Kinema DENBEY since January 1. 2007

☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

われに撃つ用意あり

2007年03月16日 15時24分45秒 | 邦画1981~1990年

 ▽われに撃つ用意あり(1990年 日本 106分)

 企画・製作・監督/若松孝二 音楽/梅津和時 主題歌/原田芳雄

 出演/原田芳雄 桃井かおり ルー・シュウリン 山口美也子 石橋蓮司 蟹江敬三

 

 ▽1968年10月21日、新宿騒乱事件

 青春の尻尾をひきずってる世代には、この日付は感慨深いかもしれなず、映画に登場してくる面々の心模様も、しっくりくるかもしれないんだけど、ぼくらの世代になると、ちょっとだけ違う空気を吸ってるような気分になる。ま、そんな呟きはどうでもいいよね。

 そんなことより、いくらなんでも、原田芳雄の前半の服装はなくない?

 観始めたとき、1980年くらいの映画かと思ってたら違ってた。歌舞伎町って設定の居酒屋は、昔懐かし二丁目の某所。そうか~学生運動をかじってた人達にとっては、あの地下の雰囲気がなんとも懐かしいんだろうな~とおもった。

 事件の鍵を握るルー・シュウリンが素敵で、このあたりは留飲の下がる感じはあったんだけどね。

 なんだか、なにもかもが懐かしい感じの映画だったわ。

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感染

2007年03月15日 15時22分28秒 | 邦画2004年

 ▽感染(2004年 日本 99分)

 監督・脚本/落合正幸 音楽/配島邦明

 出演/佐藤浩市 高嶋政伸 南果歩 星野真里 真木よう子 木村多江 羽田美智子

 

 ▽よくも本気で作ったもんだ

 お金の懸かる役者を集めて撮った学芸会的シナリオの映画、といいきってしまうのは酷かもしれないけど、病院がいかにも廃墟然としてて、昼になっても明るい印象がまるでないのは、演出力と美術力が不足っていうより、なんだかイベント会場か遊園地のお化け屋敷をおもいだしちゃった。

 おもいきりお金をかけて、病院のお化け屋敷をつくり、そこで焦りまくって泣き叫んでる役者を見せられてるだけって感じがして…。

 ああ、いかん。書けば書くほど、文句になっちゃう。

 映画というのは、スタッフもキャストも本気で臨んでるわけだから、悪口とか書かないようにしようとおもってるのにね。

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ソウ

2007年03月14日 15時19分31秒 | 洋画2004年

 ◎ソウ(2004年 アメリカ 103分)

 原題/Saw

 監督/ジェームズ・ワン 音楽/チャーリー・クロウザー 

 出演/リー・ワネル ケアリー・エルウィス ダニー・グローヴァー モニカ・ポッター

 

 ◎グロながら秀逸

 映画でもドラマでも、ときどき、がんっとヒットするものがある。

 ひと昔前に『ツインピークス』が話題になったときもそうだった。

 この『ソウ』のシリーズも同じなんだけど、ちがいは、ひとつひとつの物語が基本的には独立していることだ。

 それはそれとして、どうしても不条理さよりもグロな恐怖が先行してしまい、なんだか興味本位に語られてしまってるような気もしなくはないけど、この一本目についていえば、そんな事はなかった。

 かなり面白い密室劇だった。

 便器の中を映したり、手を突っ込んだりするのは生理的に受けつけないんだけど、舞台劇にしてもいけるんじゃない?てなことまで観ながらおもった。

 ただ、ヒットするに従って、猟奇的連続殺人犯のジグソウが徐々に形成されていった気もするし、殺人と贖罪の儀式である「ゲーム」よりも、ジグソウその人に興味が移っていき、なんだか精神の大河ドラマ化していった観があるのは否めないんじゃないかなと。

 そんなこともあったりして、気がつけば7作目はとうとう3Dだそうで、いやまあ、映画はヒットするにかぎるってことは、このシリーズを観てて感じるわ。

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フリックストーリー

2007年03月13日 15時17分19秒 | 洋画1971~1980年

 ◇フリックストーリー(1975年 フランス 108分)

