辰野金吾をみた後、まだ時間はある。ならばついでに曾禰達蔵の旧三井銀行小樽支店も見てゆくか。
1927年竣工だから時代は新しく、鉄骨鉄筋コンクリート造だ。曽根達蔵といえば、ショサイヤ・コンドルと共同で設計した丸の内の三菱一号館だ。これは私が高校生の時撮影したんだな。その後高層ビルに建て替えられているが、ファサードは復元されているはずだ。あとは慶応大学図書館をはじめ全国に存在する建築の数は多い。
銀行の吹抜メインホールがあって2回はキャンティレバーで廊下が回っているなんて、辰野デザインと同じだな。この時代の定番プランだったのだろうか。ただ屋根勾配が大変緩く、グライドレベルからは、ほとんど見えない。このあたりは、辰野金吾デザインの方が街並みを旨く刺激してくれている。雪の空に辰野デザインの屋根が大変美しかった記憶がある。
それに外観をみると、辰野デザインの凹凸がある外壁にたいして、曽禰デザインは平面的だ。全体をみても辰野デザインよりはシンブルな傾向が見てとれる。この時代の後に登場してくるモダニズムデザインの予兆なのだろうか。やはり個人的には、屋根が街並みに対して存在感を持ち、複数の尖塔で少し饒舌に語りかけてくる辰野デザインの方が面白い。
曽禰デザインは、旧三井銀行と慶応大学付属図書館とはデザインがまったく違うのだが、ヨーロッパの多数の建築様式を、まるで料理のメニューをえらぶように使っている。様式建築というのは建築のレシピなのだろう。
辰野デザインを先にみちゃうと、私にはモダニズムの気配が漂い始めている退屈な曽禰デザインだから撮影意欲は薄い。プロジェクションマッピングなんかで私の目はごまかされませんな。それに応接間の椅子はよいけど柵が邪魔で撮りにくい。まあ歪むけどカメラを傾けて撮っておこう。そんな画像をPhotoshopで修正したらアオリ効果で窓が垂直になった。外観だって25mmのレンズではいらなかったからカメラを傾けたけど、ソフトのアオリ補正で柱はまっすぐ立つように見えている。カメラよりphotoshopの優秀さが際立つ。
まあ曽禰デザインは、尖塔もないしファサードだって平面的だし、それはまるでモダニズムを予見するようで退屈だ。私には、金ちゃんのデザインが好みだな。建築は、少し饒舌な方が面白い。
小樽市
NikonDf,Carl Zeiss Macro Planar 100mm/F2.0T*ZF、Carl Zeiss Distagon 25mm/F2.8T*ZF
1)ISO400,露出補正0,f/11,1/60
2)ISO6400,露出補正0,f/11,1/10
3)ISO3200,露出補正0,f/8,1/30
4)ISO5600,露出補正0,f/8,1/30
5)ISO6400,露出補正0,f/4,1/15
6)ISO5000,露出補正0,f/8,1/30