もし、貴方が旅行にゆきたいと思ったら、会社の連休を探し、WEBサイトをくくって情報を集め・・・、旅行の動機はそんなところから始まるだろう。そして旅行業者もパッケージを用意して待ち構えている。そして写真を撮るなら撮影機材も準備しなきゃ・・、うーーん色の綺麗なEOS5にしようか・・、となる。
しかし、それは旅行であって旅ではない。人生を旅するという言い方はあるが、人生を旅行する、という言い方はしない。また新婚旅行はあっても、新婚旅とは言わない。そして旅行に仕事を持ち込むことがないからレジャーなのだ。旅と旅行は概念や意味が違うのだということを覚えておいて欲しい。
旅は日常の生活感覚のまま空間を移動するだけである。かの国の光を見たいとする物見遊山の気分はないし、会社の連休日を目当てにするなんてナンセンスだ。リモートワークの時代だから、そのまま仕事を抱えて移動すればよい。
それに撮影をするにしても会社の都合に合わせたぐらいで、ドラスティックな自然の姿に波長が合わせられるだろうか。自然の変化は貴方の会社の都合には合わせてくれない。雪国なら合わせるべきは、会社の都合ではなく、天候の変化であり自分の気力と体力だ。最近は、これにパンデミックの拡散度合いが加わるけど。
撮影をするにしても自然の変化で被写体も変わるだろうし、なによりも仕事や日常生活の途中で見つけた風景が画像になる。それは家の庭の花木や散歩がてらの街を撮影するのと同じ感覚だ。旅には日常の生活感覚が凜としてある。そこが旅行に出かけて撮影する観光写真とは違うところだ。
旅は、予定通りの日程で帰るとは限らないし、帰る必要もない。天候の変化や仕事の都合や自分の気分で変わる。気に入ればしばらく住み続けるかもしれない。
予定通り帰れなかったらサラーマンに旅はお手あげだろうか?。そんなことはない。予定通りに帰らなくても、つまり貴方がいなくても仕事が進むようにサラリーマン社会の構造ができている。貴方がいなくても会社は動くのだから無理して帰る必要はない。
サラリーマンは仕事があるから帰る理由を自ら立てるという不思議な現象がある。ようは自分への言いわけづくりだろう。会社は、それほど貴方という人材を必要とはしていない。だったら、いろんな理由を自分ではなく会社につけて旅を延長すればよいわけだ。そんなのリーマンの得意芸でしょ。そして帰りたくなければ、旅を続けて会社や家族ともおさらばさ(笑)。
実際私も日帰りのはずが長逗留になり、大学の事務にFAXをいれて出張にしてもらったことはある。当然校内には「先生は出張のため本日の講義は休講です」と張り紙が出ている。もちろんそれで文句をいう学生はいない。大学人は学部長などの職にあたらない限り、それほど組織から必要とはされていない。
だから、私はいつも仕事を抱えて旅に出る。旅行はしたくないが旅は大いにしたい。そんな旅の中で仕事の合間に見えてくる風景に関心がゆく。
小樽市 住之江、稲穂、花園
NIKON F3+MD4,Carlzeiss Dostagon25mm/F2.8,Tri-X400
Tri-X400+2増感処理、現像所:写真弘社