 原題/Flic Story

 監督/ジャック・ドレー 音楽/クロード・ボラン

 出演/アラン・ドロン ジャン=ルイ・トランティニャン クローディーヌ・オージェ

 

 ◇悪党エミール・ビュイッシュを追う刑事ロジェ・ボルニッシュの手記

 あまりに映像的な挿話。

 高校生のときだったか、映画館で予告編を観て、アラン・ドロンがビルの窓からとなりの屋根へ飛び降りるカットがあって「お、すげ」とおもい、その予告編に妙に惹かれた。

 別にたいしたアクションでもないはずなんだけど、なんであんなに惹かれたんだろうと、いまになってもわからない。

 けど、クロード・ボランの哀愁に満ちた音楽が漂っているせいか、全体を通じて、渋めの雰囲気があり、青二才のぼくにも、そういうフィルム・ノワール的なものを感じる触覚があったんだろうね。

 実際、淡々と語られる世界はときに退屈になったりもするものだけど、雰囲気は中々好い。ことに、佳境、町外れの食堂でのやりとりと立ち回りはいかにも仏映画だったわ。

 ところで、原作者のロジェ・ボルニッシュは、実際の刑事で、フランス内務省管轄の国家警察司法警察局の刑事部に勤務していたらしい。ま、FBIとか警察庁とかいった感じなんだろうけど、このボルニッシュの、1947年から50年までの調査記録を映像化したものだ。

 で、当時、フランス史上最高となる36件の殺人をしでかしたのが、ジャン・ルイ・トランティニャン演じるところのエミール・ビュイッソンってわけだ。

 もうすこし絞り込んだ映像の方がいいような気もするけど、公開時はこれでよかったんだろね。

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約束

2007年03月12日 02時21分40秒 | 邦画1971~1980年

 ☆約束(1972年 日本 88分)

 監督/斎藤耕一 音楽/宮川泰

 出演/岸惠子 萩原健一 中山仁 三國連太郎 南美江 姫ゆり子 殿山泰司

 

 ☆70年代の傑作

 高校生のとき、ほぼ偶然にこの映画を観た。

 なにもかもすっ飛んじゃうくらい、ぼくはこの作品に嵌まった。映像も脚本も役者も胸に沁み入るくらい好かった。なんといっても音楽は生涯忘れることはないんじゃないかってくらい好かった。

 映画はときとして奇跡的な出来栄えになることがあるんだけど、この映画もたぶん、そういう作品のひとつなんだろう。

 ストーリーは、なんのことはない。列車に乗り合わせた男と女が恋に落ちるんだけど、事情があって別れるっていうだけの話だ。

 けれど、男はチンピラで、やがて強盗傷害をひきおこして逃亡し、逮捕される運命にある。女は服役している模範囚で、墓参のために外出し、囚人仲間の手紙を渡す使命にある。このふたりが列車に乗り合わせるんだから、最後には、男は逮捕されるから出獄した女が約束した場所で待っていても、もちろん、来るはずもない。

 なんとも胸の奥が痛くなるような悲しみに包まれる作品で、うらさびしさに包まれた日本海沿岸のさびれた町というロケーションも好く、多感な時期の僕は、もうたまんなくなって、旅の出会いに憧れたものだ。

 ところが、これ、1966年の韓国の李晩煕監督作『晩秋』のリメイクだってことを知った。

「え~!オリジナルじゃなかったんだ~!」

 ちからが抜けた。

 どうやら、斎藤耕一が韓国で『晩秋』を観、正式に再映画化を頼み、権利を日本へ持ち帰って、オールロケーションで撮り上げたものらしい。しかも、2010年には、今度は米韓合作でふたたびリメイクされる。監督はキム・テヨン、舞台はシアトル、さらに列車ではなくバスらしい。

 でも、ぼくはこの2本の『晩秋』を観るんだろうか?

