現代の虚無僧一路の日記

現代の世を虚無僧で生きる一路の日記。歴史、社会、時事問題を考える

小泉八雲 『雪女』の原文

2012-09-24 21:39:29 | テレビ・映画・芸能人
先日『雪女』を演らせてもらったが、「原文の朗読ですか?」との
お問いかけがあった。原文は英語で書かれており、翻訳されたものだ。
日本語訳もひどい。たとえば、雪女が巳之吉に語ることば。

『私は今ひとりの人のように、あなたをしようかと思った。しかし、
あなたを気の毒だと思わずにはいられない。あなたは若いのだから。
あなたは美少年ね、巳之吉さん、もう私はあなたを害しはしません。
しかし、もしあなたが今夜見た事を誰かに―あなたの母さんにでも
云ったら、私に分ります、そして私、あなたを殺します。覚えて
いらっしゃい、私の云う事を』

最後は

お雪は縫物を投げ捨てて立ち上って巳之吉の坐っている処で、
彼の上に屈んで、彼の顔に向って叫んだ。
『それは私、私、私でした。それは雪でした。そしてその時
あなたが、その事を一言でも云ったら、私はあなたを殺すと
云いました。そこに眠っている子供等がいなかったら、今すぐ
あなたを殺すのでした。でも今あなたは子供等を大事に大事に
なさる方がいい、もし子供等があなたに不平を云うべき理由でも
あったら、私はそれ相当にあなたを扱うつもりだから』……


翻訳は「田部隆次」。明治の翻訳ってこんなものだったのか?
まるでフィリピン女性の会話だ。これでは日本の文学作品とは
言えない。

ラフカディオ・ハーンの妻「節子」の日本語って“変”

2012-09-24 21:06:50 | テレビ・映画・芸能人
小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)は日本語が上手ではなかった。
彼の残した『怪談』は、日本語としてはとても変だ。妻の節子
が話すことを英語にして出版されたもので、我々が目にする
のは、後に翻訳されたものとのこと。

たとえば、『耳なし芳一』の一節。 

『芳一さん! 芳一さん! すぐ私達と一緒に家にお帰んなさい!』
叱るように芳一は男達に向って云った。
『この高貴の方方の前で、そんな風に私の邪魔をするとは 容赦はならんぞ』
事柄の無気味なに拘らず、これには下男達も笑わずにはいられなかった。
芳一が何かに魅ばかされていたのは確かなので、一同は芳一を捕つかまえ、
その身体からだをもち上げて起たせ、力まかせに急いで寺へつれ帰った。
そこで住職の命令で、芳一は濡れた著物を脱ぎ、新しい著物を著せられ、
食べものや、飲みものを与えられた。その上で住職は芳一のこの驚くべき
行為をぜひ十分に説き明かす事を迫った。

英語の直訳のような文章が時々出てくる。ハワイ大学で学生たちが
「耳なし芳一」を演ずるのを見たが、日本人の感覚では、おどろ
おどろしく怖い場面で、寺男たちが芳一を嘲笑するのだ。
「ワッハハハ」と笑うのには、さすがハワイと思ったが、原作には
たしかに「笑わずにはいられなかった」とある。


中日新聞に、梯(かけはし) 久美子の「続・百年の手紙」で
小泉八雲の妻「節子」の手紙というのが掲載されていた。
焼津で静養中のハーンに東京の自宅からセツが送った手紙の一部、

「シンセツノパパサマ、セカイ、イチバンノ、パパサマ、
アナタノカラダ、ダイジョウブ、デスカ、スコシ、モ、ビョウキ、
アリマセヌカ……、イマ、アサガオ、キレイノ、ハナ、タクサン、
アリマス……」

セツ(節子)は松江藩の士族の娘だったが、明治維新で没落し、
生活は窮状していて、小学校にも通えなかったとか。ハーン
には身の回りの世話をする下女として雇われたとも。

来日した中国人やフィリピン人が話す片言の日本語のようだ。
これではラフカディオ・ハーンの日本語も上達はできなかったか。





「失笑」「にやける」の意味

2012-09-24 20:52:43 | 私の尺八遍歴
「国語に関する世論調査」で「失笑する」「にやける」の
意味を間違えている人が半数以上との結果。

「失笑する」の正解は「こらえきれず吹きだしてしまう」。
正当率28%。「笑いも出ないくらいあきれる」が60%

というのだが、「はて?」である。
「失笑を買う」という場合、「おバカな言動をして笑われる」
という状況を意味しており、「失笑」は「嘲笑」や「冷笑」と
いった意味合いが強い。「こらえきれず吹きだす」では、
「笑ったら負けよ、あっぷっぷー」のゲームで、相手の変顔を
見て吹きだす場合を想定させるが、この場合は「失笑」とは
言わないはずだ。

一方誤答とされた「笑いも出ないくらいあきれる」が60%
というのには驚いた。「笑いを失う」と解釈し、「(ウケを
狙っても)笑いがとれない」、「座が冷める、呆れて水を
打ったように静かになる」など、"笑いが出ない状況"を
指すこととして使われているとは知らなかった。


次に「にやける」は、正解は「なよなよしている」で15%。
「薄笑いを浮かべる」は誤答で77%。

これは私も「なよなよしている」とは知らなかった。
「薄笑い」もちょっと違って、「ニヤニヤしていること」
だと思っていたが 誤答とは意外。

新入社員の時、務めて笑顔を作っていたら、係長から
「なんだそのニヤけた顔は!」言われ、それ以来、
つとめて笑いをこらえ、仏頂面で仕事をするように
なった。会社ではニコニコ顔は“真剣味が無い”と
される。「なよなよ」していたとは思えぬのですがね。