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空の大怪獣ラドン

2014年07月23日 03時48分46秒 | 邦画1951~1960年

 ◎空の大怪獣ラドン(1956年 日本 82分)

 英題 Rodan

 staff 監督/本多猪四郎 特技監督/円谷英二

    原作/黒沼健 脚本/村田武雄、木村武(馬淵薫) 撮影/芦田勇

    美術/北辰雄 音響効果/三縄一郎 音楽/伊福部昭

 cast 佐原健二 白川由美 平田昭彦 中谷一郎 中田康子 村上冬樹 田島義文

 

 ◎特撮とボク、その4

 ラドンは2匹いる!

 これがものすごくわかりにくいんだけど、

 北京に11時に現れ、マニラに11時20分に現れるのは無理だろうってことから類推して、

 てなことかもしれないけど、

 これ、音速だとそれくらいの速さになるのかな~とかおもってしまいたくならないかしら。

 でもまあ、攻撃を受けている際、いきなり2匹になってて、

「あれま」

 とかって感じになるんだけど、物語中で「2匹だったのか!」とかいう台詞ないんだよね。

 だから、つがいとはおもいにくいものの、

 なぜか、阿蘇山の大爆発のために溶岩の上へ折り重なるように落ちていくのを見てると、

「ああ、つがいなんだな~」

 っていうもの悲しさを感じる。

 でも、そう、日本の怪獣映画はこうでなくちゃいけないんだよね。

 哀愁っていうのか、怪獣が死んでゆくさまを見てもの悲しいと感じ、憐憫を傾ける。

 こういう惻隠の情を忘れてしまった怪獣映画は、単なる子供だましに堕してしまった。

 ただ、実をいうと、阿蘇山の火口へ落下するラドンは、

 鉄を溶かして溶岩に見せかけてた撮影の際、

 あまりの高温のためにラドンを吊っていたピアノ線が溶けて切れ、ラドンが落下したらしい。

 つまり、ラドンは脚本上では落下することなく火口の上を旋回したまま終わるはずだった。

 けどまあ、怪我の功名ってやつで、

 咄嗟に「これだ!」と判断した円谷英二は流石といわざるをえないよね。

 流石といえば、衝撃波をくらってビルや家屋が崩れていくところの細かさや、

 防衛軍の戦闘機が西海橋を潜り抜け、さらに橋が捻じ曲がるという画期的な特撮に、

 ぼくが感激したのは大学生のときだった。

 この映画を初めて見たのは小学生で、しかもテレビ放送だったから、

 炭鉱とその長屋の薄暗い中でのメガヌロンっていうかヤゴとの絡み合いが延々と続いて、

 当時のぼくにしてみればかなり苦痛な映画だった。

 しかも、白川由美が妙に色っぽくて、浴衣の赤い花がなんだか血に見えたりもして、

 かなり陰鬱な気分になったりもした。

 なんで怪獣映画なのにこんなに生々しいんだろうっておもったことだけは、

 ものすごくよくおぼえてる。

 だから、大学に入って、名画座で観たとき、

 真っ青な大空に飛行機雲っていうかラドン雲が引かれてゆく演出がなんともからっとしてて、

 炭鉱のじめじめ感がぬぐい捨てられてるじゃんとかっておもった。

 いや~映画ってのは観る時期によって、こうもちがうんだね。

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