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スター・ウォーズ エピソード4 新たなる希望

2007年03月11日 02時19分12秒 | 洋画1971~1980年

 ☆スター・ウォーズ エピソード4 新たなる希望(1977年 アメリカ 126分)

 原題/Star Wars Episode IV A New Hope

 監督・脚本・製作総指揮/ジョージ・ルーカス 音楽/ジョン・ウィリアムズ

 出演/マーク・ハミル ハリソン・フォード キャリー・フィッシャー アレック・ギネス

 

 ☆観たのは、特別版

 大学受験に失敗したものの、これといって傷心のおもいでもなく、のんびりとした浪人暮らしをしていた1978年夏、中日シネラマで、とんでもない体験をした。

 35ミリをひきのばした70ミリ方式での公開だったから、ほんとうのシネラマではないにせよ、弩びっくりした映画に出会った。

 それが『スター・ウォーズ』で、黒澤明に入れ込んでいたにもかかわらず、隠し砦の三悪人』のことはすっかり忘れて銀幕に食い入っていた。

 最初、この作品はたいした扱いを受けていなかった。雑誌の制作宣伝を見た時も『惑星大戦争』という古くさいタイトルで、ふつうのスペース・オペラでも来るのかな~って印象だった。ところが、アメリカで大ヒットしてから扱いががらりと変わり、日本でも空前の大ヒットになった。

 あの時代、大作はシネラマで公開されてて、もう、画面に包み込まれたような幸せな空間だった。そこで、宇宙船がフレームインしてきたときは、まじ、感動した。ああいう体験は、もうできないんだろね。

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海猿 ウミザル

2007年03月10日 02時16分59秒 | 邦画2004年

 ◎海猿 ウミザル(2004年 日本 120分)

 監督/羽住英一郎 音楽/佐藤直紀

 出演/伊藤英明 加藤あい 海東健 香里奈 伊藤淳史 杏子 國村隼 藤竜也

 

 ◎佐藤秀峰『海猿 ウミザル』

 海上保安庁が全面協力している分、画面にちからがある。

 昔は、海保も海自も映画に協力するということはほんとうに少なかったけど、ほんと、いい時代になったもんだ。

 観ていておもったのは『愛と青春の旅立ち』の日本版みたいなもん?って感じだったけど、まあ、こういう訓練学校の話はえてして似る。

 ただ、役者たちの演技はちょいと大仰だったかしらね。完成した作品をとおしてみれば、まあ許せるかという程度だけど、全体にリアル感を出そうとすれば、沈んだ雰囲気になるかもしれないから、弾んだ演出を期待するのはわからないでもないけどね。

 好かったのは香里奈で、伊藤淳史とふたりで要になってた。

 そんなところかな~。

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宇宙戦争

2007年03月09日 02時15分13秒 | 洋画2005年

 ◇宇宙戦争(2005年 アメリカ 114分)

 原題/War of the Worlds

 監督/スティーヴン・スピルバーグ 音楽/ジョン・ウィリアムス ナレーション/モーガン・フリーマン

 出演/トム・クルーズ ダコタ・ファニング ミランダ・オットー リサ・アン・ウォルター

 

 ◇H・G・ウェルズ『宇宙戦争』

 旧作とどっこいどっこいかとおもってたんだけど、やっぱり、特殊効果の凄さは差がありすぎではある。

 ちなみに、トライポッドの咆哮は『未知との遭遇』の宇宙船の出す音声なんだね。お、こういう使い回しはなんか意味があるのかな?ともおもっちゃうんだけど、考え過ぎかしら。

 ただまあ、映像の物凄さがないと、こいつはまいったな~という筋立てなのは、原作をいじらなかったんだろうから仕方のないことなんだけど、せっかく「大阪では何体か倒しているらしい」っていう魅力的な台詞があるんだから、ぜひとも、日本を舞台にした『宇宙戦争』を作るべきだったとおもうんだな。

 そしたら、原作とはまるで違う内容をおりこむこともできたんじゃないのかしら?

 主題になってるのは、ちょっとばかり心の離れてしまった家族が、とんでもない危機をそれぞれが通過することによって、お互いの大切さを再認識するっていうものなんだから、なにもアメリカが舞台じゃなくても、充分、日本でも通用するよね。

 だからさ、大阪でトライポッドを倒そうよ!

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仄暗い水の底から

2007年03月08日 02時12分26秒 | 邦画2001年

 △仄暗い水の底から(2001年 日本 101分)

 監督/中田秀夫 音楽/川井憲次

 出演/黒木瞳 水川あさみ 小日向文世 志水季里子 原知佐子 大塚ちひろ

 

 △デジャヴュ?

