「鶴の恩返し」は、はかなくも美しい民話だ。
「見てはいけない」と言ったのに・・・」。 でも
「見るな」と云われれば 見たくなるのが
人間の心理。のぞきは男の趣味だ。
この話には続きが・・・・。
鶴に逃げられた与ひょうは、今度は自分で罠を仕掛けて、
一羽の白い鳥を捕まえる。そして罠をはずし「よしよし、
助けてやろう」と、傷の手当をして逃がしてやった。
待つこと3日。トントンと 戸を叩く音。戸を開ければ
また美しい女が。「おぉ来たか、来たか、さあ、もう
決して覗かないから、せっせと機(はた)を織っておくれ。
女は三日三晩、機を織り、「さぁ、これを町へ持って
いって売ってきてくださいな」「よっしゃ、よっしゃ」
と与ひょう。女が織った反物を持って町へ行ったのだが、
「なんだ、これは絹じゃないぞ、偽者だ」と、誰も
買ってくれない。がっかりするやら、腹ただしいやら、
与ひょうは 跳んで帰って、家の戸を開けると・・・。
はて、女がいないどころか、先に反物を売って
手にした金も無くなっているではないか。
そうかしまった。あれは鶴ではなく「サギ」だった。
そう『サギの仕返し』。機(はた)を「織れ織れ
(オレオレ)サギ」の話でした。ガチョヨ~ン。
ところで、この話を創作していて思った。おつうは
自分の姿を見られたくらいで、なんで飛んでいって
しまったのだろうかと。約束を破ったことがそんなに
許せないことなのかと。
木下順二の「夕鶴」は、こうなっていた。「お金が
あれば何でも買える」という与ひょうに「買うって何?
いったいあんたは何を欲しがっているの? 私以外に
何も欲しがってはいや」。与ひょうの心に、欲が芽生え
ていることを察したつうは、与ひょうを突き放します。
「与ひょう、あなたは変わってしまったわ、心優しい人
だと思っていたのに、少しばかりのお金が入ると、もう
金の亡者になってしまった」と、人間の強欲さに愛想を
つかしたのだ。
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