◎ブラック・ダリア(2006年 アメリカ 121分)
監督/ブライアン・デ・パルマ 音楽/マーク・アイシャム
出演/スカーレット・ヨハンソン ヒラリー・スワンク ジョシュ・ハートネット アーロン・エッカート
◎ジェームズ・エルロイ『ブラック・ダリア』
1947年1月15日、ブラック・ダリア事件。
ハリウッドを震撼させたこの事件の被害者は、エリザベス・ショートという女優で、ブラック・ダリアってのは、彼女のあだ名だ。いつも黒い服ばかり着ているからで、これはアラン・ラッドの主演映画『The Blue Dahlia』をもじったものだ。
この事件がなんで有名になってるのかっていえば、死体が凄まじく損傷されていただけじゃなくて、自称犯人がつぎつぎに現れ、500人にも達したばかりか、現代になってもいまだに未解決なままだからだ。
まあ、かなりスキャンダラスな真実があるんだろうし、そんなことが予測される分、ブライアン・デ・パルマが起用されたんだろうけど、デ・パルマ贔屓のぼくとしては公開当時からとっても嬉しかった。
ところが、どことなく物足りなさを感じちゃうんだ。
いや、たしかに、大クレーンを使ったビルの屋上から道路にかけてのワンショットとか、もう観ていてわくわくするんだけど、なんとなく物足りない。
生前と死後のダリアに翻弄される男女の、凝縮した時と屈折した愛憎を描こうとしてるのはわかるし、それを経て慈愛に辿りつく展開も理解できる。
でも、ダリアが、なんで狂おしいくらい愛され憎まれるかってことが、ふかく描かれてないんだよね。
それが、残念。