 既視感っていうんだろか、なんか何処かで見たような印象だった。

 マンションや校舎を舞台にすると誰もが似たようなことを考えるのかな?っていう、なんとも個人的な感想だけが浮かんできちゃうのは、圧倒的な面白さだった『リング』の次の作品っていう期待感のせいかもね。

 それと、黒木瞳の過剰な熱演は認めたいところなんだけど、佳境から終幕までがどうも共鳴できないんだけど、どうなんだろ?

 でもまあ、これはあくまでも個人的な印象なんで…。

 ただ、丁寧に作ってあるな~っていう手作り感はよく出てて、これ以後、雨後のタケノコのように作られたホラー映画みたいに、気持ち悪い怖さを前面に出していないのは、好いわ。

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フェイス/オフ

2007年03月07日 02時10分18秒 | 洋画1997年

 ◇フェイス/オフ(1997年 アメリカ 138分)

 原題/Face/Off

 監督/ジョン・ウー 音楽/ジョン・パウエル

 主題歌/INXS『Don't loose your head』

 挿入曲/オリヴィア・ニュートン=ジョン『Over the Rainbow』

 出演/ジョン・トラボルタ ニコラス・ケイジ ジョアン・アレン ジーナ・ガーション

 

 ◇マイケル・ダグラスは何で出ないの?

 制作総指揮を買って出たにしては、なんで?とはおもうんだけど、ジョン・トラボルタとニコラス・ケイジが霞んじゃうかもしれないしね。

 ま、それは仕方のないこととして、悪玉と刑事の顔が入れ替わり、追う者と追われる者の立場が逆転してしまうという発想はなんとも斬新だ。ていうか、ぼくがそのほかの映画をおもいつかないだけで、こういう入れ替わりの妙を持った作品はほかにどんなのがあるんだろう?

 発案したのがジョン・ウーかどうかはわからないけど、映像の展開とスローモーションのカッティングはやっぱり見事だ。これでもかというアクション繋ぎもいうことなし。流石ですわ。

 ただ、他人の顔をつけて他人の家族を騙さなければならなくなると、人はどうしても好い人であろうとするから当然やさしい人格に豹変するというのは、この脚本が生み出したおもわぬ真実で、他人の妻を他人のふりをして寝盗るという異常な昂揚もまた同じだ。

 でも、そもそもの設定になってる刑事が悪玉を憎悪する理由が、幼い息子を殺されたということで、これが味噌のひとつになってるんだけど、佳境、悪玉の息子を刑事がひきとって帰宅するのは理屈としては好いとして、問題は、フェイスだ。悪玉は刑事に殺されるんだけど、その遺児はふたりの関係をどう理解するんだろ?

 母親は悪玉の顔をした刑事に息子を託すが、息子は父親の顔をした刑事を父親とおもっているわけで、最後に父親が死んでしまったあと、自分をひきとるのは父親の顔から刑事の顔に戻ってしまった刑事となる。

 つまり、父親の顔をした刑事は、刑事の顔をした父親を殺したわけだけど、息子にとって、刑事の顔にもどった刑事は、刑事の顔で死んだ父親の仇なんだよね。こいつぁ、なかなか、この先の息子の心模様が大変だぜ。父親同士の関係を理解するっていうより、こちゃまぜになった感情のやり場として。

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反逆の旅

2007年03月06日 02時07分54秒 | 邦画1971~1980年

 △反逆の旅(1976年 日本 92分)

 監督/渡辺祐介 音楽/鏑木創

 出演/原田芳雄 高橋洋子 麻生れい子 横山リエ 田中邦衛 尾藤イサオ 志垣太郎

 

 △藤原審爾『よるべなき男の仕事・殺し』

 原田芳雄、自薦。

 どうやら、原田芳雄はこの作品を好きらしい。なんでなんだろ?と考えてみた。

 よくわからないんだけど、原田芳雄がテツだというあたりにヒントがあるのかもしれない。つまりは、オタクなのだ。もとい、少年の心をいつまでも失わずにいながら、常になにかと闘い続けるハードボイルドな奴なのだ。

 鉄道が好きだと、玩具全般が好きになる。となれば、当然、男の子の究極の玩具ともいえる銃器も好きになる。それらすべてが似合う男といえば、もう、原田芳雄しかいない。

 で、玩具の設計屋にして、殺し屋という究極の設定が生まれるわけだけど、でも、なんでこの映画が好きなんだろ?

