Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

Nikon Freak546. 小樽の旅29. 辰野金吾!

2021年05月24日 | field work

 

  辰野金吾晩年の作品である金融資料館(旧日本銀行小樽支店)は、かねてから訪れたいと思っていた。設計は長野宇平次らも加わり、赤煉瓦を主とする辰野調デザインとは趣が異なる。それにしても東京日本橋の日銀本店といい、日銀は白を基調とする色がお好きのようだ。

 今見ても、階高がほどよく、小樽の街に違和感なく溶け込んでいる。とくに大屋根が民家の屋根越しに見える様子は、とても存在感を感じさせる美しさがある。

 小樽はしばしば大火災に見舞われたので、構造は、壁がレンガ造であり上にモルタルで塗り固めコンクリート風にみせるために漆喰を塗っている。屋根は鉄骨構造とし軽量コンクリートて打ってスレート屋根としている。軽量コンクリートはローマ時代から使われていた。軽量の骨材を混ぜ合わせた部材であり、強度は通常のコンクリートより落ちるが、軽いので屋根などに使うのには最適だったのだろう。袖空間の回廊の一部に鉄骨の屋根材が見える。意外に細いメンバーではないか。

 金融資料館は無料ではいることができ、二つの展示に興味を注がれる。

 一つは、私の大学のはるか昔の先生であった夭逝の天才建築家後藤慶二が描いた「辰野金吾博士作品集成絵図」だ。後藤の中世主義の美学理論は、後に今井兼次や村野藤吾に強い影響を与えたとWEBには記載されている。その後藤が描いた、辰野金吾設計の建築作品だけで街のイメージをつくっている。例えば手前の白い建築は東京日本橋の日本銀行本店だし、遠くに東京駅や旧両国国技館の屋根が見える。なんとも師匠が大いに喜びそうなイラストである。辰野金吾は、全国に設計した作品数も多く、たしかに辰野デザインで街ができる。

 二つは、この旧小樽支店がある街並みのモデルである。右奥に小樽支店があり、当時の近代建築群による当時の街並みの再現の展示は、当時こうだったとするイメージがわき大変面白い。

 そんな辰野デザインをみていたら、じゃあ磯崎新さん設計の建築を集めて街のデザインをつくるとか、今なら隈研吾さんのデザインで街をつくるのだろうか。3DCGで建築を制作すればできそうだ。最も大学の建築学科のCG実習あたりの授業でおこなわれているかもしれない。そんな街を描いてくれても気持ち悪いぞーになるかもしれないが、面白い事であることは確かだ。

 ならば、MIKAMIデザインで街をつくったらどうなるか。それはまた別の機会に。

 

小樽市

NikonDf,Carl Zeiss Macro Planar 100mm/F2.0T*ZF、Carl Zeiss Distagon 25mm/F2.8T*ZF

1)ISO400,露出補正0,f/8,1/400

2)ISO400,露出補正0,f/11,1/40

3)ISO5600,露出補正0,f/11,1/30

4)ISO6400,露出補正0,f/11,1/25

5)ISO3600,露出補正0,f/11,1/30

6)ISO200,露出補正0,f/4,1/640

コメント (1)
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