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エヴァの告白

2014年07月04日 13時57分54秒 | 洋画2013年

 ◎エヴァの告白(2013年 アメリカ、フランス 120分)

 原題 The Immigrant

 staff 監督/ジェームズ・グレイ 脚本/ジェームズ・グレイ、リチャード・メネロ

     製作/ジェームズ・グレイ、アンソニー・カタガス、グレッグ・シャピロ

     撮影/ダリウス・コンジ 美術/ハッピー・マッシュー

     衣裳デザイン/パトリシア・ノリス 音楽/クリストファー・スペルマン

 cast マリオン・コティヤール ホアキン・フェニックス ジェレミー・レナー

 

 ◎1921年、ニューヨーク

 そのものすばり移民の話なんだけど、

 ポーランドからの移民って、

 第一次、第二次の両方とも多かったんだろうか?

 ほんと、あの国のことをおもうと大変だったろうなあっておもうけど、

 ジェームズ・グレイにとってこの作品を製作すること自体、

 自分探しっていうか、アイデンティティの模索だったのかもしれないね。

 実際にエリス島には生き別れになった移民の姉妹がいたらしいし、

 その場に、グレイの祖父母あるいは曾祖父母がいたのかもしれないし、

 ホアキン・フェニックスのモデルは、

 母方の曾祖父の知り合いで、売春の斡旋業者だった、

 マックス・ホックスティムとかいう人物だったようだし、

 ジェレミー・レナーのモデルは、

 手品師でもあり読心術師でもあったテッド・アンネマンっていう実在の人物らしい。

 まあ、歴史に題材をとった物語の場合、

 こまかい年表の上に散らばってる小さな点を、

 数珠つなぎにしていって、

 それがほぼ違和感なく繋がったときにできあがるもので、

 この作品もそうした伝聞や調査の結果、完成したものにちがいない。

 もっとも、

 移民の問題はなにも1世紀前に遡る必要もなく、

 現代でもかなり重要な問題のはずなんだけど、

 やっぱりジェームズ・グレイの場合、

 個人的な関心の方に傾いていったってことなんだろうね。

 ただ、なんていうのか、

 マリオン・コティヤールは妹と再会してエリス島から出、

 ホアキン・フェニックスの用意してくれた切符でカリフォルニアをめざしても、

 そこで幸せになれるかどうかはわからないわけで、

 実をいえば、この作品は当時の移民の悲惨さは語られてはいるんだけど、

 どのように自分の置かれている状況を打開して生きていったのかっていう、

 次への階段を上っているところはひとつもないんだよね。

 それをして希望っていうのかもしれないんだけど、

 この物語に足りないものがあるとすれば、

 マリオンと結核の妹アンジェラ・サラファインの能動さなんだろな~。

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