 麻生れい子の病的な絡みと高橋洋子のぼっちゃりな絡みは、まあ好い。

 けど、拍子抜けのラストは、もとい、最後の殺しを行うべく、いいかえれば、男の原点である戦場へ向かう男の姿に共感をおぼえる観客はいったい何人いたんだろう?

 っていうのは、ちょっといいすぎかもしれないけど、原作を読んでいないぼくは、どんなメモを取っていいのかよくわからない。

 このもどかしさは、どうすればいいんだろう。

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父親たちの星条旗

2007年03月05日 02時05分31秒 | 洋画2006年

 ☆父親たちの星条旗(2006年 アメリカ 136分)

 原題/Flags of our Fathers

 監督・音楽/クリント・イーストウッド

 出演/ライアン・フィリップ ジェシー・ブラッドフォード アダム・ビーチ ジェイミー・ベル

 

 ☆ジェイムズ・ブラッドリー ロン・パワーズ『硫黄島の星条旗』

 Raising the Flag on Iwojima。

 硫黄島の戦いは、米軍の呼称ではOperation Detachment。

 このデタッチメント作戦にAP通信から派遣された従軍カメラマンが、ジョー・ローゼンタール。大戦を通じて最も有名な写真の1枚となった『硫黄島の星条旗』を撮った人物だ。

 摺鉢山の攻防は熾烈をきわめ、山頂の奪取も何度か繰り返されたらしい。星条旗については最初に立てられたのは小旗で、この旗は2度目に立てられたものだ。

 時刻にして、1945年2月23日、正午。

 で、この星条旗を立てた青年たちの戦闘とその後を描いたのがこの映画だ。

 米国に翻弄された青年たちの半生といってもいい。観客はそれぞれで、好みもあるだろうし、いろんな意見もあるだろう。2作前後して公開された『硫黄島からの手紙』の方が評判がいいときもあるけど、ぼくは、どちらかといえば、こちらの方が好みだ。

 赤の発色を極端に抑えて粒子も粗くし、抑制の利いた画面で、当時の雰囲気を真摯に伝えようとするイーストウッドの演出にも好感が持てる。なにより、イーストウッドが制作者側に立ち、みずから出演しなかったのが好い。イーストウッドはどうしたところで「英雄」で、かれが出演してしまっては、映画そのものが別な次元の映画になりかねないから。

 そういうイーストウッドの心意気に応えるべく、過剰な演技を排除し当時の人になり切ろうとした役者達もまた好い。

 ほんと、皆、好ましい。

 あ、ちなみに、ジョー・ローゼンタールが亡くなったのは2006年8月20日。

 この映画の公開は、その死の2か月後、10月21日だ。

 なんだか、運命的じゃない?

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君を見つけた25時

2007年03月04日 02時03分24秒 | 洋画1998年

 △君を見つけた25時(1998年 香港 103分)

 原題/毎天愛称6小時

 英題/Your Place or Mine!

 監督/ジェームズ・ユエン 音楽/リンカーン・ロー

 出演/トニー・レオン ビビアン・スー アレックス・フォン エイ・ダチョイ

 

 △香港、行きたい

 香港が返還される前は、数年に1度は遊びに行ってた。

 たいがいクリスマスの時期で、乾期で雨もさほど降らないし、気候もちょうどいい。何日か滞在するんだけど、買い物に興味のないぼくは、新界まで足を延ばすことが多かった。ほとんどがバスでの移動で、ちいさな町や村をぶらぶらしたり、対岸に中国大陸を見つめながら、海鮮料理を食べたりしてた。

 今おもうとずいぶんのんびりしたことをしてたんだな~っておもうけど、ときおり、また香港をぶらつきに行きたいな~とおもうことがある。

 で、この映画なんだけど、なんとも不可解だった。

 ビビアン・スーとトニー・レオンの情けない濡れ場まで用意された、妙にビビアンの設定がリアルっぽい映画になってるのはどうしてなんだろう?彼女のデビューがどんなものだったのかわからないけど、そのときの回想譚あたりから出来上がってんだろか?

