事ロジェ・ボルニッシュの手記
あまりに映像的な挿話。
高校生のときだったか、映画館で予告編を観て、アラン・ドロンがビルの窓からとなりの屋根へ飛び降りるカットがあって「お、すげ」とおもい、その予告編に妙に惹かれた。
別にたいしたアクションでもないはずなんだけど、なんであんなに惹かれたんだろうと、いまになってもわからない。
けど、クロード・ボランの哀愁に満ちた音楽が漂っているせいか、全体を通じて、渋めの雰囲気があり、青二才のぼくにも、そういうフィルム・ノワール的なものを感じる触覚があったんだろうね。
実際、淡々と語られる世界はときに退屈になったりもするものだけど、雰囲気は中々好い。ことに、佳境、町外れの食堂でのやりとりと立ち回りはいかにも仏映画だったわ。
ところで、原作者のロジェ・ボルニッシュは、実際の刑事で、フランス内務省管轄の国家警察司法警察局の刑事部に勤務していたらしい。ま、FBIとか警察庁とかいった感じなんだろうけど、このボルニッシュの、1947年から50年までの調査記録を映像化したものだ。
で、当時、フランス史上最高となる36件の殺人をしでかしたのが、ジャン・ルイ・トランティニャン演じるところのエミール・ビュイッソンってわけだ。
もうすこし絞り込んだ映像の方がいいような気もするけど、公開時はこれでよかったんだろね。