リュウ君の話の続き
「でっ、その処女のVIGIの話の続きは!?」
リュウ「私が日本へ戻されてからもVIGIとは毎日のようにチャットが来るわけね」
「ラブラブの仲が続いているんだ」
リュウ「そう、それでVIGIは日本へ行くためにお金を貯めたい。だからマーケットに出す古着や古いパソコンやスマホがあれば送って欲しい、というわけだよ」
「それは殊勝な考え方!?」
リュウ「そう、古着は片づくし、ゴミに出せないノートPCやスマホが片づくならよいかというのでEMSで送った。ノートPCやスマホに古着とカップラーメンとチョコレートをくわえて。ところがそれがぁー・・・なのよ」
「ほう!」
リュウ「VIGIは1週間で届くつもりでいた」
「EMSならそうだよね」
リュウ「しかし待てど暮らせど荷物は届かない。3週間ぐらいたったあるとき、VIGIからHELPのチャットがきたんだよ。それが古いノートPCやスマホにも関税がかかるんだよ。日本円で17,000円の関税!!!」
「EMSの配送料が1万円ぐらいじゃん。それに17,000円の関税!」
リュウ「僕は税関の申告書にちゃんと中古と書いたし、これは初めての経験だった」
「それじゃ、日本で捨てた方が良かったかぁー」
リュウ「そうだよ。廃品回収業者なんかさっさともってゆくからね。結局VIGIには関税とマニラまでの交通費を送金した。だってマニラの税関まで取りに来いだよ」
「あら、EMSは宅配しないの?」
リュウ「それは関税がかからない場合ね。課税品があれば中をあけて調べられて、最後に国名が入ったテープでぐるぐる巻きにされて、それを取りに行く1日がかりの大仕事だよ。VIGIは大きな荷物だから、従兄弟と、何故か従兄弟の子供をつれてマニラまで大旅行だった。つまりVIGIは処女のおぼこ娘だった」
「でも普通に暮らしていれば、そんな経験はしないよね。先ずは国内の宅配便みたいかなって考えるよねぇー」
リュウ「そうだよ。ILOVE YOUなんて言ってる場合じゃないのよ。僕は国家の見えない大きな壁がどーーんと存在すると思った。大きくても小さくても一つの国家がみんなアイデンティティを主張するんだよ。だから世界は一つなんて全くの嘘だよ。世界は国家の数だけバラバラさ」
「そういうバラバラな世界を走り抜けるんだから、だから人生はタフでなきゃ、タフ、タフ・・・・」
リュウ「だから僕もインポを直したいわけね。でもVIGIはそれはgooだって」
そんなリュウ君の結婚話を聞かされて、彼は苫小牧へ向かった。夜行フェリーで青森へ帰るんだ。
・・・
今日は、雪も降らないし静かな小樽の街である。