 さらに不可解なのは、どうしてトニーがこの映画に出たのかって事だ。そうおもってかれのフィルモグラフィーをたしかめてみたら、あら、それなりにコメディもこなしてるのね。

 なるほど。

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地下鉄(メトロ)に乗って

2007年03月03日 02時01分02秒 | 邦画2006年

 △地下鉄(メトロ)に乗って(2006年 日本 121分)

 監督/篠原哲雄 音楽/小林武史

 出演/堤真一 岡本綾 大沢たかお 常盤貴子 笹野高史 田中泯 吉行和子

 

 △時をかける愛人

 観ていて、ぽつりぽつりと浮かんできたのは、現在が何年なのか制定が曖昧に感じられるため、たぶん平成5年くらいだとおもうんだけど、登場人物の年齢設定になんか説明しがたい違和感のあるのがひとつ。

 オープンを作ったのは褒めるけど、ほかのセットはその分予算がなかったのかしらっておもえちゃうのがひとつ。

 人物の反応とか、劇中のリアルさに欠ける感じのするのがひとつ。

 大沢たかおのひとり舞台っていうか、ちょっと頑張り過ぎなのがひとつ。

 主題歌は不要なんじゃないのってのがひとつ。

 あらま、なんか沢山でてきちゃったけど、困ったな~。なにもケチをつけてるわけじゃないので、勘弁してくださいな、プロデューサーさん。

 でもね、主人公が不倫してるのは全然かまわないんだけど、その不倫相手が、お腹の子(自分)を流産させて自分の存在を殺すっていうのは、どうかっておもうんだよね。

 まあ、それだけじゃなくて、なんだか登場人物たちの都合のいいように、話が作られてるって感じが濃くて、なんでこんな展開にしちゃったんだろうって、ずっと首を傾げてた。

 もしかしたら、脚本を作るときに船頭が多過ぎたんじゃない?

 ま、原作を読んでないので、勝手なことをいってるけど。

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コキーユ 貝殻

2007年03月02日 02時05分25秒 | 邦画1991~2000年

 ◇コキーユ 貝殻(1999年 日本 95分)

 監督/中原俊 音楽/山田武彦

 出演/小林薫 風吹ジュン 益岡徹 吉村実子 浜丘麻矢 高瀬春奈 金久美子 立石涼子

 

 ◇山本おさむ『コキーユ 貝殻』

「私の耳は貝の殻 海の響きを懐かしむ」

 シャン・コクトーの詩の一節だけど、これが物語の味噌になってる。

 小林薫が難聴であること、卒業式のお別れ会のとき、小林薫がプレゼント交換に用意した品がコクトーの詩集と貝殻だったってこと、風吹ジュンの開いたスナックが『コキーユ』って名前だってこと。もうそれだけで、おたがいに結婚し、子どもが生まれても、再会したときの状況によっては、焼けぼっ杭に火がつくのは目に見えてるわね。

 まあ、ありがちな同窓会物なんだけど、うん、こんな感じなんでしょ、どれもこれも誰も彼も。

 ただ、ちょっとばかし非現実的な気もしないではないし、最後の事故にいたるまで、誰もが傷つきながら、でも、小林薫の傷つきぶりは小さくないか?って感じがして、すこしばかり都合が好すぎないかな~ともおもわないじゃない。

 やけに印象的だったのは、ふたりで待ち合わせてハイキングに出かけるのに、小林薫は出張に行くっていってるからスーツ姿で来ちゃうところなんだけど、そういうところも含めて、なんだか、全体的に男目線になってて、女子はこんなふうにおもってるのかな~って気もするよ。

 男っていうのは、いくつになっても心はがきんちょのままで、中学時代の友達に会えば、中学時代の気分そのままだし、いつだってすぐに高校時代に戻れるような気でいる。そういうところ、ほんとに単純でアホな生き物だとおもうんだけど、こればかりは仕方ないよね。

 ほんと、同窓会は困ったもんだ。

 ただ、風吹ジュンは、好かった。

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